古くから発掘が行われていた宝石、「トパーズ(Topaz)」。
かつて黄色の宝石はすべてトパーズとみなされていました。
しかし、イエローにブルー、ピンクにオレンジ。
いまやトパーズといえば多彩なカラーバリエーションがある宝石として知られています。
また、光の分散が高く、カラーレストパーズはダイヤモンドのイミテーションとして扱われることも。
色の豊富さだけでなく、輝きも楽しめる。
誕生石にも制定されているトパーズの基礎知識についてお届けします。
トパーズの意味、和名、石言葉は?
トパーズの意味と和名
紅海に浮かぶ「トパジオス島(Topazos Island)」が由来となったトパーズ。
エジプトに所属する小さな島で、現在は「サバルガード島(Zabargad Island)」、または「セントジョンズ島(St. John’s Island)」と呼ばれます。
モース硬度は8、斜方晶系の珪酸塩鉱物。
劈開は一方向に完全。
トパーズの和名は「黄玉(おうぎょく)」。
黄色以外もあるのになぜ?と思われるかもしれませんね。
それは宝石の鑑別技術が発展するまで、色での識別が一般的であり、黄色の宝石=トパーズという認識が浸透していたためです。
日本でも1960年頃まで、シトリンがトパーズとして販売されていました。
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トパーズの石言葉
トパーズの石言葉は「希望と友情」。
ガラスのような光沢は先を見通す力を、豊富なカラーバリエーションは人に宿る個性の色を映し出しているようですね。
11月の誕生石
トパーズは11月の誕生石。
日本以外にも、アメリカやイギリス、オーストラリア、カナダ、フランスで11月の誕生石に制定されています。
参考記事:知っておきたい!誕生石の一覧と意味(石名の英語表記つき)
トパーズの価値は?どの色が人気?
黄色の印象が強いトパーズ。
実はアクアマリンと見紛うような明度の高いブルーや、華やかなピンクの人気が高い宝石。
なかでも価値が高いものは「インペリアル・トパーズ」と呼ばれています。
インペリアル・トパーズはどんな色?
シェリー酒にも例えられる、絶妙にレッドがかったオレンジが特徴。
トパーズは茶色系と青色系のふたつに分類でき、茶色系の水酸基タイプの中でもブラジルの一部地域でしか産出しないのがインペリアル・トパーズなのです。
青色系のフッ素タイプよりも屈折率が高く、その希少性と美しさからトパーズの中でも高く評価されます。
トパーズはペリドットを指していた?
赤い石はルビー、青い石ならサファイア。
宝石の鑑別技術が発達していない時代には、色で見分けられていた宝石。
スピネルをルビーと認識していた「黒太子のルビー」は有名ですね。
すでにシトリンがトパーズとみなされていたと述べましたが、もうひとつ関わりの深い宝石があります。
それはペリドット。
トパジオス島は紀元前からトパーズの採掘が行われていたと伝えられています。
ただこのトパジオス島、辿り着くのが困難なほど常に霧で覆われていたため、探し求めるという意味の「topazos」が島名の由来となったとか。
しかし、この時採掘されていた宝石はペリドットだと伝えられています。
まだ現代のように宝石名が統一されていない時代、国によってはペリドットをトパーズと呼ぶなど、ふたつの宝石は混同されてきたのです。
現在では混同されることがなくなったものの、こうした逸話を聞くと少し混乱してしまいそうですね。
取り扱い時の注意点は?
硬度が8と高いため特別気をつけるべき点がないかと思われますが、それは間違い。
劈開が一方向に完全ということは、一定方向からの衝撃には弱く割れやすいことを指します。
着用時にはぶつける、落とすなどの衝撃を避けて身につけて。
また、トパーズは加熱処理、放射線処理によりピンクやブルーなどさまざまな色に加工されます。
黄色のトパーズは加熱することでピンク色へ変化。
処理が行われているか天然か、こだわりがあるならしっかりと購入前に確認を。
長期間日光に晒すと退色の恐れがあるため、必ず暗所で保管してくださいね。
POINT
- 豊富なカラーバリエーションと高い透明度が魅力のトパーズ
- 世界の多くの国で11月の誕生日として制定されている
- かつては黄色の宝石がすべてトパーズとみなされていた
- 硬度は高いものの劈開が一方向に完全なので、衝撃を避けて着用するのがおすすめ
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大学卒業後、ジュエリー専門学校にてメイキングとデザインを学ぶ。ジュエリーセレクトショップ・百貨店にて販売員経験あり。あなたとジュエリー・アクセサリーとの距離を縮める記事をお届けします。