ジュエリーは一生モノ。
確かにジュエリーに使用される貴金属に宝石は、何十年経っても色褪せない不変性が魅力のひとつですよね。
そのなかでもハイジュエラーと呼ばれるブランドは、歴史や生み出してきた作品、卓越した技術を持つ職人、発想力に優れたデザイナーなど、数々の人と物語が礎にあります。
グランサンクに所属するブシュロンもそのひとつ。
【ジュエリーブランドの名品】第七回目は「BOUCHERON(ブシュロン)」。
ブランドの歩みとキャトルやセルパンボエム、ブランドを代表するアイテムをご紹介します。
ブシュロンの歩みとジュエリー
グラン・サンクに属しながらも、日本での知名度はショーメやヴァンクリーフ&アーペルに比べて少し低いブシュロン。
しかし、実はグラン・サンクに所属するジュエラーのうち、二番目に古い歴史を持ちます。
そんなブシュロンは数々の取り組みを行い、近代のジュエリー業界に新しさをもたらしてきました。
ヴァンドーム広場に店舗を構えたジュエラー
グラン・サンクで初めてパリ・ヴァンドーム広場に店舗を構えたのがブシュロンです。
今でこそジュエリーの聖地とされるヴァンドーム広場ですが、そのはじまりはブシュロンだったのですね。
1858年パレ・ロワイアルにて創業したブシュロンが、ヴァンドーム広場に移転したのは1893年。
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広場の八角形のフォルムを取り入れた「ヴァンドーム リズレ ソリテール リング」は、ヴァンドーム広場をモチーフにしたジュエリーです。
ジュエリー職人の名を展示スタンドに
ジュエリーデザイナーというと浮かぶ名前は多いかもしれません。
タクーン・パニクガルにパロマ・ピカソ。
今まで【ジュエリーブランドの名品】で取り上げてきた人々もデザイナーでした。
しかし、職人と聞くとどうでしょう。
デザインと製作を一人で行なっている作家以外に、職人の名前を知ることは少ないのです。
それは昔から変わらず、紀元前からジュエリーを身につけているのにも関わらず、「製作者不明」のものがどれだけ多いことでしょうか。
そんな職人に敬意を表したのが創業者であるフレデリック・ブシュロン。
1867年の第二回パリ万博博覧会で、自身の展示スタンドの入り口に職人の名前をプレートに彫った、大理石のプレートを設置したのです。
それまでスポットライトが当たっていなかった職人に敬意を示したブシュロン。
新鮮な感覚をいつでももたらしてくれるブシュロンは、クリエイションに参加する人々への敬意があるからこそ。
そのマインドがブシュロンのすべてのジュエリーに宿っているのを感じることでしょう。
この博覧会では初の金賞を受賞。
第五回1900年のパリ万国博覧会ではグランプリを受賞し、ブシュロンはアール・ヌーヴォーの先駆者となったのです。
ブシュロンを代表する名品たち
ヨーロッパの王侯貴族から愛されてきたブシュロン。
確かにお手頃な価格帯ではありませんが、それでもいつかはと願わずにはいられない美しいクリエイション。
エイジレスでジェンダーレス。
時を超えるブシュロンを代表する名品たちをご紹介。
セルパンボエム(serpent boheme)
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曲線の柔らかさと直線の凜とした表情を併せ持つペアシェイプ。
そのペアシェイプのフォルムを活かした、繊細さと力強さが相まったブシュロンならではのコレクションがセルパンボエム。
アイコニックなジュエリーは1968年に誕生。
長年ブランドを代表するアイテムであり続けたセルパンボエムは、2017年になって初めてカラーストーンを採用。
色鮮やかな宝石たちはセルパンボエムに新しい風を送り込み、約50年の時を経てその姿を新たに生まれ変わらせたのです。
赤ワインのような深みのあるロードライトや、晴れ渡った空を連想させるターコイズ。
石座に爪、シンプルだからこそ妥協を許さない姿勢が、見事な迫力を感じさせます。
キャトル(quatre)
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フランス語で「4」を意味するキャトル。
素材、色の異なる「4」つが合わさる、ブランドを象徴するアイテムです。
ブランドの聖地であるヴァンドーム広場の石畳からインスピレーションを受けて生み出されたコレクションは、連なるブロックがパリの空気感を含んで。
2004年に販売開始してから現在まで、絶大な人気を誇るコレクション。
ペンダントトップや半分にした「ハーフ」が展開されています。
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イヤークリップは洋服につけるアレンジもとても素敵ですね。
ジャック ドゥ ブシュロン(jack de boucheron)
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2019年に誕生したばかりのジャック ドゥ ブシュロン。
オーディオケーブルのジャックとダイヤモンドのファセットからインスピレーションを受けています。
グラフィカルなデザインはネックレスとして、ブレスレットとして。
またはベルトとして楽しめるマルチウェアジュエリー。
ジャック ドゥ ブシュロンは二本、三本とつなげることもできるため自由度がとても高く、ジュエリーを纏う喜びを味わわせてくれそう。
形に縛られないデザインだからこそ、変わりゆく「これから」を共にしたいジュエリー。
パリの建築と文化、そして人。
表層をなぞるのではなく、深部まで美しいジュエリーに魅せられるブジュロン。
「私」を刻むジュエリーをと願う方に、きっと響くはず。
POINT
- グラン・サンクのひとつ、二番目に古い歴史を持つブシュロン
- 160年の歴史を持ち、ハイジュエラーとしてはじめてパリ・ヴァンドーム広場に店舗を構えた
- 1867年の第二回パリ万博博覧会で金賞、第五回1900年のパリ万国博覧会ではグランプリを受賞
【あわせて読みたい】ジュエリーブランドの名品、バックナンバーはこちら!
第一回目:TASAKI
第二回目:TIFFANY&CO.
第三回目:Cartier
第四回目:Van Cleef & Alpers
第五回目:BVLGARI
第六回目:NIESSING
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大学卒業後、ジュエリー専門学校にてメイキングとデザインを学ぶ。ジュエリーセレクトショップ・百貨店にて販売員経験あり。あなたとジュエリー・アクセサリーとの距離を縮める記事をお届けします。