日常で触れるとりどりの輝きの中でも、特別な輝きを放つ宝石。そのまま愛でるのも一興ですが、ジュエリーとして使用するにはリングやネックレスに「留める」ことが必要です。
今回はあなたのジュエリーライフをより深く、そして楽しくする上で欠かせない「石留め(いしどめ)」についてお届けします。
石留めって、そもそも何のこと?
「石を留める」という言葉そのままに、宝石を枠にセッティングすることが石留めです。石留めは単に宝石を衝撃から守るためしっかりと留めるだけでなく、デザインにも大きな影響を与えるもの。
ジュエリーの制作工程の中でも重要な石留めですが、その種類は一つだけではありません。
石留めの種類
大きく分けて二種類に分類できます。
〔石座(台座)を作る留め方〕
- 爪留め
- 覆輪留め(フクリン留め) etc.
〔地金部分を利用する留め方〕
- 彫り留め
- 地金留め(周りの地金で覆う)、玉留め
- レール留め
- パヴェ留め
- はさみ留め etc.
イメージとしては、宝石一つに宝石を入れる石座(台座)を一つずつ制作するのが前者。
リングのアームやバータイプのネックレスパーツに穴を開け、地金部分を彫って爪を作り留めるのが後者です(爪を作らない場合もあります)。
ブランドによって採用している石留めは異なり、ドイツのハイジュエラーであるニーシングなど、独自の石留め方法を確立しているブランドもあります。時にブランドのアイコンともなる石留めは、とても奥深いものなのです。
どのように石留めを選べばいいの?
同じ宝石でも留め方が異なれば印象はぐんと変わります。だからこそジュエリーを選ぶ際、石留めはとても重要です。もし、好みのデザインと出会えない場合にはオーダーという選択もありますが、留意すべき点があります。
・宝石によってできる石留めが異なる
実は、石留めの種類をデザインだけで選ぶことはできません。石留めを行う際には使用する金属の性質、留める宝石の硬さや割れやすさを考慮しなければいけないのです。そのためフルオーダーは一見自由度も高いように思えるのですが、素材の性質によってはできない留め方もあるのです。
・ライフスタイルに合うものを
また、着用にふさわしいシーンを想像することも重要です。
例えば、婚約指輪は爪留めで代表的なソリテール(宝石が一粒だけつけられた指輪の意味)が主流。しかし、引っ掛かりを気にされる方は覆輪留めという選択肢もあります。覆輪留めは洋服の繊維に爪を引っ掛けて石が外れるという心配が少なく、バランスによっては実際の大きさよりも宝石を大きく見せることも可能なのです。
どのように着けたいか、どんなデザインが望みなのかを明確にすると、ジュエリー選びもさらに充実することでしょう。
POINT
- 石留めは種類が豊富で、ブランドによっても個性を発揮
- 宝石の硬度やカット、金属の性質などでできる石留めが異なる
- デザインはもちろん、使用シーンを想定して石留めの種類を選ぼう
Text by Erika Nishina
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マーケティングディレクター、ジュエリーに詳しいライター、女性メディアライター、ジュエリーデザイナーなどによる専門チーム。