ジュエリーの基礎知識

【宝石の種類】エメラルド:意味と誕生月、エンハンスメント処理って?

クレオパトラや美の女神ヴィーナスが愛した宝石として、さまざまな逸話に登場するエメラルド(emerald)
緑の宝石のなかでもひときわ人気が高く、誕生石にも制定されています。

海や湖の表現で「エメラルド・グリーン」と呼ばれるように、神秘的な緑色はエメラルドならでは。
紀元前2000年前にはすでに採掘がはじまっていた歴史ある宝石、エメラルドについての基礎知識をお届けします。

エメラルドの意味、和名は?いつの誕生石?

エメラルドの意味と和名

ギリシャ語で緑の石を指す「smaragdus(スマラグドス)」に由来するエメラルド。
紀元前より権力者によって愛されてきた宝石であり、四大宝石のひとつにも数えられています。

鉱物名は「天然ベリル」。
クロムを含む六角柱状の鉱物で、硬度7、単結晶の鉱物です。

エメラルドはその色味から、翠玉(すいぎょく)、または緑玉(りょくぎょく)と呼ばれます。

参考記事:宝石の和名が知りたい!名付けに役立つ宝石の名前や漢字のヒント一覧

石言葉

「幸運と幸福」。
古代エジプト人にとっては繁栄と生命のシンボルでもありました。

5月の誕生石

エメラルドは5月の誕生石です。
翡翠同様、新緑をイメージさせるフレッシュなグリーンが5月にぴったり。

参考記事:知っておきたい!誕生石の一覧と意味

エメラルドが割れやすいって本当?エンハンスメントって?


微小なキズやインクルージョンはエメラルドの宿命(ph:PIXTA)

なぜエメラルドには傷が多い?

エメラルドは硬度が極端に低い宝石ではありません。
しかし、面キズやインクルージョン(内包物)が多いため靭性は低いといえます。

このエメラルド特有のインクルージョンは悪い面ばかりではなく、ヨーロッパでは「jardin(ジャルダン)」と呼ばれ、「天国の庭が見える石」として愛されていたほど。

また、インクルージョンは産地によっても違いがあるので、個性のひとつと捉えることができますね。

インクルージョンが多い理由のひとつに、結晶生成時の環境があります。
エメラルドは地中深くで圧力を受けた黒雲母片岩や、石英脈中で生成されるため、ひび割れたり傷がついてしまうのです。

けれど、パッと見た感じにはインクルージョンがあるかわからない!なんてことも。
それには、多くのエメラルドに施される「エンハンスメント処理」が関係しています。

エンハンスメント処理とは?どんな効果がある?

処理と聞くとあまりイメージが良くないかもしれませんね。
しかし、エンハンスメントはその宝石本来の美しさを引き出すことを目的とした処理です。

見かけを美しくして、価値を高めたようにみせかける処理とはまた異なるのです。
エメラルドの場合、無色のオイルや樹脂に浸し、ひび割れや傷を埋める含浸処理が一般的。

つまり、エメラルドの価値基準としては、色や透明度の方が重要なのです。
そのため、インクルージョンの有無は産地証明や天然であることの証など、美観を損なうものでなければ個性として扱われます。

また、注意しなければならないのが、インクルージョンがあることが必ずしも天然である証明にはならないということ。
天然にみえるよう加工されたものもあるので、安易な判断は避けるのが賢明です。

エメラルドの取り扱い注意点

インクルージョンが多いエメラルド。
ほかの宝石よりも、取り扱いには細心の注意を払う必要があります。

まずは「衝撃に気をつける」こと。
そしてもうひとつは「超音波洗浄器にかけない」ことです。

埃や皮脂汚れを落とす超音波洗浄器ですが、エメラルドに使用するとオイルや樹脂が流れ出し、美しい外観を損なう危険も。
また、手入れの際には柔らかい布で拭うなど、丁寧に扱ってくださいね。

POINT

  • エメラルドは古来より権力者から愛されてきた歴史の深い宝石
  • 硬度極端に低くないものの、傷の多さから割れやすく取り扱いには注意が必要
  • 産地によってインクルージョンが異なる
  • インクルージョンや面キズの有無だけでは、真贋を判断できない

Revised Edition 2019 05©hikarimonogatari.com

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