どの宝石の青とも異なるカイヤナイト(kyanite)。
透明感と独特な色の入り方に魅力を感じる方もきっと多い宝石。
色が均一なカイヤナイトの美しさはもちろん、深い青や淡い青、透明な部分が縞になったカイヤナイトの美しさはまた異なる魅力があります。
意味や色の秘密、取り扱い時の注意点まで。
今回はカイヤナイトの基礎知識をお届けします。
カイヤナイトの意味、和名、石言葉は?
カイヤナイトの意味と和名
ギリシャ語で「深い青」を意味する「kyanos」が語源となったカイヤナイト。
青い宝石として知られていますが、白に緑、橙、灰色のカラーバリエーションがあります。
モース硬度は4〜7半で、三斜晶系の珪酸塩鉱物です。
板柱状の結晶で産出され、原石の状態のままの美しさに惹かれるコレクターも多い鉱物。
耐火物、絶縁体の一種である碍子(がいし)の原料にもなります。
カイヤナイトの和名は「藍晶石(らんしょうせき)」。
ほかに「藍」があてられた宝石に、アクアマリンの藍玉(あいぎょく)があります。
参考記事:宝石の和名が知りたい!名付けに役立つ宝石の名前や漢字のヒント一覧
石言葉
カイヤナイトの石言葉は「安らかな時間」。
青色が与える落ち着いた印象は、見つめているだけで気持ちを落ち着かせてくれそう。
結晶軸方向によって硬度が異なるカイヤナイト
モース硬度が4〜7半と開きがあるカイヤナイト。
同じ鉱物でも含有物によって硬度が違うことはありますが、カイヤナイトは同じ結晶内で硬度が異なる性質をもちます。
ディスシーン(二硬石)とは
同じ結晶内でもなぜ硬度が異なるのでしょうか。
その理由は結晶の形にあります。
原石の形を見てわかるように、カイヤナイトは板柱状で産出します。
柱に沿う方向に完全な劈開を持つため、硬度4と低いのです。
柱に対して垂直になる方向の硬度が7半。
二方向に劈開を持ちますが、不明瞭(かろうじて平面が認められる)。
参考記事:宝石の「劈開(へきかい)」とは?硬いダイヤモンドがカットできる理由
この性質から、カイヤナイトは二硬石、英語でディスシーン(disthene)と呼ばれます。
ファセットカットを施すのが難しく、おもにカボションカットやビーズへと加工されます。
カボションカットされたものの中にはキャッツアイ効果を示すものも。
また、方向軸で硬度だけでなく色も異なります。
青から青紫、そして無色と、見る方向によって色を変えるのです。
カイヤナイトのグラデーション
板柱状の結晶で産出するカイヤナイト。
ほかの青い石と同様、古くはサファイアと混同されていました。
繊維状の内包物が見られることが多く、透明から白、青のグラデーションのように見えることも。
内包物が少なく、色が均一のものが上質とされていますが、カイヤナイトならではのグラデーションを楽しみたいという方もきっと多いのでは。
カイヤナイトの仲間
カイヤナイトと化学組成が同じアンダリュサイトとシリマナイト。
しかし、結晶構造が異なります。
成分は同じですが、結晶の生成条件によって異なる宝石になるのはとても面白いですよね。
取り扱い時の注意点は?
アクセサリーに用いられる宝石のなかでも割れやすいカイヤナイト。
劈開は二方向に不明瞭、一方向に完全なため、取り扱いには充分注意しましょう。
超音波洗浄器の使用は厳禁。
汚れが気になる時には、セーム革で乾拭きをおすすめします。
紫外線で退色する恐れがあるため、直射日光が当たらない場所で保管してくださいね。
POINT
- 結晶方向で硬度が異なるため別名「二硬石」と呼ばれる
- カボションカットを施すとキャッツアイ効果を示すものも
- 透明から白、青とグラデーションのように見えるのもカイヤナイトの魅力のひとつ
- 劈開をもつため、衝撃には充分に注意すること
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大学卒業後、ジュエリー専門学校にてメイキングとデザインを学ぶ。ジュエリーセレクトショップ・百貨店にて販売員経験あり。あなたとジュエリー・アクセサリーとの距離を縮める記事をお届けします。