アルコールジェルにアルコールスプレー。
いまや私たちの生活には欠かせないものとなったアルコール消毒。
そして新型コロナが流行するなかでもやっぱり身につけたい指輪。
一日に何度もアルコール消毒をされる方も多いなかで、
「指輪ってアルコール消毒しても大丈夫なの?」
と考えてしまうのではないでしょうか。
今回は指輪とアルコール消毒の関係、手洗いの際の注意点について。
地金は変色するのか、また水に弱い宝石をご紹介します。
地金メインの指輪であればアルコールで変色しない!除菌シートは?
結論からいえば、ダイヤモンドと一般的なジュエリーに使用される貴金属、ゴールド・プラチナ・シルバーはアルコールでは変色しません。
自宅での簡単なジュエリーのお手入れでは中性洗剤を用いますが、アルコールやエタノールはジュエリーの油分を取るために洗浄で使用することもあります。
ジェルやスプレーに含まれるアルコール成分と除菌シート
ただし、変色しないといっても宝石の種類と除菌シートを使用する際には注意が必要です。
宝石によってはアルコールに含まれる成分がダメージとなることもあります。
たとえば真珠、琥珀、珊瑚といった有機質の宝石。
またオパールといった水分を含む宝石は、アルコールの成分で宝石内の水分が揮発しひび割れを起こすことに繋がるからです。
除菌シートは地金や硬度の低い宝石をこすった時に、シートの繊維で細やかな傷をつけてしまうことも。
その傷が増えると地金の色が変わって見えたり、宝石がくもって見えてしまいます。
使用したジュエリーはシートで拭くのではなく、適切な方法で洗浄しましょう。
真珠、エメラルドの水洗いは厳禁?水に弱い宝石一覧
真珠や珊瑚といった有機質の宝石には水分は厳禁。
そのため、ジュエリーの基本的なメンテナンスに用いる中性洗剤とぬるま湯は使用できません。
また、エメラルドも水は避けた方が良い宝石のひとつ。
では水を避けるべき宝石とはどのような宝石なのでしょう。
有機質の宝石
有機質の宝石は、水だけでなくアルコール、中性洗剤も避けた方が良い宝石たちです。
基本的にはセーム革といった柔らかい布で乾拭きをして汚れを落とすよう心がけましょう。
- 真珠(パール)
水に真珠を長時間浸すことで真珠の光沢を損なってしまったり、変色に繋がります。
- 琥珀(アンバー)
非常に柔らかく、爪でも傷がついてしまう恐れが。
- 珊瑚(コーラル)
熱や酸、油脂に弱い宝石。
処理が施されている宝石
含浸処理やワックス処理など、宝石自身の美しさを引き出すために施される処理も、水分には弱い傾向にあります。
- エメラルド
もともとインクルージョンの多いエメラルドは、その亀裂を埋めるために「含浸(がんしん)処理」が施されています。
- 翡翠(ジェイダイト)
光沢を高めるために、多くの翡翠にはワックスが含浸されています。
オパール
熱や乾燥に弱いオパール。
また、多孔質なため水分が入り込むことで変色の原因にもなります。
特に「ハイドロフェーン・オパール」は水分を吸い込む力が強いため、アルコール成分は避けましょう。
水分に弱い宝石
水だけでなく、汗といった水分によって変化してしまう宝石もあります。
水や酸に弱い宝石は、使用後は必ず乾拭きして保管するよう心がけてください。
- ロードクロサイト
紫外線や酸に弱く、割れやすいことで知られている宝石のひとつ。
- トルコ石
オパール同様多孔質なため水が染み込みやすく、汗でも変色の恐れが。
- マラカイト
オパール、トルコ石と同様多孔質なため、水分は避けて。
- ラピスラズリ
非常に柔らかく、台所用漂白剤に含まれる塩酸によってゼラチン化してしまうデリケートな宝石。
- オニキス
紫外線や薬品に弱く、また汗や皮脂によっても曇りやすい。
指輪をつけたまま手洗いはできる?
アルコール成分や水分を避けた方が良い宝石は意外にも多く存在します。
アルコールジェルやスプレーだけでなく、手洗いも増えたこのご時世では、その都度指輪を外すのは億劫ですよね。
基本的に地金のみの指輪であれば、そのまま手洗いをすることは可能です。
しかし、デザインによっては石鹸が残ってしまったり、指輪と指の間に洗い残しも発生します。
また、水分に強い宝石も、洗い流したつもりでも石の裏や石座に石鹸カスや水垢が残ってしまいます。
輝きを損なう原因ともなるため、手洗い時にも指輪を外す習慣をつけましょう。
また、濃度の高いアルコール成分や度重なる手洗いは手荒れを招いてしまいます。
アルコール消毒・手洗い後は指輪を外したままハンドクリームで保湿することを忘れずに。
ダイヤモンドをつけている場合、親油性が高い(油になじみやすい)宝石なのでハンドクリームの油分で曇ってしまうことも。
帰宅後はセーム革で乾拭きすることを習慣にしましょう。
POINT
- 地金メインの指輪であれば、基本的にアルコール消毒では変色しない
- アルコール成分や水分に弱い宝石は、変色・ひび割れに注意する
- 指輪と指の間に成分が残るのを避けるため、消毒時と手洗い時は指輪を外したほうがよい
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大学卒業後、ジュエリー専門学校にてメイキングとデザインを学ぶ。ジュエリーセレクトショップ・百貨店にて販売員経験あり。あなたとジュエリー・アクセサリーとの距離を縮める記事をお届けします。