ジュエリーの基礎知識

【宝石の種類】ペリドット:意味と誕生月、イブニング・エメラルドとは

朝露に濡れたようなツヤと若葉のような緑色の宝石、ペリドット(peridot)
エメラルドや翡翠、ツァボライトといった宝石たちの陰に隠れがちですが、上質なペリドットはほかの緑の宝石に負けない華やかさを持っています。

今回はペリドットの基礎知識について。
意味や誕生月、イブニング・エメラルドと呼ばれる理由をお届け。

ペリドットの意味、和名は?いつの誕生石?

ペリドットの意味と和名

ペリドットの語源は、アラビア語で宝石を意味する「faridat」。

色は「鉄」由来ですが、コランダムのようにもともと透明な鉱物に不純物が入って色づくのではなく、不純物がない純粋な状態で緑色なのです。
そのためカラーバリエーションはオリーブのような深みのあるグリーンから、爽やかなライムグリーンまで。

鉱物名は「天然オリビン」。
この名前はオリーブの実に由来します。

モース硬度は6半〜7で、斜方晶系の珪酸塩鉱物です。

ペリドットの和名は「橄欖石(かんらんせき)」。
実は橄欖はオリーブを指す言葉ではなく、カンラン科の植物とオリーブの見た目が似ていることから間違えてつけられたと伝えられています。

参考記事:宝石の和名が知りたい!名付けに役立つ宝石の名前や漢字のヒント一覧

石言葉

ペリドットの石言葉は「幸せ」、「夫婦間の愛」。
古くはネガティブなエネルギーを寄せ付けない魔除けとして用いられました。

8月の誕生石

ペリドットは8月の誕生石
爽やかな色が夏にぴったりですね。

関連記事:知っておきたい!誕生石の一覧と意味(石名の英語表記つき)

イブニング・エメラルドって?ペリドットの輝きの秘密とは

トパーズと呼ばれたペリドット

宝石の鑑別技術が発達していない時代には、赤い宝石はすべてルビー、青い宝石はサファイアとされていました。

それと同様にペリドットも最初からペリドットと呼ばれていたわけではありません。
では何と混同されていたのかというと、11月の誕生石である「トパーズ」

トパーズといえばイエローにピンク、ブルーといった多彩なバリエーションがある宝石ですが、ペリドットと間違うかと聞かれると思わず首を傾げてしまいますよね。

それもそのはず、ペリドットがトパーズと呼ばれたのはそもそも色が似ていることが理由ではないから。

歴史上ペリドットの産地で有名なエジプトの「セント・ジョン島」。
常に霧に包まれていたこの島に辿り着くことが困難なことから、この島で採れる宝石をギリシャ語で探し求めるという意味の「topazos(トパゾス)」と呼びました。
それが由来となり、トパーズと呼ばれるようになったのです。

イブニング・エメラルドと称される理由

勘違いから、またその美しさを讃えて。
また、産地名と宝石名を組み合わせたりなど、多くの宝石にはフォルス・ネームが存在します。
トパーズはフォルスネームとして定着しませんでしたが、ペリドットには別のフォルスネームがあります

それは「イブニング・エメラルド」。
ただ、これもエメラルドと間違えてつけられたのではなく、ペリドットがイブニング(夜)にその輝きを増す性質を讃えたことから。

輝く宝石といって思い浮かべるのは、ダイヤモンドにスフェーンなど別の宝石ですが、ペリドットはほの暗い照明下といった限られた条件下でその美しさを発揮します。

これはペリドットが「複屈折」という性質を持ち、同じ複屈折を持つルビーやサファイアと比べて複屈折率が高いためです。

複屈折とは、入ってきた光を二つに分けるという性質。
カットが綺麗に整ったペリドットは、少ない光の下でより美しく輝くのです。

イブニング・エメラルドとは、夜に開かれる舞踏会に一層の輝きを見せてくれるペリドットのこと。
とても魅力的な名前ですが、エメラルドを探している時には間違って購入しないように注意してくださいね。

取り扱い時の注意点は?

ペリドットは靭性が低く、硬度もそれほど高くない宝石なので、傷や割れのリスクがジュエリーに用いられる宝石のなかでも扱いには注意が必要。
また洗浄の際にも、超音波洗浄器は厳禁です。

洗浄の際には冷水を用いて、着用後はセーム革などの柔らかい布で乾拭きしてから保管をしましょう。

POINT

  • イブニング・エメラルドはペリドットのフォルスネーム
  • 複屈折率の高さから、ほの暗い照明下で美しい輝きを見せる
  • 靭性が低いため衝撃は避けるなど、取り扱いには注意

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