普段着に合わせるアクセサリーは見つかっても、着物や浴衣に合わせる「和アクセサリー」を見つけるのは案外難しいもの。
しかし、最近では和のテイストを散りばめたアクセサリーもレトロなものばかりではなく、現代的な雰囲気を持つものもあり、美しさも言うことなし!
では、その和装に合う和アクセサリーはどう見つければ良いのでしょう。
和の素材:水引・和紙・漆・箔と、伝統技法:螺鈿・蒔絵・七宝焼き。
今回は和アクセサリーの素材とデザインの種類、おすすめのアクセサリーをご紹介しますね。
和の素材を用いたアクセサリー。水引や漆とは?
ジュエリー・アクセサリーといえば自然と洋風のデザインを思い浮かべますよね。
しかし、日本でも歴史のある素材を用いて作られる和アクセサリーもあります。
まずは代表的な4つの素材についてお届けします。
水引(みずひき)
贈り物や封筒につけられる水引。
結ぶ形や色、紐の種類によってさまざまな用途で用いられます。
良い事が幾重にも重なるようにとの願いが込められた「より返し」など、結び方の種類も多様。
シルバー色の水引とグレーのパールが大人な印象のピアス。
水引の形をそのままに、トーンを揃えることで日常使いしやすいデザインに仕上がっています。
紙を加工して作られた水引のブレスレットは素材特有の軽さが肌に馴染み、金属のアクセサリーとは一味違うアクセントをプラス。
モノトーンにも映える華やかなグリーンは、一本あれば重宝しそうですね。
和紙
和の素材といえば和紙を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
温かみのある風合いは、文字を認めたり灯した明かりを映しだすだけではありません。
凹凸があることでニュアンスを生み、アクセサリーの素材として用いることでデザインに新鮮さを加えてくれます。
手漉き和紙「內山紙」を用いたピアスは、樹脂を染み込ませることで強度を高めています。
スワロフスキーとの組み合わせが涼を呼び込んでくれるかのようですね。
「千代紙」で作ったくす玉がポイントのかんざし。
一見派手かな?と思いますが、和紙だからこそ引き出せる淑やかな佇まいが大人にぴったりのアクセサリーです。
漆(うるし)
ウルシノキやブラックツリーから採れる樹液を用いた漆。
接着剤として、または強度を高めるための塗料として用いられてきました。
漆塗りのお椀などが身近な漆を用いた品ではないでしょうか。
縄文時代より使用されていた漆は、蒔絵や螺鈿細工にも使用されます。
ビターチョコレートが溶け出したような本漆塗りのハートネックレス。
ゴールドとのコントラストとシンプルなフォルムが、甘すぎない可愛らしさを演出していますね。
葉っぱに見立てたシルバーに漆を施したバングルは、ボリューム感があるのにつけやすいデザイン。
樹脂やガラスとは違った、深みのある黒を堪能してみてはいかがでしょう。
箔(はく)
金属を薄く叩き伸ばしたものであり、建造物や仏像などに用いられてきた箔。
金箔と銀箔だけでなく、プラチナ箔に銅箔と種類も豊富。
スティック状の淡水パールの半分に金箔をあしらい、パーティーから日常使いまで活躍するとっておきのピアス。
金箔だからこそできるフォルムを活かしたデザインは、顔まわりに光を集めて。
銀箔とネオンブルーの組み合わせがキャッチーなピアス。
ネオンカラーも面積を小さくすることで取り入れやすく。
螺鈿に蒔絵、七宝。伝統技法を活かした和アクセサリー
和を感じる素材で仕立てられることで、見慣れたデザインも新鮮なアクセサリーへ。
では素材だけでなく、伝統技法を用いたアクセサリーはいかがでしょう。
伝統技法のなかには日本発祥ではなくとも、年月を重ねることで日本独特の技法へと変化したものもあります。
ここでは3つの伝統技法を用いた和アクセサリーをご紹介。
螺鈿(らでん)
貝殻の裏側の光沢がある部分を切り取って、彫られた面へはめ込む螺鈿。
奈良時代に中国より伝来し、独自の発展を遂げました。
黒い漆と静かに輝く夜光貝のコントラストが美しいピアス。
伝統技法を用いながらもモダンな印象で、プレゼントにも。
揺れるデザインのピアスに螺鈿を施すことで、さまざまな角度から楽しめるアクセサリー。
紙に漆を染み込ませているため、軽くて丈夫なのも嬉しいポイント。
蒔絵(まきえ)
漆で図柄を描いた後、乾ききらないうちに金粉や色粉をのせる漆工芸技法のひとつである蒔絵。
金粉を蒔く手順や漆の量によって多様な表現方法があります。
漆器だけでなく、近年では宝石にも蒔絵が施されます。
アコヤ真珠に蒔絵を施したピアスは、金箔を貼るのとはまた違った表情をみせてくれます。
金粉の直線はパールにエッジを加え、服装やシーンを選ばないアクセサリーに。
透明感たっぷりの琥珀に幾何学的な文様を施した帯留。
着物の柄と合わせることで、統一感がぐっと増す逸品。
七宝(しっぽう)焼き
銅などの金属やガラス、陶器の上に釉薬(ゆうやく)を乗せ、高温で焼成する七宝焼き。
制作方法によって名称が異なり、彫金七宝(バスタイユ)や有線七宝(クロワゾネ)などがあります。
針金で仕切りを作ることで、色が混ざり合わずに焼成できる有線七宝のブローチ。
模様の部分はあえてグラデーションになるようにデザインされているため、猫の柔らかな毛並みが伝わってくるかのようですね。
銀板に釉薬を乗せて焼成し、宝石のような透明感を感じるピアスへ。
宝石を留めるための爪もデザインされているユニークさが光ります。
和装小物や装飾小物で検索してもなかなかピンとくるアクセサリーと出会えないなら、キーワードに「金箔」や「蒔絵」と入力してみてはいかがでしょう。
きっと新しい発見があるはず。
POINT
- デザインだけでなく、素材や技法で「和」のテイストを感じるアクセサリー
- 和紙に樹脂を染み込ませたりと、アクセサリーに仕立てられることで素材の新しい一面を発見
- 七宝は制作方法によって名称が異なる
【あわせて読みたい】夏はすぐそこ!浴衣に似合うアクセサリーの選び方についてもチェックしてみてくださいね。
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大学卒業後、ジュエリー専門学校にてメイキングとデザインを学ぶ。ジュエリーセレクトショップ・百貨店にて販売員経験あり。あなたとジュエリー・アクセサリーとの距離を縮める記事をお届けします。