「ない色がない」と言われているほど、カラーバリエーションが豊富なトルマリン(tourmaline)。
なんと100種類以上の色があり、「虹の宝石」と称されることも。
誕生石に制定されているピンク・トルマリンのほかにも「パライバ・トルマリン」や「ウォーターメロン・トルマリン」など、心を奪われる魅力がたっぷりの宝石です。
色の豊富さの秘密や性質など、トルマリンの基礎知識をお届けします。
トルマリンの意味、和名は?いつの誕生石?
トルマリンの意味と和名
トルマリンの名前の由来は、シンハリ語の「トルマリ(turmali)」から。
「色の混ざった石」を意味する言葉であり、その色の豊富さから他の宝石と混同されてきたのです。
色の豊富さの理由は、複雑な化学組成によるもの。
鉄ならブルーグリーン、バナジウムやクロムなら彩度の高いグリーンといったように、元素が混入することでさまざまな色を示すのです。
鉱物名は「天然トルマリン」。
じつはトルマリンは宝石名であり、ピンク・トルマリンやイエロー・トルマリンと色名を冠するのが一般的。
モース硬度は7半で、三方晶系の珪酸塩鉱物です。
トルマリンの和名は「電気石(でんきせき)」。
熱したり、強く擦ったりすると電気を帯びる性質が由来です。
参考記事:宝石の和名が知りたい!名付けに役立つ宝石の名前や漢字のヒント一覧
石言葉
トルマリンの石言葉は「パワーの充実」。
色それぞれに石言葉があり、誕生石であるピンク・トルマリンは「広い心」「思慮深さ」。
10月の誕生石
トルマリンのなかでも、ピンク色が10月の誕生石に制定されています。
日本のほかにはアメリカでピンク・トルマリンが10月の誕生石。
関連記事:知っておきたい!誕生石の一覧と意味(石名の英語表記つき)
トルマリンの種類は?希少なパライバ・トルマリンはどんな色?
色の種類とトルマリンの名前
カラーレスからブラック、すべての色が揃っているトルマリン。
同じグリーンでも色調がひとつひとつ異なっているため、その表情の違いを見るのが楽しい宝石です。
なかでもパステルカラーや、ひとつの結晶に2色以上の配色をもつパーティーカラーが人気。
トルマリンのパーティーカラーはピンクとグリーンの組み合わせが最も多く、2色の場合はバイカラー、3色の場合はトリカラーと呼ばれます。
中心と外側の色が異なる場合には平板状にカットされ、結晶の中心がレッドからピンク、外側がグリーンの配色のものは、ウォーターメロン・トルマリンとして知られています。
スイカのような甘いカラーリングと、シャープな印象のスライスカットの組み合わせに惹かれる方も多いのではないでしょうか。
ほかにもルビーに似た色味のレッド・トルマリンは「ルベライト」、深いブルー・トルマリンは「インディゴライト」と呼ばれることも。
ネオンブルーが美しい「パライバ・トルマリン」
たくさんの色を示すトルマリンのなかでも、1980年代末に発見されたのが「パライバ・トルマリン」。
宝石探検家バルボーサがブラジルのパライバ州で発見した鮮やかなこのトルマリンは、ネオンブルーと称される独特の色彩を持ちます。
酸化銅、酸化マンガンが混入することでブルーからグリーンを示し、国によって人気の色調が異なります。
たとえば日本ではブルーみが強いものが人気の傾向。
とはいってもピーコック・グリーンのような冴えたグリーンも捨てがたいですよね。
その独特な色味を表すために、「エレクトリック・ブルー」や「イルミネーション・カラー」といった表現が使われることも。
現在ではパライバ産以外でも、銅およびマンガンが色因となったブルーからグリーンの色であれば、「パライバ・トルマリン」と呼ばれます。
ブラジル以外では、ナイジェリアやモザンビーグなどのアフリカ大陸が主な産出地。
また、「パライバ・トルマリン」は1カラットあたりの価格が宝石のなかでも最も高いことでも知られています。
産出量も少なく、1カラット以上のパライバはとても希少。
大きさよりも色が重要であり、そのほかの条件が同じあれば、より色味が良いものを選ぶことをお勧めします。
取り扱い時の注意点は?
エメラルドに次いでインクルージョンを含む可能性が高いとされているトルマリン。
硬度も7以上あり特別脆いわけではありませんが、急激な温度変化や衝撃は避けたい宝石です。
手入れの際には中性洗剤やぬるま湯を使用し、超音波洗浄器での洗浄は厳禁。
エメラルド同様、使用後は柔らかい布で拭ってくださいね。
POINT
- トルマリンの豊富な色は複雑な化学組成によるもの
- 一般的には色名を冠して呼ばれるが、「ルベライト」など個別の名前を持つものも
- パライバ・トルマリンは1カラットあたりの価格が宝石中最も高価
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大学卒業後、ジュエリー専門学校にてメイキングとデザインを学ぶ。ジュエリーセレクトショップ・百貨店にて販売員経験あり。あなたとジュエリー・アクセサリーとの距離を縮める記事をお届けします。