コラム

アンティーク・ジュエリーの買い方は?その魅力をアンティークショップに聞く

古い時代のものには不思議な魅力があります。アンティークのジュエリーや道具には、その時代ならではの素材や作り・デザイン・味わいがあり、傷さえも歴史のひとつ。

古いほど価値が出る場合もあり、オークションで高額落札されているのをご存じの方もいらっしゃるのでは。

もう少し身近なレベルで、アンティークのジュエリーやアクセサリーに興味があるけれど、どうすればいいの?とお思いの方へ。
今回は、アンティークのジュエリーや道具を扱っているQueen’s Wayさんにお話をお伺いしてきました。
長年に渡る買い付けや販売経験から、買い方のヒントやリアルなエピソード、アンティークの魅力をお届けします。

※なお「アンティーク・ジュエリー」と「ヴィンテージ・ジュエリー」は、厳密には指す時代が違います。今回の記事では「古い時代のもの」という大きなくくりとして「アンティーク」という用語を使用しています。

アンティークの世界を知るには?

アンティークの世界に触れるには「フェア」がおすすめ

お話をお伺いしたのは新宿で開催されたアンティークフェア。会場にはたくさんのショップが並んでおり大盛況でした。

「まず一度アンティークのジュエリーやアクセサリーを見てみたい、触れてみたい…」という方には、このようなフェアで雰囲気を知るのがおすすめとのこと。

【東京周辺で行われるアンティーク系のフェア(例)】

フェアは基本的には展示販売会。
フェアによって主催者の色が出たり、出展分野・規模の違いがあり、例えば「新宿のアンティークフェアは洋ものアクセサリーが多い」といった特徴があるそうです。
出展分野やショップは事前にWebサイトなどで確認してみてくださいね。

この他、地域の骨董市などに近隣のショップが出展されていることもあります。

ショップによって取扱い品が違う?

アンティークの品を扱うショップは、それぞれコンセプトや独自の視点を持っています。
ジュエリーのお店といっても、時代を区切り「ヴィクトリア朝だけ」、地域を区切り「アメリカだけ」…扱い品目や価格帯も本当にさまざま。

上記のようなフェアで自分の興味関心や感覚にぴんとくるショップ、信頼できるショップを探すのが買い方のコツのひとつです。

アンティーク・ジュエリーはどうやって仕入れる?

「口コミ」から出会う英国アンティーク

Queen’s WayさんはもともとTV撮影等のリース用から海外のアンティーク・ジュエリーを扱い出したそうです。

アンティークはどんなふうに仕入れるのでしょうか?

Queen’s Wayさんの場合、仕入れは主に「口コミ」でつながりを広げていったとのこと。

買い付け先はイギリスの田舎町。
イギリス人はもともと古いもの好き・道具好きな性格、また英語圏なので各国のアンティーク品も集まりやすいのだそうです。

知らない町のパブに寄っては情報を聞いて人を訪ねたり、旅する楽しみも味わいながら仕入れをしてきたというQueen’s Wayさん。

“もの好き”がこうじてやっているの」。この一言が、生き生きとしていてとても素敵でした。

買い付けの3つのポイントとは?

Queen’s Wayさんの扱う品は、20世紀以降、比較的近年のヴィンテージものが中心。特に1960年代は世界中で面白いものがあった時代だと言います。

Queen’s Wayさんは長年の目利きで、感覚的にいまの時代でも実際に身につけられるジュエリー・アクセサリーを選びます。
買い付けのポイントは「時代をいつわってない」「直しのない」「今、身に着けられる」の3点。

残念なことに、時代をいつわっている業者、「~風」とニセモノを出す業者もいるとか。

かつては取引で騙されたり間違えたりしたこともあるそうです。でも「自分の見る目がなかった、それも勉強」。
逆に、センス優先で仕入れて、気づいたら実はトリファリ(アメリカの有名なコスチュームジュエリーブランド)だった、ということも。

また面白いもので、必ず「海外でもうまが合う人がいる」んだそうです!お話を聞いているだけでも、国を超えた人間どうしの生々しい取引の世界を感じます。

指輪が好きなQueen’s Wayさん。
「買い付けの旅で、1個だけ自分の『お疲れさま』を買うことにしているの。」

運命としか言えない…!アンティークの魅力とは

時を超えて、ロシアから埼玉へ!運命のエピソード

お聞きしたエピソードをひとつご紹介。

イギリスのとある町で出会った男性は、ふだんはブルーカラーの労働者、副業でアンティークを扱っている人でした。

変わった指輪を持っており、イギリスでもない、フランスでもないし…と思っていたら「ロシアもの」だと。これは珍しい!といくつか仕入れたロシアの指輪。

中でも、珊瑚と18金を組み合わせたとても美しい指輪があったのです。

フェアに出していたところ、さいたまスーパーアリーナで「…私、ずっと珊瑚の指輪を探していたんです…」という方が。

はめてみたら、なんとサイズがぴったり!

Queen’s Wayさんは、こんなぞくぞくする運命の出会いに何度も立ち会ってきたそう。

ロシアからイギリスへ、そして日本の埼玉へ…「大事にされたから海を渡って、今ここにいる。また次に渡す」、そのお手伝いをしているのだとQueen’s Wayさんはにっこりされるのでした。

選ぶのは自分!一期一会の面白さ

アンティークジュエリーを扱っていて面白いのは、「みんな自分で選ぶ、自分の1等賞がある」ところだとQueen’s Wayさんは言います。

アンティークの選び方は服よりも個性が出るもので、同じようなファッションでやってきた友達二人組でも気に入るものは違うのだとか。そして、価格で迷っても皆一番気に入ったものを買っていくし、その人ごとに似合うものがあるのだそうです。

商売を続けてこられたのはひとりひとり違うお客様のおかげ。

お客さんってすごい。

長年ひとつひとつの品を自分の目利きで仕入れ、個性豊かなお客様に手渡してきたQueen’s Wayさんの感慨深い言葉です。

アンティーク・ジュエリーとの出会いは一期一会(いちごいちえ)。
アンティークを買うとは、信頼できるお店との出会いを楽しみ、時空を超える運命的な出会いを楽しむ、ということなのかもしれませんね。

POINT

  • アンティークの魅力に触れたいなら「フェア」を覗いてみよう
  • ショップによって考え方や個性、目利きはそれぞれ。信頼できる店選びを
  • 自分で選ぶ!「運命の出会い」がアンティークの面白さ

取材協力・写真協力:Queen’s’ Way

※2020年の各種フェア・イベント開催については主催者の最新情報をご確認ください。

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