NHK朝の連続テレビ小説「なつぞら」(月~土曜朝8時~)は戦後から昭和30年代が舞台。
北海道で育った主人公・奥原なつ(広瀬すずさん)は東京で動画の会社に就職、アニメーターへの道へ。いよいよ本格的な仕事モードのアニメーション編に突入ですね。
ところで東京・新宿編から話題になっていたのが山口智子さん演じる元ダンサーでおでん屋の女将・岸川亜矢美のド派手な昭和レトロ衣装。なつの通勤着も亜矢美センスに?!
この昭和レトロなファッション、最近改めて注目されています。
今回は、山口智子さんの衣装のヒントにもなった映画のご紹介から、懐かしの昭和映像にコーデのヒントまで、昭和レトロスタイルについてお送りします。
山口智子さんの衣装のヒントになった昭和の映画とは?
ド派手な衣装のヒント「カルメン故郷に帰る」
水玉模様や花柄…明るいカラーや柄×柄の組み合わせにスカーフや大ぶりのアクセをつけたコーデがなんともド派手な亜矢美スタイル。
衣装の参考にしているのは昔の日本映画。そのひとつが「カルメン故郷に帰る」の高峰秀子さんなのだそうです。
「カルメン故郷に帰る」は戦後日本初のカラー映画(総天然色映画)として制作、昭和26年(1951)に公開された記念すべき映画です。
ストリッパーの帰省というユニークな顛末を描いた喜劇で、雄大な浅間山や自然の風景の中で浮きまくるリリィ・カルメン(高峰秀子)&朱美(小林トシ子)コンビの鮮やかなド派手衣装の対比が面白い!
「色」の魅力を最大限に生かした映像が繰り広げる物語は今見ても新鮮です。
「なつぞら」の亜矢美は戦後の苦難を乗り越えたダンサーで、どこか陽気に人生を演じているようなキャラクター。カルメンさんの衣装や雰囲気と共通するものがあるかもしれませんね。
ココ・シャネルのイメージも衣装に投影
また川村屋のマダム(比嘉愛未さん、彼女のエキゾチックなドレス姿も印象的!)の元に乗り込んだ時の亜矢美の衣装は、ココ・シャネルのイメージだったそうです。
ジャケットの上からパールのロングネックレスを何重にもつけ、ハットをかぶった亜矢美の姿はたしかにシャネル。20世紀を代表する自由なファッションの先駆者のスタイルもお似合いでした。
昭和レトロスタイルとは?「なつぞら」に「俺スカ」、「ひよっこ」も!
「なつぞら」の時代、リアルではどんなファッション?
さて昭和レトロスタイルってそもそも何?昭和時代は60年以上もあるじゃない?とお思いの方もいらっしゃるのでは。
ちなみに「なつぞら」のなつが上京したのは昭和31年(1956)。リアルでは美空ひばり・江利チエミ・雪村いづみの「三人娘」が大人気だった時代です。
当時のドレススタイルの参考に、昭和32年(1957)の映画「ジャズ娘誕生」より江利チエミさんの「Come on a My House」を。同年「嵐を呼ぶ男」で大人気となる石原裕次郎さんも登場していますよ。(直接再生できませんので、「この動画はYou Tubeでご覧ください」のリンクからYou Tubeでご覧ください。)
「昭和レトロ」はどんどんリミックス状態に
最近ドラマなどで取り上げられる昭和のファッションは、大まかには3つのイメージに分けられそうです。
- 昭和初期:大正末期から戦前、日本に洋装が取り入れられた頃の「モボ・モガ(モダンボーイ・モダンガール)」のファッション
- 昭和中期:戦後から高度経済成長期のポップでカラフルなファッション
- 昭和後期:DCブランドや平成にかけてのボディコンなど「バブリー」ファッション
もちろん服飾の歴史を考証すればもっと細かくさまざまな変化があるのですが、今「昭和レトロ」といえば、上記の3方向で何となく昭和っぽいムードをざっくりリミックスして再現する傾向がよく見られます。
「なつぞら」の衣装も、戦後っぽさの残る「カルメン故郷に帰る」から昭和30~40年代…と「カラフル・柄」をベースにした広い意味での昭和レトロのリミックススタイルと見受けられます。
ちなみにドラマ「俺スカ」こと「俺のスカート、どこ行った?」(日本テレビ、土曜夜10時~)の教師のぶお(古田新太さん)のファッションテーマが「シックスティーズ(1960s)」。これも昭和30年代半ば~40年代半ばにあたりますね。
1960年代のカラーや柄のイメージ。
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「ひよっこ」で再現されたミニスカートブーム
なお昭和40年代ファッションで触れておきたいのはツイッギー。1960年代のアイコンとも言えるモデルで、昭和42年(1967)に来日、日本のファッションにも大きな影響がありました。
一昨年の連続テレビ小説「ひよっこ」ではこのツイッギーの来日とミニスカートブームがドラマのポイントになっていましたよね。
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昭和40年代の雰囲気がよく伝わるレナウンCM「イエイエ」、1967年(昭和42年)。日本のテレビCM史でも有名な作品です。
令和に息づく昭和!昭和レトロスタイルを楽しもう
昭和レトロの魅力とは?
令和時代のトレンドという記事でも触れた「レトロモダン、温故知新」。
令和の時代になった今だからこそ、昭和時代のもの作りやデザイン、懐かしの可愛さや大胆な遊び心などが見直されています。
レトロな喫茶店や古着、デザインを復刻した家電など、今もところどころで息づく昭和を発見するのも楽しいですよね。
昭和のデザイン、特に服は「凝っている」のが魅力。
昭和中期までは手作りやオーダーメイドも多かった時代で、既製服も国内生産。おしゃれな柄、プリントや織柄のテキスタイルもたくさん作られていました。
計算されたカラーコーディネート、丁寧な仕立て、裏地やボタンの選び方…こだわりのポイントに満ちていたのです。
昭和レトロを令和ファッションにも取り入れてみよう
最近のトレンドは再びエレガンス傾向に。プリント生地のアイテム、ワンピースやブラウスも人気がアップしています。昭和のテイストを刷新したような傾向とも言えますね。
レトロテイストに振り切った新しいブランドも!1960年代を完全再現しているようなブランドも登場していますよ。
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ヘアメイクもキメキメ!の昭和レトロガールを装うのも楽しいですし、そこまででなくても、昭和のおしゃれ心やテイストを着こなしに取り入れてみては?
オレンジやイエローなどポップなカラーを取り入れたり、スカーフや柄アイテムを一点投入するだけでもコーデが新鮮に。
ご実家のクローゼットやお祖母様のタンスの中に、ヴィンテージ感のあるアイテムやハイブランドのスカーフなどお宝が眠っているかも?家族で楽しく「復活コーデ」の時間を作ってみるのもいいかもしれません。
昭和ジュエリーも可愛い!
昭和のジュエリー・アクセサリーも、今では作られないような凝ったつくりの色石リングなどの魅力が再注目されています。これもご実家に眠っているジュエリーやアクセがある方、ポップに使ってみては?
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参考記事:中古ジュエリー?新品仕上げ?リフレッシュメントジュエリーとは
POINT
- ドラマ衣装で改めて注目される昭和レトロスタイル
- 昭和30~40年代のポップでカラフルなレトロテイストが人気
- スカーフ使いなどで、昭和レトロリミックスを楽しんで
ドラマ衣装から昭和レトロファッションの話が広がりました。昭和はまだまだ取り上げてみたい話題がたくさんある、おしゃれ心満載の時代ですね。
「なつぞら」のなつのモデルと言われているアニメーターの奥山玲子さんという方も、とてもおしゃれだったそう。
なつも、亜矢美さんのド派手衣装を借りるだけでなく、いずれは自分らしいスタイルを見つけていくのでしょうか。昭和レトロなファッションと共に、この先のドラマの展開も楽しみです。
★昭和レトロっぽさを取り入れやすいのがスカーフ。巻き方の参考はこちらの記事を!
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マーケティングディレクター、ジュエリーに詳しいライター、女性メディアライター、ジュエリーデザイナーなどによる専門チーム。