ジュエリーの基礎知識

『宝石の国』をより楽しめる本6冊。考察や理解の参考になるおすすめ鉱物図鑑と仏教本

美しい「宝石」のからだをもつ生き物たちが登場する『宝石の国』。
2012年から「月刊アフタヌーン」(講談社)で連載を開始した漫画であり、2017年にはアニメ化。

日本を代表する「TASAKI」とのコラボジュエリーを発表するなど、漫画の枠を超えて多くのジュエリー・鉱物好きの心を掴んだ作品です。

全108話から成る物語は、2024年4月に完結。

最終回を迎えた後もまだまだ多くの人々を惹きつけ続けている作品です。
今回はそんな『宝石の国』をより楽しめる本を6冊ピックアップ

『宝石の国』をもう一度読み返す前に、世界観により浸れる本を読んでみてはいかがでしょうか。

『宝石の国』のあらすじ。鉱物に仏教、おすすめの本6冊

「にんげん」と呼ばれた生物がいた世界よりはるか遠い未来。
「宝石」のからだを持つ生命体が日々のくらしながら、「月人(つきじん)」と呼ばれる敵と戦います。

主人公は、薄荷色の美しいからだをもつ未熟な宝石「フォスフォフィライト」。
この「フォス」の成長や自己探求が物語のテーマとなっています。

簡単にあらすじを説明したところで、まずは宝石たちの特性がわかる本を3冊ご紹介。

「宝石」への知識を深めたいならこの3冊

  •  『学研の図鑑 美しい鉱物』(松原 聰, 2013年, 学研プラス)

鉱物の特徴や成り立ちを写真と共に紹介。
鉱物とは何か、どういうように分類できるのかを知ることができる、初心者から愛好家まで幅広い層におすすめな一冊です。

『宝石の国』に登場する「シンシャ」がなぜ毒をもつのか。
「フォス」を構成するひとつとなった「」はどういう鉱物なのかというように、鉱物への知識を深めることでキャラクターへの理解が少し進むはず。

  • 『宝石と鉱物の大図鑑』(スミソニアン協会(監修), 諏訪恭一・宮脇律郎(日本語版監修), 2017年, 日東書院)

世界中の宝石や鉱物、宝飾品をフルカラーで収めたタイトル通りの「大図鑑」。

重さは約2.5kg、宝石ひとつひとつについて丁寧な解説がなされており、知的好奇心を刺激し、読む人に感動を与える一冊です。

他の図鑑で取り上げられることの少ない「フォスフォフィライト」のことも知ることができます。

宝石とは何?宝石と鉱物との違いとは?宝石の基本、定義と種類

  • 『鉱物と宝石の文化誌』(クンツ,ジョージ・フレデリック(著), 鏡 リュウジ(監訳), 2023年, 原書房)

鉱物や宝石が文化にどのように影響を与えてきたか。
今は迷信と呼ばれているような事例や逸話を紹介しながら、人と鉱物・宝石との関わりの歴史を辿ることができます。

これは、「クンツァイト」の名付け親であり、ティファニーの副社長をつとめた宝石学の権威クンツ博士による一冊。

化学的な構成要素ではなく、「文化的」な側面から宝石についての知見を深めたい方におすすめです。

「宝石の国」の世界観に浸りたいならこの3冊

つぎに紹介するのは『宝石の国』の世界により没入できる3冊。

『宝石の国』は仏教的な思想をテーマとして描かれています。

作者である市川春子氏は仏教系の高校を卒業しており、インタビューでも仏教経典「無量寿経」の一節に触れたことが創作のきっかけとなったと答えているなど、作中でさまざまな仏教的モチーフをみることができます。

仏教についてあまり知らない方へ、物語への理解を少し進められるかもしれない本をピックアップしてご紹介。

  • 『般若心経 入門』(ひろさちや, 1994年, 大蔵出版)

「死なない」という特性を持つ宝石たち。
纏っている服が「喪服」を模していたりと、『宝石の国』では死生観が重要なテーマのひとつとなっています。

仏教の「空(くう)」の思想を中心に、専門知識がなくても読みやすい仏教的な死生観を理解することのできる一冊です。

「すべては空であり、実体はない」という仏教的な思想は、変化するたびに生じる「フォス」の葛藤を理解する上できっと重要なヒントになります。

 

  • 『45分でわかる!数字で学ぶ仏教語。 「一念」「四天王」「七宝」…なにげなく使っているけど仏教語です!』(星飛雄, 2001年, マガジンハウス)

度重なる欠損と補完を繰り返し、7つの物質から成ったフォスフォフィライト。
この7つの鉱物が「仏教の七宝」と一致すると考えられるなど、物語のさまざまな箇所で仏教語との関連がみられます。

登場する数字との関連性を探しながら、漫画を読み直すのも楽しそうですね。

  • すぐわかる日本の仏教美術 改訂版(守屋正彦, 2010年,東京美術)

「月人」の描写が仏教美術の来迎図に似ているとされるなど、仏教美術の造形表現から『宝石の国』を読み解くヒントとなる一冊。
用語解説や図表で、仏教美術を理解するために必要な専門知識もカバーされています。

POINT

  • 『宝石の国』をより楽しむためのヒントとなる本は「鉱物」と「仏教」
  • 「宝石」への知識を深めたいなら宝石・鉱物図鑑を
  • 『宝石の国』の世界観に浸りたいなら仏教の入門書や美術書を

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