フォトエッセイ

私のマストアイテム、アウトドアと日常を行き来するモンベルの帽子。【- Shining Moments:46 -】

冬のハイキングでデジタルデトックス

冬晴れの日曜日、友人とふたり、ハイキングに出かけた。

アウトドア不精な私が自発的にハイキングへ出かけるはずもなく、誘ってくれたのは友人のほう。「山行こうよ、山!」と軽い調子で言われたときはどうしようかと思ったが、これはいいかも、と、私は歩き始めて5分も経たないうちに再訪を決めたのだった。

ジュエリー エッセイ 山田ルーナ

ジュエリー エッセイ 山田ルーナ

僧侶でさえ走り回る忙しさという意味の師走。私のようなフリーランスでもやはりのんびりはしていられず、気がつけばパソコンから離れられない日々が続いていた。デジタルデトックスというけれど、パソコンやスマホから離れる時間を設けることって本当に大切だと思う。

それが自然の中なら尚さら良い。山の中は電波が繋がらないし、スマホを確認する術もなければ必要もない。ただ豊かな色を見て、風の音を聴き、太陽の暖かさに感謝する。人間本来の喜びみたいなものを、山の中で私は思い出しているようだった。

ジュエリー エッセイ 山田ルーナ

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山の深くは紅葉が美しく、道にはいっぱいの落ち葉。足元に積もった枯葉色の絨毯を、がさっ、がさっ、と、わざわざ踏みつけて歩いてみる。ようやくの休憩では、友人が作ってくれた美味しいお弁当を、口をいっぱいに大きく開けて頬張る。なんだか、子どもの頃に戻ったような気がした。

ジュエリー エッセイ 山田ルーナ

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アウトドアファッションのこと

私たちが訪れた三重県の多度山にはいくつかのハイキングコースが用意されていて、頂上からの下山のルート、私たちはややハードな道を選んだ。(本当のことを言うと選んだのではなく、分岐点を間違えて気がついたらハードな山道を下っていた)

経験者の友人曰く「山って言ったって、のんびりしていて気持ちいいハイキングコースだから」という山だが、この道は彼女も計算外。ハイキングというよりは急な傾斜を足元に気をつけながら進む、まさに下山といった様子で、日ごろ座って仕事をしている私たちにとってはかなり良い運動になった。

ジュエリー エッセイ 山田ルーナ

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少し寒いかなと不安だった服装も、これだけの運動をしていたらちょうどいい。

ちなみに私は、アウトドアをあまりしないわりにはアウトドアブランドが好きなようで、この日のために新調するのではなく元々持っていた服を組み合わせて行った。

ジュエリー エッセイ 山田ルーナ

ビンテージのパタゴニアのフリースと、デサントのパンツと、モンベルの帽子。

特にあって良かったなと感じたのは、モンベルの帽子だ。軽くて薄くて暖かく、それでいて通気性の良いビーニー。サイドに若干垂れるデザインなので耳が冷えることがないし、ニット帽のように被れるので気に入っている。

このモンベルの帽子には、実はちょっと思い入れがあった。

ジュエリー エッセイ 山田ルーナ

約10年間愛用しているモンベルの帽子

約10年前に購入したモンベルの帽子。私にとっては初めてのモンベルのアイテムだった。

アウトドア目的で買ったのではない。当時ロンドンへの卒業旅行を控えていた私は、その旅行に被っていくために、モンベルの帽子を選んだのだった。

ジュエリー エッセイ 山田ルーナ|卒業旅行先のロンドンにて

正直どういう経緯でモンベルのこの帽子と出会ったのかは覚えていないが、なぜアウトドアブランドで帽子を選びたかったのかは覚えている。よく訪れるセレクトショップのスタッフが、いつも絶妙にスポーツブランドの帽子をファッションに取り入れていたからだ。カッコいいファッションブランドの洋服でまとめた隙のないスタイリングに、なんてことのないような化繊のスポーツキャップ。一見カッコいいのかカッコ悪いのか判断しかねるそのバランスは、一周回ってやはりカッコよく、私はその装いに憧れたのだった。

だから選んだ、モンベルの帽子。それはロンドンへの卒業旅行で大活躍したし、毎冬の私の定番アイテムになった。去年はパリへの旅行でも被った。抜け感というとまた違うのかもしれないが、ともかく私の装いに好みの隙を与えてくれるような欠かせないアイテムが、この帽子なのだ。

価格も忘れてしまったが、決して高いものではない。多分数千円。だけど約10年間被りつづけて、そしてこれからも愛用していく、私のマストアイテムである。

ジュエリー エッセイ 山田ルーナ|昨年秋、フランスで

祈るとは何か。マティスの〈生命の木〉ロザリオ礼拝堂を訪れる。パリ旅行記番外編【─Shining Moments:35 ─】

アウトドアと日常を行き来する

だからむしろアウトドア用途で使うのが初めてだったくらいだが、モンベルは本来登山に特化したブランドであるし、今回私はその機能性を十分に実感することができた。

とはいえ、この先もやはり普段のファッションで重宝するのだろうが、この冬のハイキングを通じて、もっと気軽に行き来してもいいのかもしれないなと思った。

私のこのモンベルの帽子のように、私という人間もまた、日常と自然を軽やかに行き来してみてもいいかもしれない。私たちはどこか特定の環境にいるためだけに作られたのではない。新しい意味を見出してあげられるかどうかは、きっと自分次第なのだろう。

ジュエリー エッセイ 山田ルーナ

またモンベルの帽子を被って、自然を味わいに行こう。撮ってきた写真を見ながら、画面に映るこの景色よりももっと鮮やかだった山の表情を想う。良い経験だったなと思い返すたびに、体も心も解放されていくようだ。もしかしたらハイキングの醍醐味って、最中だけではなく、振り返るこの時間にもあるのかも?

今日も街で被ったモンベルの帽子。同じ経験をしたこの帽子を傍らに置いて眺めながら、また行こうねなんて、相棒にでも話しかけるような気持ちになっている私だ。