ジュエリーの基礎知識

【宝石の種類】ユークレース:意味と和名、硬度。多色性とカットの難易度は?

淡いアクアマリンブルーが人気の「ユークレース(euclase)」。

トパーズやベリルといったほかの鉱物と一緒に見つかることも多いこの宝石は、レアストーンの一種。
コレクターしか知らない知名度の低い宝石でしたが、『宝石の国』で一躍その名を知られるように。

今回はユークレースの基礎知識についてお届け。
ジュエリーとして目にする機会の少ないユークレースの魅力は?

ユークレースの意味、和名、石言葉は?

ユークレースの意味と和名

ユークレース(euclase)」はギリシャ語で「よく」「壊れる」を意味するギリシャ語の「eu」「klasis」の合成語。

一方向に完全な劈開をもつことが名前の由来とされています。

モース硬度は7半。
単斜晶系の珪酸塩鉱物。

和名はなく、英名の「ユークレース(euclase)」のみ。

主な産出地はブラジル、アメリカ、インド
ロシアやタンザニアでも宝石質のユークレースは産出します。

日本の岐阜県でも過去に産出しましたが、とても小さな結晶だったとか。

現時点では産出地としてあげるのは難しいですが、もしかすると将来は産出地に名を連ねることがあるかもしれませんね。

ユークレースの石言葉

ユークレースの石言葉は「希望」「奇跡」
未来への幸せな予感を感じさせてくれる石言葉です。

ユークレースの多色性とは。カットが難しい宝石

 

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ユークレースのカラーバリエーションとカットの難易度

淡いアクアマリンブルーの人気が高いユークレース

ブルーといっても濃い藍色まで、濃淡のあるブルーを楽しめます。
そのほかのカラーバリエーションはクリアやホワイト、淡いグリーン。

特に濃いブルーのユークレースは多色性が顕著

カットの際には、どの方向からカットをすると石の魅力を引き出せるかといった、オリエンテーション工程が重要。

宝石の「ルース」とは?英語でどう書く?原石からカット、加工の流れ

そのうえ、ユークレースは完全な劈開をもつことから、正面のファセットが劈開面に沿った方向とならないよう注意する必要があります。

多色性と劈開性、これらふたつの性質を考慮する必要があるため、ユークレースのカット難易度は宝石の中でも高いといえるでしょう。

基本的にはファセットカットが施され、エメラルドカットなどのステップカットが多くを占めます。

『宝石の国』のユークレース


2017年にアニメ化、TASAKIとのコラボジュエリーを展開した『宝石の国』。
漫画の枠を超えて多くのジュエリー好きを魅了し、また宝石の魅力を新たな層に届けた作品です。

登場人物のひとりである「ユークレース」は書記担当で、体の半分がグレーホワイト、もう半分がブルーであることが特徴。

この体色はおそらくユークレースの多色性、おもなカラーバリエーションのブルーとホワイトを表現。

自身が「割れやすい」からと戦闘を恐れていることも、鉱物としてのユークレースの性質を如実に表していますね。

取り扱い時の注意点は?

硬度は問題ないものの、一方向に完全の劈開をもつユークレース

宝石表面につく傷には強いものの、衝撃に弱い性質を持ちます。

そのため、着用時にぶつないこと、手入れ時に超音波洗浄器を使用しないことといった、あらゆる衝撃を避ける必要があります。

宝石の表面の汚れは汚れはセーム革などの柔らかい布で拭うこと。
着用時・保管時にぶつけないよう心がけて。

ユークレースのルースをジュエリーに仕立てるなら動きのある手に着けるリングを避け、ピアスやイヤリング、ネックレスといったアイテムがおすすめ。

POINT

  • レアストーンの一種であるユークレース
  • 「よく割れる」というギリシャ語の合成語が由来
  • 劈開が一方向に完全のため、衝撃に弱い性質をもつ

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