「ダンビュライト(danburite)」。
あまり聞きなれないのもそのはず、透明度の高い一握りの結晶のみが宝石として研磨されるコレクター向けの鉱物です。
その美しさは水晶の透明度を上回るとも。
また、トパーズにも似ているとされていますが、そのような違いがあるのでしょう。
今回はダンビュライトの基礎知識についてお届け。
ダンビュライトの意味、和名、石言葉は?
ダンビュライトの意味と和名
ダンビュライトの由来は発見された地名から。
アメリカはコネティカット州のダンベリ(Danbury)で発見されました。
ダンベリは50種類以上の鉱物が産出する、ニューイングランドの宝石地帯と称される土地でもあります。
ジルコンやムーンストーン、クオーツといった宝石としてはメジャーな鉱物も数多く産出。
そんな彩り豊かな宝石の産出地の名を冠するダンビュライトは1839年に発見。
比較的新しい宝石のひとつです。
モース硬度は7から7半。
直方晶系のケイ酸塩鉱物。
劈開はなし。
和名は「ダンブリ石」。
主な産出地はスイス、ミャンマー、メキシコ。
すでに閉山してしまいましたが、過去には日本の大分県や宮城県でも産出していました。
関連記事:宝石の和名が知りたい!名付けに役立つ宝石の名前や漢字のヒント一覧
ダンビュライトの石言葉
ダンビュライトの石言葉は「理性の石」。
身につけていると心を鎮めてくれそうと伝えられているのは、その透明な輝きが穏やかな水の流れを連想させるからかもしれませんね。
ダンビュライトとトパーズ。どこが似ている?
ダンビュライトの劈開性は?トパーズとの違い
透明から白色の印象が強いダンビュライト。
他にも黄色やピンクといった色も産出します。
無色や琥珀色のダンビュライトはトパーズに似ているとも。
また、色だけでなく結晶の形にも類似点がみられます。
透明度が高く、結晶の形は柱状。
一見、見分けることが難しそうですが、大きな性質の違いがあります。
それは「劈開」の有無。
ダンビュライトには劈開がなく、一方トパーズは一方向に完全。
トパーズの結晶は伸びている方向から直角に衝撃を与えると、平滑な断面が現れるのです。
ダンビュライトの断面は時に虹色に輝くため、研磨されたルースだけでなく、原石にも愛好家が多いのも頷けますね。
また、ダンビュライトはクオーツよりも屈折率が高いため、透明度の高い個体はファセットカットでよりその美しさが引き立ちます。
ダンビュライトの屈折率は1.63から1.64とトパーズと同程度(トパーズは1.64)なので、この点も似ているとされる理由のひとつです。
古くではダンビュライトはダイヤモンドの代用品として用いられることも珍しくはなかったとか。
ダンビュライトの主な産地
初めてダンビュライトが発見されたのはアメリカですが、主な産地はスイスやミャンマー、ロシア。
なかでもロシアでは宝石質で30cmもの長さとなるダンビュライトが発見。
ダンビュライトの大きな結晶の多くは宝石質ではないため、希少といえるでしょう。
ロシアでは他にもブランデー、ゴールデンカラーと称される黄褐色系のダンビュライトが産出。
マダガスカル、タンザニアでも同系色のダンビュライトが産出しますが、ロシア産が高品質とされています。
取り扱い時の注意点は?
硬度は7から7半と、宝石として充分な硬度を持ちます。
日常使いには支障がないものの、硬度が劣る石との接触は避けて保管しましょう。
クオーツやトパーズといった似た透明石も多いため、購入時には混同しないよう信頼のおけるお店で購入してくださいね。
POINT
- 透明度の高いものは水晶の美しさを上回るともされているダンビュライト
- 名前の由来は発見地であるダンベリ(Danbury)から
- 結晶の形がトパーズと似て柱状を示すが、ダンビュライトには劈開はない
【あわせて読みたい】白色、透明の石がお好きなら
この記事を読んだ人は、こんな記事も読んでいます
大学卒業後、ジュエリー専門学校にてメイキングとデザインを学ぶ。ジュエリーセレクトショップ・百貨店にて販売員経験あり。あなたとジュエリー・アクセサリーとの距離を縮める記事をお届けします。