2023年4月14日にseason5が配信されるAmazonビデオのオリジナルドラマ「マーベラス・ミセス・メイゼル(The Marvelous Mrs. Maisel)」。
2018年のエミー賞で5冠を達成した本ドラマも、今シーズンでファイナル。
今回は「マーベラス・ミセス・メイゼル(The Marvelous Mrs. Maisel)」のseason4までを振り返り!
そもそも50年代アメリカのファッションとは?
ミッジの衣装から読み解く当時のアメリカの状況など、ファイナルシーズンをより楽しめる情報をお届け。
マーベラス・ミセス・メイゼルあらすじ。戦後の「古き良きアメリカ」ファッション
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1958年。
アメリカが戦後の好景気に湧いていた時代。
そんな「黄金の50年代」を舞台に、専業主婦のミリアム・メイゼル(レイチェル・ブロズナハン)が「コメディエンヌ(漫談師)」として躍動する様を描いたのが本ドラマ。
ミッジはアッパーウエストサイドに住まう中流階級の専業主婦だったのですが、あることがきっかけでスタンダップ・コメディのステージに上がり、漫談師として着実にキャリアを積んでいく!
と思いきや、season3の最終話で振り出しに戻ったりと、その歩みは決して順調とはいえません。
しかし、様々な抑圧をはねのけるミッジの軽やかな漫談は面白いだけでなく、聴く人に力を与え、ミッジ自身はもちろん家族や取り巻く人々の人生をも変えていくのです。
そんなミッジたちが生きた50年代とはどのような時代だったのでしょう。
アメリカの「黄金時代」
「古き良きアメリカ」「黄金の50年代」と称されただけあり、とても華やかな時代。
というのも、アメリカは第二次世界大戦の戦勝国であったから。
経済発展により生活水準が向上し、テレビの登場によりセレブやハリウッドスターが誕生。
マリリン・モンローが活躍したのもこの時代です。
いわゆる中流階級が生まれたのも50年代の特徴であり、ワイスマン家(ミッジの実家)も中流階級にあたります。
中流階級の出現とファッションの変化
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上流階級と労働者階級の間に位置する中流階級。
この中流階級の出現は多くのことを変え、ファッションも例外ではありませんでした。
上流階級のみに許されていた「モード」がはじめて中流階級、つまり庶民に広がったのです。
そしてこの時代のファッションといえばディオールの「ニュールック」。
1947年に発表されたこのコレクションは、AラインやYラインといった女性らしさを強調するシルエットで、戦中の抑制された衣服から女性たちを開放したのです。
そして1959年にはピエール・カルダンがはじめて「プレタポルテ(既製高級服)」を発表。
本格的なファッションの民主化の幕開けでした。
50〜60年代アメリカから読み解くミッジのファッション
目に鮮やかな色使いに、多様なシルエットのスカート。
肩パットがなくなり、女性らしさを強調するウエストラインのワンピースが登場。
今から見ても可愛い!と思える50年代ファッションから、主人公ミッジを少し読み解いてみましょう。
中流階級の象徴としてのファッション
ワイスマン家にメイド(お手伝いさん)がいることやミッジの服専用の部屋があることからも推測はできますが、身にまとうファッションからもミッジが中流階級であることが伺えます。
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そのひとつがグローブ。
もちろんミッジも百貨店勤務時には身につけていませんが、家事で手を汚したり日常的に汚れる心配がないからこそ、身につけられるアイテムの象徴がグローブなのです。
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もうひとつがペンシルスカート。
現代では珍しくはないペンシルスカートは、裕福さの表れでもあります。
歩幅や動きが制限されるため、労働で屈んだりする必要がない中流階級の女性だからこそ身につけることができたのです。
ミッジの元旦那であるジョールの工場で勤務する女性たちの装いをみてみると明らか。
労働者階級の女性は開襟シャツのワンピースや、動きやすいフレアシルエットのスカートに身を包むことが多かったとか。
対照的に、ミッジの母親であるローズはペンシルスカートを愛用しています。
リトルブラックドレスが秘めたタブーへの挑戦
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ドラマ内で様々な衣装が登場しますが、視聴者の目を惹きつけるのがミッジのステージ衣装。
例外はあれども基本的にはドレスアップした装いでステージに上がります。
なかでもリトルブラックドレス(LBD)の登場回数が多いですね。
「美しさは弱点」「女は面白くない」。
そうした言葉に含まれる女性への抑圧を受けながらも、それに屈することなく美しく可憐な装いに身を包む「ミセスメイゼル」として、世のなかの理不尽をネタにし、声をあげる。
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リトルブラックドレスはシャネルが1926年に発表した、装飾がそぎ落とされたシンプルなドレス。
それまで喪服のイメージであったブラックをファッションに取り入れ、女性の解放や自由を表現したのです。
ファッション好きのミッジがただ可愛いからと身にまとっているだけの説も否定できませんが、タブーを新しいファッションとして変化させたシャネルのマインドを秘めた戦闘服として、ステージの衣装にリトルブラックドレスを選んでいるのかもしれませんね。
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現代にも残るあらゆる差別。
しかし、それに抗い、声を上げ続けてきた先人たちの存在があってこそ、私たちの今の生活があります。
1950年から60年代にかけて、ミッジが生きた時代はまさに「公民権運動」や「女性解放運動」が盛んであった時代。
本質的な豊かさがあったように思える「古き良きアメリカ」で、「コメディエンヌ(漫談師)」として人生を設計することの困難さに直面しながらも、立ち止まることのないミッジの生き様は世代を問わず心を打たれ、抑圧に対しての向き合い方をきっと変えてくれることでしょう。
ファイナルシーズンを迎えるこの機会に、ぜひご覧くださいね。
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大学卒業後、ジュエリー専門学校にてメイキングとデザインを学ぶ。ジュエリーセレクトショップ・百貨店にて販売員経験あり。あなたとジュエリー・アクセサリーとの距離を縮める記事をお届けします。