磨かれ、カットされた宝石は美しい。
たしかにそれは間違いありませんが、そのままの姿でより個性を放つ鉱物があります。
そのひとつが「プレーナイト(prehnite)」。
半透明から透明、淡いグリーンの綺麗な宝石は、原石そのままの形を活かしたアクセサリーも人気。
今回はプレーナイトの基礎知識についてお届け。
プレーナイトの原石はいったいどんな形をしているのでしょう。
プレーナイトの意味、和名、石言葉は?
プレーナイトの意味と和名
鉱物の名前の由来が人名というのは珍しくなく、プレーナイトもそのひとつです。
ただ、ほかと違うのは「初めて」人名が由来となった鉱物であるということ。
プレーナイトがはじめて発見された1780年頃の南アフリカは、当時オランダの植民地。
統治者「Colonel Hendrik Von Prehn」が南アフリカからヨーロッパへこの鉱物を送り、「プレーナイト」と名付けられたのでした。
モース硬度は6から6半、直方晶系の珪酸塩鉱物。
劈開は完全。
主な産出地はインド。
ほかにはパキスタンやポルトガル、ドイツや日本でも産出します。
日本なら新潟県の糸魚川(いといがわ)でごくわずかに採れるそう。
翡翠の産地と一緒ですね。
和名は「葡萄石(ぶどういし)」。
持っていると人の本質を見抜ける「真実を見抜く石」とも信じられていました。
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プレーナイトの石言葉
プレーナイトの石言葉は「健康的な美しさ」。
この石言葉を考えた人は、プレーナイトのみずみずしい果物のような姿からインスピレーションを得たのかもしれませんね。
プレーナイトの原石はどんな形?意外な魅力とは
まるでぶどう!産出地と原石の形状
地球上でもっともありふれた鉱物である玄武岩(げんぶがん)の割れ目や空洞に生まれるプレーナイト。
世界中に産地があり、ラリマーやカルサイトといった鉱物を伴うことも珍しくありません。
カナダでは数cmの大きさの結晶が発見されます。
通常は鍾乳状、または球状で発見され、球が連なった様子がまるで果物のぶどうのよう。
和名の「葡萄石(ぶどういし)」もプレーナイトの原石の形状から着想を得て、名付けられています。
色は淡い緑から緑、白、褐色、淡い黄色。
とくに緑のものはよりマスカット感が強く、とても可愛らしい印象。
丸いビーズ状にカットされブレスレットとして仕立てられたプレーナイトも、つややかなマスカットの粒がひとつずつ並んでいるようにみえ、原石とは異なるマスカット感を堪能できますよ。
プレーナイトにキャッツアイ効果?
プレーナイトは半透明から透明であると冒頭で述べましたが、実際は多くが半透明。
ただ、内側からぼやけるような独特のくもりは、マスカットのような色味と相まって美しい色調を生み出しているため、透明では堪能できない魅力があります。
このくもりは英語で「milkiness(ミルキーネス)」と表現されます。
たしかに牛乳の膜がうっすら張ったようにも見えますね。
褐色、または淡い黄色のプレーナイトを磨くとキャッツアイ効果を示すものも。
稀にペリドットなどの宝石にも見られる油性光沢を持つプレーナイトも産出するなど、プレーナイトは意外と知られていない魅力がたくさんある宝石なのです。
取り扱い時の注意点は?
プレーナイトの硬度はけして高くなく、劈開も完全。
保管時だけでなく、着用時も衝撃に注意。
とくにビーズ状のブレスレットは、硬度の高い宝石や貴金属との重ねづけに注意してくださいね。
また、熱に弱い性質を持っています。
熱湯や温度が高い環境(暖房器具の前に置いたり、直射日光に長時間晒すなど)は避けましょう。
POINT
- プレーナイトは「初めて」人名が由来となった鉱物
- ぶどうの房のような原石が産出、和名も「葡萄石」
- 半透明のものが多く、「milkiness(ミルキーネス)」と表現される効果も魅力的
- 褐色、淡い黄色はカボションカットでキャッツアイ効果を示すものも
- 硬度もやや低く、劈開も完全のため衝撃や熱を避けて着用・保管
【あわせて読みたい】緑の宝石がお好きなら。ペリドットやエメラルドの独特の緑とも比べてみてくださいね。
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大学卒業後、ジュエリー専門学校にてメイキングとデザインを学ぶ。ジュエリーセレクトショップ・百貨店にて販売員経験あり。あなたとジュエリー・アクセサリーとの距離を縮める記事をお届けします。