黒色の宝石の代表格である「オニキス(onyx,onix)」。
ブルガリやショパール、ダミアーニといったジュエリーブランドもコレクションを展開しています。
高級感のある黒は老若男女問わず魅了。
ただ、本来オニキスという宝石は艶のある均一な黒の宝石のみを指すものではありません。
今回はオニキスの基礎知識についてお届け。
オニキスの意味、和名、石言葉は?
オニキスの意味と和名
ギリシャ語で「爪、縞目」に由来。
オニキスといえば黒色のカルセドニーのイメージですが、本来は黒と白の直線的な縞目をもつアゲートを指していました。
※縞模様のあるものがアゲート、ないものがカルセドニー
現在、正式には「オニキス」は黒と白の縞模様を指すアゲートですが、商業的にはブラックカルセドニーを代表とする多種類を指します。
ジュエリーブランドで採用されているのは、多くの場合ブラックカルセドニーです。
和名は「縞瑪瑙(しまめのう)」。
主な産出地はインド。
古代ペルシャでは魔除けとして。
ヨーロッパでも悪霊を払いのけるお守りとして重用されてきました。
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オニキスの石言葉
オニキスの石言葉は「手中にある成功」。
潜在能力を引き出すと信じられていたなど、お守り的な存在であったことが伺えますね。
オニキスは瑪瑙(めのう)?どういう鉱物?
オニキスは石英で多結晶、瑪瑙(めのう)に分類
和名で縞瑪瑙(しまめのう)というように、オニキスは瑪瑙(めのう)の一種。
瑪瑙の英語名は「アゲート(agete)」であり、鉱物としてはアメシストやシトリンと同じ「石英(せきえい)」に分類されます。
ざっくり説明すると石英は単結晶と多結晶に分類が可能。
単結晶はアメシストやシトリンなど、透明でひとつの結晶から成ります。
多結晶は複数の微細な結晶からなる集合体です。
瑪瑙はこの多結晶にあたり、その瑪瑙の中で模様や色、透明度によって呼び名が変わるのです。
サードオニキス(サードニクス)との違いは?
冒頭で白と黒の縞模様を持つものが正式にオニキスであると述べましたが、オニキスの名前がついた宝石は他にもあります。
白と赤の縞模様を持つものはカーネリアンオニキス。
白と茶の縞模様を持つものはサードオニキス(サードニクス)と呼ばれます。
つまり、オニキスとサードニクスは縞模様の色に違いがあるのです。
瑪瑙の縞模様と彫刻・カメオ
瑪瑙は古来より彫刻に適した素材のひとつでした。
もともと瑪瑙は靭性が高く、カメオなどの彫刻作品に適した素材ですが、様々な作品に用いられてきた大きな理由がひとつ。
異なる色の層を持つ瑪瑙は、彫刻作品の幅をより広げてくれるからです。
カットの方向によって大きくふたつの楽しみ方ができます。
層の断面を活かした彫刻や印台。
カットならビーズやカボションカット。
この技法では幾層ものコントラストを楽しむことができます。
濃淡がはっきりしたものも、反対にグラデーションのような曖昧なものも、それぞれ異なる趣がありますね。
一方カメオ。
層を横から楽しむのではなく、模様を彫る深さによりコントラストを生じる技法。
手前の模様と背景の色が異なるカメオは、立体感を生み今にも動き出しそうな躍動感すら感じさせます。
瑪瑙の靭性の高さと縞模様があってこそ叶う表現といえるでしょう。
取り扱い時の注意点は?
オニキスを扱う上でいくつかの注意点があります。
紫外線や薬品への耐性が低いため、汗を含む酸に触れた着用後は、柔らかい布で乾拭きを忘れずに。
また、多孔質であるため水分が染み込みやすい性質があります。
特にブラックカルセドニーは均一な黒色にするため着色処理が施されていることもあることから、アルコールを含む水分は避けてください。
最後に、硬度7と日常の使用に問題ない硬度を持ちますが、衝撃には注意しましょう。
硬度が高い別種の宝石と離して保管するのがベター。
POINT
- オニキスは白と黒の縞模様を持つアゲートを指していたが、現在ではブラックカルセドニーを含む幅広い種類を指す
- 瑪瑙の英語名はアゲートで縞模様があり、縞模様のないものはカルセドニーと呼ばれる。
- 彫刻、カメオといった素材として古くより重宝されてきた
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大学卒業後、ジュエリー専門学校にてメイキングとデザインを学ぶ。ジュエリーセレクトショップ・百貨店にて販売員経験あり。あなたとジュエリー・アクセサリーとの距離を縮める記事をお届けします。