クオーツの一種である「シトリン(citrine)」。
淡いイエローからブラウンイエロー、オレンジイエロー、そしてハニーカラーまで多様なイエローを堪能できる宝石です。
また、誕生石としても知名度があるシトリン。
太陽のような明るいカラーが魅力的ですが、何月の誕生石でしょうか。
今回はシトリンの基礎知識についてお届け。
シトリンの意味、和名、石言葉は?
シトリンの意味と和名
ラテン語で柑橘類を意味する「citrus(シトラス)」が語源。
「シトリン(citrine)」はフランス語でレモンを意味する言葉でもあります。
モース硬度は7、三方晶系の珪酸塩鉱物。
劈開はなし。
和名は「黄水晶(きずいしょう)」。
アメシストは「紫水晶」、スモーキークオーツが「煙水晶」と、単結晶クオーツは水晶の前にその宝石を表す一文字を冠して表されます。
主な産出地はブラジル。
ベトナム、アメリカ、スペインでも産出します。
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シトリンの石言葉
シトリンの石言葉は「友愛と希望」。
古代にはヘビの毒、悪魔から身を守るためのお守りとして身につけられていました。
11月の誕生石
シトリンは11月の誕生石。
もうひとつの11月の誕生石はトパーズ。
イエロートパーズは一見シトリンと似ているとも言われます。
ただし、トパーズは硬度8、劈開も一方向に完全のため性質には大きな違いがあります。
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シトリンは加熱処理が前提?価値が高いのはどこの産地?
天然のシトリンは少ない?アメトリンの秘密とは
実は、市場に出回っている多くのシトリンは加熱処理を施されています。
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天然シトリンの産出は少なく、そのうえ宝石質となるとより希少。
私たちが普段手に取るシトリンは加熱処理済みであることがほとんどなのです。
では何を加熱してシトリンにするのでしょう。
それは2月の誕生石に制定されているアメシスト。
あの透明感のある印象的なパープルに熱を加えるとイエローになるというのは意外ですよね。
この特性をより分かりやすくした宝石がアメシストとのバイカラー宝石「アメトリン(ametrine)」。
アメ(シストとシ)トリン。
このバイカラーは人工的に作られることもあれば、原石の一部に熱が加わることでも生じます。
つまり、二つの宝石を繋ぎ合わせたものでなく、ひとつの石に異なる色がある状態。
バイカラーの宝石はカットの際、色が変わる境目を中心に据え二色をひとつのルースに取り入れカットされるのです。
また、アメシストだけでなくスモーキークオーツも加熱によってシトリンにされます。
アメトリンよりも知名度が低いですが、スモーキークオーツとシトリンのバイカラーもシックで魅力的。
高品質のシトリンの産地は?
同じ宝石でも産地によって色や品質が異なるように、シトリンにも良品が採れる産地があります。
ブラジルのリオグランデ・ド・スル州で採れるシトリンは、「マデイラ・シトリン」と称されます。
オレンジとレッドの中間、その濃く美しい色味はマデイラ島特産のシェリー酒に似ていることから名付けられました。
シェリー酒に例えられる宝石といえば、インペリアル・トパーズが挙げられます。
ここにもトパーズとの共通点がありましたね。
一般的なシトリンは黒味がなく、混じり気のない純粋な色味が良品。
取り扱い時の注意点は?
多くのシトリンに加熱処理が行われていることを考慮すると、退色を防ぐため着用時、特に保管時は直射日光や高温の場所を避けるのが良いでしょう。
硬度7と日常使いには問題はないですが、多くの宝石と同じくなるべく衝撃は避けて。
また、充分な硬度をもつため、硬度の低い宝石を傷つけてしまうことがあることも念頭に入れて着用、保管できるとよりジュエリーライフを楽しめます。
POINT
- 11月の誕生石であるシトリン
- トパーズと同じ11月の誕生石、硬度が異なる
- 天然シトリンは希少であるため、多くはアメシストを加熱処理して色を変えたもの
- ブラジル・マデイラ島で産出する「マデイラ・シトリン」はオレンジレッドの色味で価値が高い傾向にある
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大学卒業後、ジュエリー専門学校にてメイキングとデザインを学ぶ。ジュエリーセレクトショップ・百貨店にて販売員経験あり。あなたとジュエリー・アクセサリーとの距離を縮める記事をお届けします。