「朝ドラ」ことNHKの連続テレビ小説「ちむどんどん」(月~土午前8時~他)。
沖縄育ちで料理人を目指す元気なヒロイン・比嘉暢子(黒島結菜さん)と兄妹の歩みを見つめる、美しい家族とふるさとの物語です。
今回は「ちむどんどん」の作風や、暢子のイメージ柄、愛のファッション「ニュートラ」など…「ちむどんどん」衣装について見てみましょう!
わかりやすさ重視?「ちむどんどん」の記号的な衣装
朝ドラ「ちむどんどん」はあっさり作風?
「ちむどんどん」は、沖縄本土復帰50周年を記念した作品とのこと。
ただ今のところ「1970年代」「沖縄から銀座と鶴見へ…」といった舞台背景を聞いて多くの視聴者がイメージした世界観よりは、だいぶあっさりとした薄味の作風に感じます。
ベトナム戦争やオイルショックのような、時代の空気感もあまりありません。
おそらくは「さわやかな朝のドラマ」として、あまり時代色や政治的な問題を濃く出さない方向性…なのでしょうか。
衣装も時代の風俗や個性の奥行きを深堀りというよりは、わかりやすく意味を伝える記号としての役割が強いように感じました。
例としては「お金持ち=蝶ネクタイ」「貧乏=つぎはぎ」のような、わかりやすさ重視の衣装ですかね。
暢子をはじめとするメインキャラクターも、昭和テイストな衣装とはいえ、何時代でも何とか行けそうなあっさり感。
銀座の街角になると「昭和レトロな群衆!」が登場するため、主人公たちがタイムスリップしたほどに見えてしまうドラマです。
服装・身だしなみの意味とは。暢子の厨房での髪型
わかりやすい記号化は本作の作風…とはいえ、「やんばる育ち=ビーチサンダル」「元気なヒロイン=コック帽から外にはねた髪型」といった、アニメのキャラクターのような記号化は少し気になるところ。
とくに暢子の厨房での髪型はSNSなどでも批判があったようです。
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視聴者の多くは料理の経験者。みな家庭や学校でも食品衛生に気を遣っており、まして一流レストランの厨房であれば髪の混入などご法度であることはよく知られています。
「わかりやすい記号化」と「リアリティ」とのバランスの取り方は、創作上の難しいポイントですね。
服装・身だしなみとは、トレンドやイメージだけではなく、身の安全・衛生を守るものでもあり、職業への心構えの表現でもある点を改めて思い起こします。
(もしかしたら、イタリアンレストラン・フォンターナでの仕事は、暢子の「ほんとうの仕事」ではないという暗喩なのかもしれません?)
暢子のイメージ柄は?家族のカラーグラデーション
暢子のイメージ「チェック&ストライプ」
ガイドブックの“扮装スケッチ”によると、暢子のイメージは「チェック」「ストライプ」。
たしかにチェックとストライプ(日本ではボーダー)の服が多いですね!
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直線を活かした柄は、暢子の元気でまっすぐな性格を表しているといえそう。
タイトルロゴのカラーグラデーション:ブルー~イエロー~オレンジは、沖縄の世界観の色合いでもあり、暢子の着るチェックの配色と共通するイメージです。
ポイントカラーは「イエロー」かな?あまゆでのエプロン姿や、デートのワンピースなど。沖縄の明るい光や、シークワーサーの実の色。
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家族のカラーグラデーション。ニーニーの色合いは⁈
家族もタイトルのカラーグラデーションイメージは共通で、沖縄組は日にさらされた淡いトーンの印象に。
いっぽう、ニーニーこと兄・賢秀(竜星涼さん)のソフトなオレンジ系コーデが気になります。
これはおそらくアベベ・アババカラーなのでは⁈
さまざまな挑戦と失敗を重ねるニーニー、やっぱり最終的には子どもの頃から好きで得意だった仕事とつながっていくのでは…。
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愛のファッションが可愛い!「ニュートラ」とは?
1970年代後半から流行!「ニュートラ」ファッション
衣装に注目したいキャラクター、和彦(宮沢氷魚さん)の恋人・大野愛(飯豊まりえさん)。新聞社勤めの才媛でファッション企画にも取り組んでいます。
1978年現在、愛のファッションは1970年代半ばから台頭した「ニュートラ」基調。
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ニュートラとはNew Traditional(ニュートラディショナル)の略ですが、日本独特の流行です。
シャツに膝丈のボックスプリーツスカートといったベーシックなトラッドアイテムに海外ブランドのバッグやベルト、スカーフをコーデするような、女子大生中心に流行したスタイル。基本カラーは赤、白、ネイビーなど。
雑誌「JJ」がニュートラ推しでしたね。
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「ニュートラ」の色使い、チェーン柄に千鳥格子柄、チェーンバッグやスカーフのコーディネート…今またヒントにしたいポイントがたくさんありますね。
そして愛の書きたい企画記事は「女性のファッションと社会進出」。内容がとても気になります!
何となく、ボウタイ・リボンタイ使いと、スカーフをネクタイ風に使うコーディネートは、意図的に使われている気がするんですよね…。
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<7/15追記>愛の退場シーンは、明るくいさぎよいストライプのパンツスーツ!「ズボンをはいた女の子」としてパリへ、自分で選んだ未来に向かって颯爽と歩んでいく愛。ストーリーと衣装がマッチした美しいシーンでしたね。
POINT
- 朝ドラ「ちむどんどん」は沖縄育ちのヒロインと家族の物語
- あっさりした、時代の色はあまり出さない作風で衣装もちょっと記号的?
- 暢子のイメージ柄はチェック&ストライプ(ボーダー)。愛のニュートラコーデも参考に!
さて、しばらく恋愛モードの「ちむどんどん」。この先ストーリー的にも衣装的にも、後半はもう少し沖縄カラーが強まるのでしょうか?
房子オーナーの紅型染や黒大島のように見える着物、母の芭蕉布の内職、三郎夫婦の着物や奥様の髪型など…作品中の大人たちは衣装からも「大きな沖縄の枠組み」を形作っているように見えます。
この大きな沖縄の枠に見守られて、暢子たち兄妹は悩みながら成長していくのでしょうね。その家族のコアとして、きっと両親(大森南朋さん・仲間由紀恵さん)のエピソードが語られると思いますので、今後の展開に注目です。
【参考までに】ボーダーとストライプの違いとは?実は日本だけ?
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マーケティングディレクター、ジュエリーに詳しいライター、女性メディアライター、ジュエリーデザイナーなどによる専門チーム。