4月の誕生石の仲間入りを果たした「モルガナイト(Morganite)」。
ピンクベリルやローズベリル、またはピンク・エメラルドと呼ばれるこの宝石は、エメラルドやアクアマリンの仲間です。
今回はモルガナイトの基礎知識についてお届けします。
モルガナイトの意味。和名、石言葉は?
モルガナイトの意味と和名
「モルガナイト」は宝石コレクターであるJ・P・モルガンの名前から。
アメリカで最も裕福であるモルガン財閥の創始者であり、モルガン・コレクションで知られる通り、宝石だけでなく美術品の収集家でもありました。
名付けたのはジョージ・フレデリック・クンツ。
1911年にティファニーの宝石顧問であったクンツ博士が、この淡いピンクの宝石にモルガンの名を与えたのです。
主な産出地はブラジル・アメリカ・パキスタン。
モース硬度は7半から8、六方晶系の珪酸塩鉱物。
劈開はなし。
モルガナイトの和名は「緑柱石(りょくちゅうせき)」。
鉱物である「ベリル(Beryl)」の和名であり、エメラルド・アクアマリン・ヘリオドール(ゴールデンベリル、イエローベリル)の和名も緑柱石です。
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モルガナイトの石言葉
モルガナイトの石言葉は「かわいらしさ・性格の良さ」。
ピンク・トルマリンやローズ・クオーツのように、ピンクの宝石は柔らかな印象を身につける人に与えてくれますね。
4月の誕生石
モルガナイトは4月の誕生石。
2021年12月に新しく誕生石として追加されました。
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モルガナイトはどんな石?色づく理由と多色性とは
ベリルに不純物が加わると、グリーンやブルー、イエローに色づきます。
その色ごとに名前が与えられ、モルガナイトは「マンガン」が混入することで発色します。
モルガナイトのカラーバリエーションは?
モルガナイトといえばピンクのイメージが強いですよね。
大きく分類すれば間違いはないのですが、一口にピンクと括れない色の幅があります。
赤みを帯びたパープルから、淡く透明感あふれるピンク。
オレンジや桃のように黄味を感じるピンクまで、奥深いピンクの世界を楽しむことができます。
オレンジやイエローのモルガナイトは加熱処理でピンクにされることも。
また、稀に帯状の色変化を表す個体もあります。
結晶の中央部分はブルーから透明、端にいくにつれてピンクを発色します。
淡いピンクを選ぶときは、なるべく大きなものを選ぶのがおすすめ。
小さい結晶やルースとなると、淡い色味のものは透け感が強くなるため、色味を堪能するためにカラットも大きなもので美しさを堪能してみてくださいね。
多色性とは?
3月の誕生石に新しく制定されたアイオライトにもある多色性。
結晶の方向によって色が異なるといった特性があります。
結晶方向によって硬度が異なるため、光がモルガナイトを通過するとき、見える色が異なるのです。
そのため、多色性を示す宝石はカッティングの際、より方向を考慮する必要があります。
また、カッティングといえば淡い色は大きなカラットのものがおすすめであることはすでに述べましたが、色を強めるために厚みをとってカットされる傾向があります。
淡い色・色味がはっきりしたものに共通するのは、目に見えるインクルージョンを含むことが少ないこと。
この点においてはエメラルドより、アクアマリンと近い印象がありますね。
取り扱い時の注意点は?
硬度も高く、比較的安定している宝石。
日常の着用に問題はありませんが、モルガナイトよりも硬度の低い石(7半以下)とぶつけたりしないように注意してください。
POINT
- 2021年12月、新しく4月の誕生石に追加されたモルガナイト
- 鉱物学者であるジョージ・フレデリック・クンツが、J・P・モルガンの名から命名
- ベリルの一つで、エメラルド・アクアマリン・ヘリオドールの仲間
- 多色性を持ち、見る方向によって色・硬度が異なる
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大学卒業後、ジュエリー専門学校にてメイキングとデザインを学ぶ。ジュエリーセレクトショップ・百貨店にて販売員経験あり。あなたとジュエリー・アクセサリーとの距離を縮める記事をお届けします。