氷、長石につぎ、地球上で3番目にありふれた鉱物である石英(せきえい)。
宝石名は水晶、その中で最も高価な「アメシスト(Amethyst)」。
透き通った紫色の神秘的な宝石は、ギリシャ神話で酒神バッカスにワインをかけられ、色づいたとの逸話が残されているほど、人類との関わりも古い宝石なのです。
誕生石にも制定されている、アメシストの基礎知識についてお届けします。
アメシストの意味、和名、石言葉は?
アメシストの意味と和名
今考えるとそのような効果がないことはわかりますが、ギリシャでは宝石の神秘さに特別な効果があるのではないかと考えていたのです。
アメシストも例に漏れず、毒消し、あるいは二日酔いを防ぐ薬として重用されていたと伝えられています。
語源は、ギリシャ語でワインを意味する「methu」から。
その後、毒を消すという動詞「methuskein」へ変化。
そして二日酔いの薬、あるいは“酒に酔わない”を意味する「amethustos」へと転じたのです。
アメシストの和名は「紫水晶(むらさきすいしょう)」。
黄水晶や紅水晶、煙水晶など、水晶は色を冠して名付けられます。
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アメシストの石言葉
アメシストの石言葉は「誠実・心の平和」。
古くから宗教的・霊的権威の高い宝石として、司教や権力者が身につけてきました。
2月の誕生石
アメシストは2月の誕生石。
日本の誕生石としては唯一の2月誕生石でしたが、2021年12月にはクリソベリル・キャッツアイが新しく加わり、選択肢が増えました。
石英の一種であるアメシスト、品質はどう見る?
水晶は宝石名であり、鉱物としての名前は石英(せきえい)。
石英にはシトリン、ローズクオーツ、スモーキークオーツなどがあります。
アメシストの紫色は、微量な鉄イオンが含まれることで出現。
品質は、色の濃さ・透明度の高さ・色むらのなさの3つの要素で決定されます。
どれも高いのが良いということではありません。
例えば色の濃さ。
濃すぎると黒く見えてしまうため、暗い照明の下でも紫とわかる程度の濃さが価値が高いとされているのです。
カルティエを「王の宝石商、宝石商の王」と称した英国王エドワード7世。
その御代に仕立てられたアメシストのブローチは、赤みがさした紫が上質のワインのようで、それを引き立てるファセットカットが施されています。
96カラット、ゴールドとプラチナの台座とダイヤモンドのメレが、これ以上ない美しさを奏でるジュエリー。
また、ウィンザー公爵夫人のジュエリーコレクションにも、上質なアメシストが用いられたネックレスがあります。
ハートシェイプのアメシストに、29石のステップカットのアメシストがラグジュアリー。
ダイヤモンドとトルコ石があしらわれ、透明度と色のコントラストが楽しめます。
バイカラーの宝石、アメトリンとは?
アメシストと同じ仲間であるシトリン。
稀に同じ結晶中に生成することがあると、その結晶はアメトリンと呼ばれます。
カットされる時、中央で色が分かれるようにカットされることが多く、バイカラーの宝石の中でもポピュラーな存在として知られています。
紫と黄色のカラーリングは、トルマリンやサファイアにはあまり見られないため、この二色が好きという方にはとてもおすすめ。
取り扱い時の注意点は?
長時間日光に晒すと退色の恐れがあります。
着用時の紫外線はもちろん、保管時には直射日光を避けて。
硬度は7と、ジュエリーとして身につけられる問題のない硬さを持っています。
しかし、アメシストより硬度の低い宝石との保管や、衝撃は避けるように。
POINT
- 2月の誕生石であるアメシストは、水晶の中で最も高価
- 王室やハイジュエリーブランドのジュエリーとしても重用されてきた
- 同じ結晶中にシトリンが生成、アメトリンと呼ばれるバイカラーの宝石に
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大学卒業後、ジュエリー専門学校にてメイキングとデザインを学ぶ。ジュエリーセレクトショップ・百貨店にて販売員経験あり。あなたとジュエリー・アクセサリーとの距離を縮める記事をお届けします。