フォトエッセイ

卒入学シーズン。嬉しい涙も悲しい涙も、フェイラーのタオルハンカチに染み込ませて。【- Shining Moments:48 -】

卒入学シーズンと母の涙

卒園式、卒業式シーズンになると、私はいつも自分の卒園アルバムのことを思い出す。

私の卒園アルバムには、見開きページに園児全員分のソロショットが載せられている。卒園アルバムを受け取っている瞬間を一人ずつ写したものだ。卒園式の最中に撮影された写真なので、園児の向こうに保護者たちが写っているのだが、ここからが面白い話。なんと、園児全員分の写真に、泣いている母が写り込んでいるのだ。最前列で、涙を流しながら見守ってくれている当時の母。私の成長に対して喜びと微かな切なさがあったのかなと想像する。あるいはよくここまで育てたなという自分への労いの気持ちもあったのかもしれない。

このエピソードは我が家では少し笑い話になってはいるが、それでも私は卒園式、卒業式シーズンになるたびにこの卒園アルバムのことを思い出し、一人じーんとした気持ちになるのだった。

ジュエリー エッセイ 山田ルーナ

私の初めてのフェイラー

そういうわけで、この時期はいつも母の涙を思い出す私。だからだろうか。自分には卒園式も卒業式も関係ないのに、バッグの中にハンカチがきちんと入っているか、いつも以上に気にしてしまう。

私の定番ハンカチはフェイラー(FEILER)だ。持っているハンカチは、もしかすると全部フェイラーかもしれない。

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ドイツのシュニール織ブランド、フェイラー。絵柄の可愛さと、シュニール織ならではの厚みと品の良さ、またタオルハンカチらしい吸水性の高さが気に入っていて、コツコツ集めてきた。少し前には大好きなポケモンとコラボをしていて、やっとの思いで購入した思い出もある。(それをまだ一度も使っていないことを書きながら思い出したが、見ているだけで楽しいのもまたフェイラーの特徴だ)

ジュエリー エッセイ 山田ルーナ

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私の中でのフェイラーにまつわる最初の思い出は、今は亡き義母との思い出。

当時付き合っていた夫に紹介されて初めて義母に会った大学生の時にプレゼントされたのが、フェイラーのハンカチだった。そして実は偶然にもその時、私も、義母にフェイラーをプレゼントしたのだった。「母はフェイラーが好き」と彼から聞いていたのでプレゼントに選んだのだが、まさか被るとは。気恥ずかしいような嬉しいような顔で笑い合ったことをよく覚えている。

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その時もらったのは、黒地にピンクの花が印象的なフェイラーのハンカチ。夫曰く「オカンっぽい柄」。とても大人っぽくて、正直なところ当時の自分にはまだ似合わない気がしたし、それからフェイラーを集めるようになってからもラブラリー(LOVERARY)に代表されるようなポップな柄を好んで選んでいたが、最近になってようやく、この最初のフェイラーを頻繁に使うようになった。

義母のことを思い出して悲しい涙を拭うこともあったけど、最近は嬉しいニュースでも涙して、同じこのハンカチで涙を拭った。フェイラーのハンカチだからこそ、時間を超えて、いろんな感情を含ませられるのだと思う。どうしても消耗品ではあるけれど、共に時を刻む小物として、ハンカチはとても重要な持ち物の一つだなと改めて思う。

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ハンカチと個人的な時間の蓄積

最近は、義母のお下がりのポーチも一緒に持ち歩いたりして、当時よりもずっとフェイラーにハマり中。母や友人への贈り物にも、やっぱりフェイラーを選んでしまう。それはただ可愛いからというだけでなくて、私が自分自身の経験から、このハンカチがちゃんと嬉しい涙も悲しい涙も吸い込んでくれると知っているからなのだ。

へたりづらく、長年使い続けられるフェイラーのタオルハンカチ。個人的な思い出や感情の器でもあるというところに、私は機能以上の価値を感じる。

嬉しい涙も悲しい涙も流しがちな、出会いと別れの春。セレモニースタイルが注目される季節だけど、ハンカチのことを考えてみるのもいいかもしれない。

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