「もし宝石に秘められた力があったら─」。
きらきらと輝く宝石を手にした時、一度はそんな夢を思い描いたことがあるのではないでしょうか。
そんな夢を描いた作品が『水晶の少年』。
週刊コロコロコミックで連載されており、単なるバトル漫画ではない鉱物の魅力を活かした大人も楽しめる作品です。
今回は『水晶の少年』について。
作品の魅力を、物語に登場する重要な鉱物とともにご紹介します。
『水晶の少年』の「祈石(キセキ)」と「忌石(きせき)」の違い
主人公は「天地晶(あまちあきら)」。
特殊な力を宿した「水晶(クォーツ)」を持ち、その力を使ってさまざまな事件を解決していきます。
物語を語る上で欠かせないのが「祈石(キセキ)」と「忌石(きせき)」。
強力な力を持つ石を「祈石(キセキ)」と呼びます。
「祈石(キセキ)」は自ら持ち主を選び、石の種類ごとに異なる固有の力を所有者に与えます。
「祈石(キセキ)」の中でも、古くから人類史に爪痕を残してきた強力な12の石を「忌石(きせき)」と呼びます。
12か月の誕生石に対応する「忌石(きせき)」は、悪用された場合には大きな被害をもたらす苛烈な性質を持つ存在として描かれています。
作者の「石蕗永地(つわぶきえいち)」さんは石好きで知られており、作中でも鉱物の知識が詳しく描かれています。
石好きの方もそうでない方も、鉱物に関する知識を深めながら楽しめるのもこの作品の魅力のひとつです。
『水晶の少年』に登場する鉱物8選
物語のカギを握るさまざまな鉱物。
作中に登場する鉱物は単なる装飾品ではなく、それぞれ固有の力を秘めた特別なアイテムとして描かれています。
特に「祈石」と「忌石」の「能力」は、おおくは元となる鉱物の性質がベースとなっています。
ここでは登場する8の鉱物をお届け。
クォーツ(所有者:天地晶)
主人公の晶が持つ祈石。
石英の成分である二酸化ケイ素を含む物質を操ることができます。
この二酸化ケイ素はコンクリートなど生活に身近な物質に含まれるため、さまざまな場面で晶たちを助けてくれます。
ルチルクォーツ(所有者:砂金豊)
主人公の相棒、砂金豊(いさごゆたか)が所有する祈石。
所有者に強力な金運をもたらすが、私利私欲に使っては不幸になるという力があるとされています。
パワーストーン的な観点ではルチルクォーツは金運を向上すると信じられていることが関係していると考えられます。
ブラックダイヤモンド(所有者:黒輝磊)
晶たちと敵対する組織、黒輝一族の次期当主である黒輝磊(くろきらい)が所有する忌石。
ダイヤモンドの主成分である炭素を操るため、人間や建物を一瞬で炭へと分解させるなど、命を脅かす強力な力を持っています。
アメジスト(所有者:黒輝厽)
黒輝一族の令嬢、黒輝厽(くろきるい)が所有する忌石。
精神を安定させる効果があるとされる一方、「命の水」を使って人々を操る能力を持ちます。
これは古来、アメシストの色が「葡萄酒」に喩えられたことが関連していると考えられます。
バイカラートルマリン(所有者:二色めろん)
晶の仲間である二色めろんが所有する祈石。
トルマリンが静電気帯びているという性質を持つことから、電気系統に作用する力を発揮します。
スファレライト(所有者:緑間閃璃)
晶の仲間である緑間閃璃(みどりませんり)が所有する祈石。
幻術を使って姿を変える能力は、スファレライトの語源の「sphaleros」、「まぎらわしい」からインスピレーションを受けたのではと考えられます。
ペリドット(所有者:キアラ)
キアラが所有する忌石。
人やモノを飛ばすなど、重力を操る能力を持ちます。
これは隕石にペリドットが含まれていることから「重力」と関連づけられた能力と考えられます。
アクアマリン(所有者:巨海真凜)
黒輝一族のメンバーである巨海真凜(こみまりん)が所有する忌石。
海を真っ二つに割り、海面を歩けるなど海の水を自在に操る能力を持ちます。
これはアクアマリンが「海の水を閉じ込めた」と信じられてきたことが関連していると考えられます。
私たちが鉱物に感じる不思議なパワーを作品にした『水晶の少年』。
鉱物や宝石に興味があるなら、ぜひチェックしてみてくださいね。
POINT
- 週刊コロコロコミックで連載中の『水晶の少年』
- 作者「石蕗永地(つわぶきえいち)」さんは石好き、その鉱物知識を活かした作品
- 物語を語る上で欠かせない「祈石(キセキ)」と「忌石(きせき)」
- 強力な力を持つ石を「祈石(キセキ)」、その中でも強力な12の石を「忌石(きせき)」と呼ぶ
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大学卒業後、ジュエリー専門学校にてメイキングとデザインを学ぶ。ジュエリーセレクトショップ・百貨店にて販売員経験あり。あなたとジュエリー・アクセサリーとの距離を縮める記事をお届けします。