近年、ジュエリーに対し、単に「豪華であればいい」「世間並みのアクセサリーを身につけよう」といった目的ではなく「自分だけの価値観や想いを表現したい」「ブランドの持つストーリーに共感して身につけたい」と考える人が増えているように思います。
そんな大人女性たちから「人生の大切な瞬間に」と選ばれ続けている、オーダーメイドのジュエリーブランド『PIREE(ピレー)』のオーナー・デザイナーでもある湯澤美香さんに、ブランドの魅力とデザイナーとしてのあゆみを伺いました。
PIREEのブランドストーリー
PIREEは2014年、東京にてオーダーメイドジュエリーの製作販売を開始しました。クラシカルで繊細なデザイン、上質な石選びとていねいで精緻な加工は見る人を魅了し、世界で1つだけのブライダルリングを求めてオーダーが相次ぎました。
そのデザインの原点には、湯澤さんの幼少期と、ジュエリーの技術を学ぶために留学したイタリア・フィレンツェでの体験が息づいているといいます。
--いつ頃、どんなきっかけでジュエリーに興味を持ち始めたのですか?
広島・尾道の自然豊かな環境で育ったことと、さまざまな場所へ旅に連れて行ってくれた父の影響で、自然に触れるのが好きな子どもでした。父は川で石を組み合わせて即興のアート作品を作ったり、ジュエリーに使われる琥珀(こはく)は生薬でもあると教えてくれたり。自然からデザインのインスピレーションを得るようになった原点だと思っています。
また、母は祖母から受け継いだジュエリーや、父から記念日に贈られたジュエリーをお守りのように大切にしていて、折りに触れて私にも見せてくれました。そのときの母のキラキラした瞳は今でもよく覚えています。
こんなにも長年受け継がれ、大切にされているジュエリーってどういうものなんだろう?と、強く興味を抱くようになりました。
--ジュエリーのデザインや加工技術はどのように身につけられたのでしょう。
高校を卒業後、「表面的なデザインではなく基礎から学んだ方がいい」という父のすすめで、宝石の鑑別をメインにジュエリーの価値・本質・加工を学ぶ「ジャパンジュエリービジネススクール」を訪れ、宝石のプロである畠健一先生に出会いました。
当時はまだなんの技術も経験もない10代の私にはハードルの高い学校だったのですが、先生の宝石に対する熱い思いに感銘を受けて入学を決めました。
デザインや製作だけでなく、石の見分け方を学びながら海外で直接買い付けし、自分で企画を立てて企業へプレゼンテーションする…という実践的なカリキュラムで学びました。『PIREE(=愛しい人へ)』というブランド名は、実はこのときの企画から生まれているんです。
--単なるデザインだけでなく、幅広く学ばれたのですね。
そうです。長く愛用していただけるジュエリーを作るには、石や金属など素材の知識に加えて、デザインのその先、つまり製作工程や完成時のイメージが浮かぶことも必要ですよね。
宝石の留め方や厚み・幅などの強度面を考慮しながらデザインを考えていきますが、細部まで構造を理解していないと長く愛用していただけるデザインはできないと思っていて、シンプルなデザインでもそういうところには非常にこだわっています。
-- 卒業後、会社勤めを経てイタリアに渡られたんですね。
はい、ジュエリーデザイナーとして数年勤務したのち、ずっと憧れだった芸術の都イタリア・フィレンツェへ留学しました。
フィレンツェではジュエリーの発想やセンスだけでなく、街を歩いているだけでも美しい建物の意匠などに刺激を受ける日々で、当時のスケッチブックは今でもデザインの源泉の1つになっています。
--帰国後のあゆみはどのようなものですか?
留学を終え、帰国後にPIREEを立ち上げました。最初は展示会やラジオのパーソナリティなど、PIREEを知ってもらうために「人に会う」ことや人とのご縁を大切にしてきました。
その後コロナ禍をへて、SNSなどでのお問い合わせから購入いただくことが増えましたが、今でもお1人お1人のご希望や背景、デザインのこだわりなどを何よりも大切にし、ていねいに繊細に何度もやりとりを重ねてお作りしています。
【ブランド情報】
- 公式サイト:http://piree.net/
- Instagram:https://www.instagram.com/jewelrypiree/
- LINE@:https://lin.ee/03pqL9r
PIREEのジュエリー紹介
現在、PIREEのジュエリーは公式サイト、Instagram、LINE@からオンラインオーダーが可能です。
おもなラインは、ブライダルを中心に創業時から変わらぬ人気を誇るフルオーダーの「アニバーサリージュエリー」、そしてPIREEの世界観と上質さはそのままに、日々愛用できるオリジナルデザインの「マイルストーンジュエリー」を展開しています。
数多いジュエリーコレクションから、特に人気のあるデザインを紹介します。
アニバーサリージュエリー:PIREEの原点、ブライダルをはじめとするオーダージュエリー
エンゲージリングやマリッジリングは、おふたりの希望やこだわりをなによりも大切にしたオーダーメイド。
わずかなリング幅の違いや色味にもこだわり、ときには試作品(※オプション)まで用意して作り上げています。
Fiore(フィオーレ)
Bouquet(ブーケ)
圧倒的な存在感のある華やかなデザインのエンゲージリングです。セミオーダーでミルグレインを施したり、シンプルなアームにしたりとアレンジできるのも魅力。マリッジリングとの重ね付けも楽しめるデザインになっています。
Lastricato(ラストリカート)
バケットカットダイヤモンド(長方形の形をしたカット)を特徴としたエタニティリング。ダイヤのカットを揃えて男女ペアでマリッジリングとしても身につけられる、スタイリッシュなデザインが人気です。
マイルストーンジュエリー:「わたしの大切な瞬間」のために。共に時を刻むジュエリー
PIREEオリジナルデザインの「マイルストーンジュエリー」は、オーダージュエリーと変わらぬ上質な素材と細工で、いつも身につけるお守りや、人生のパートナーとして長く愛用できるクオリティ。
アニバーサリージュエリーを購入したお客様から、結婚記念日やバースデー・仕事の節目などに「自分だけの大切な瞬間を記念するジュエリーは、PIREEにお願いしたい」というオーダーがとても多いのだとか。
Stella (ステッラ)
イタリア語で「Stella 」は星を意味し、流れ星からインスパイアされたコレクションです。柔らかいレースのように細部に施された繊細なミル打ちがアンティーク感のある雰囲気を醸し、周りを取り巻くダイヤモンドが華やかにメインの石を彩ります。ネックレスが特に人気だそう。
Jasmine(ジャスミン)
バケットカットの色石の両側にダイヤモンドを配したクラシカルなリングは、繊細で可憐な姿をしつつも凛とした佇まい。肌をくすませないことにこだわったマットゴールドが美しさを引き立てます。
Dalia bianca(ダーリアビアンカ)
2024年の新作で、イタリア・フィレンツェの街から着想した花モチーフのジュエリーです。大輪のダリアの花をモチーフにし、大ぶりで存在感がありつつも、全体にほどこした透かし細工が軽やかさを演出。
センターには希少石であるオールドヨーロピアンカットのダイヤ、脇石には美しいカットを厳選したローズカットのダイヤを使い分けた、繊細なきらめきが特徴です。
Ponte(ポンテ)
フィレンツェのポンテヴェッキオ橋に着想を得たリングは、橋が繋がるように全周にデザインが刻み込まれているのが特徴です。
約3㎜と贅沢な幅感で、見た目の存在感がありながらも、透かしのあるデザインで繊細な印象です。ダイヤモンドの数を基本の7石から自由に増やしてアレンジできるのも人気とのこと。
上記のジュエリーは通常受注販売となりますが、JasmineとDalia Biancaは若干在庫があり、サイズが合えばクリスマスまでにお届けが可能だそう。気になったらぜひ以下より問い合わせてみて下さいね。
- 公式サイト:http://piree.net/
- Instagram:https://www.instagram.com/jewelrypiree/
- LINE@:https://lin.ee/03pqL9r
※すべての価格(税込)については、1点ごとに石や素材・加工・サイズが異なりますので、あくまでも参考価格となります。また世界的な原材料費の高騰により同じ商品でも今後価格を改定する可能性があります。(フルオーダー/セミオーダーは上記よりお見積りをご相談下さい。)
ファンを魅了するデザインを生む、クリエイターの素顔
--ところで、湯澤さんはデザイナーとして、また2歳のお子様を持つママでもありますよね。日頃はどのようにお仕事をされているのでしょう?
午前中はいただいたオーダーや新作のデザイン、アイデア出しなどクリエイティブの時間にあてています。私は特に朝に頭が冴えるので、貴重な時間として大切にしています。
午後は打ち合わせや、ランニングやエアロバイクなどで身体も動かしています。負の気持ちが重なると、顕著にデザインの質に影響するので…汗を流すと、私はすごく気持ちがクリアになるんです。
また息子は4ヶ月から保育園に行って頑張っているので、昔はがむしゃらに土日も働いていましたが、今は週末はオフにしてかけがえのない今の親子の時間も大切にするようにしてます。
--読者の皆様のなかにも「好きなことを生かして活躍したい」という方がいらっしゃるかもしれません。湯澤さんが困難を乗り越えた経験があればぜひ教えて下さい。
長く続けていると、誰しも自信がなくなってしまうっていうことがあるんですよね。「私の作品ってどうなんだろう」って。
でも、一番の作品の味方は自分ですよね。やっぱり「好きであること」がすごく大事だなと思います。
いつでもいいデザインが自在に生み出せる、売れる…というわけではないので、好きな気持ちを失いそうになったことは私ももちろんあります。
でもそのとき尊敬する方に「美香が一番の作品の味方じゃないと、誰が自信を持って味方できるの」「いいもの作ってるんだから自信を持ちなさい」と言われて、あらためて自分の作品や創りだしたものに自信を持ってやり続けることの大切さを再確認しました。
自分が「好き」という気持ちを忘れてしまうと、自信のなさにつながり、お客様にも伝わってしまうので、やっぱり自分のものは好きでいるっていうことはすごく大事だなといつも思っています。
--本日は素敵なお話をありがとうございました!
POINT
- 「PIREE(ピレー)」は2014年にデザイナーの湯澤美香さんにより誕生
- 丁寧に作り上げるオーダーメイドの「アニバーサリージュエリー」に定評
- 繊細で上質なオリジナルの「マイルストーンジュエリー」も人気
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フリーライター。新聞社や大手通販サイトにてファッション・ライフスタイル系記事を執筆中。幅広い世代の流行やトレンドから、自分を含めた大人女性が毎日のファッションにリアルに取り入れられるアイテムや着こなしのヒントを厳選してお届けします!