コラム

「エレガントなファッション」とは?歴史に学ぶ意味と着こなし【大人のおしゃれ用語Vol.4】

現代の大人女性は仕事や家事で忙しく、日々の洋服は「動きやすくそこそこきちんとしていればOK」という日も多いのではないでしょうか。

でも、ふとハイブランドのショーウインドウの前を通りかかった時や、SNSで見かけるエレガントな装いもやはり素敵で、惹かれてしまいますよね。

しかし、この「エレガント」ってどんなファッション?とあらためて聞かれると、意外とうまく説明できないのでは。

今回は、エレガントの意味や、ファッションにおけるアイテム・素材・着こなしの例、「シック」「洗練」「上品」などよく似た言葉についても解説します。

「エレガント」ことばの意味と歴史

エレガントの語源

エレガント(elegant)は英語で、直訳すると「優雅」「優美」「気品のある」「上品な」など、日本語のいくつかの概念をあわせ持った言葉です。

ラテン語の「eligere」が語源と考えられています。eligereには「精選された」「選び抜かれた」といった意味があり、古くは「選ばれし高貴な人々」のような文脈で上流階級が身につける高級でハイセンスな服装をエレガントと表現していたことがうかがえます。

現代のエレガント

時代が変わった現代では、値段が高いものやハイブランドならなんでもエレガントというわけではなく、「上質で余計なものがなく洗練されたようす」をエレガントと認識するイメージです。

数学の世界でも、最低限のプロセスで流れるような回答を「エレガント」と評価する慣習があります。福山雅治さん演じる天才数学者のドラマ『ガリレオ』で見た方も多いのでは?

エレガントと似た言葉

エレガントと似た言葉には「シック」「洗練」「気品」などがあります。

洗練や気品はそもそもエレガントの意味に含まれますが、シックは少しだけニュアンスが異なります。

シック(chic)はフランス語で、上品で洗練されたようすはエレガントと共通ですが、そこに「落ち着いた」「派手さのない」「地味でもおしゃれ」といった意味合いが加わり、色合いもモノトーンやアースカラーに限定されることが多いです。

また母国フランスでの使われ方は「あかぬけた」「今風の」「旬の」といった意味合いもあるようです。雑誌や店舗で買い物するときに「シックなアイテム」と表現されている場合、日本での使われ方とは若干違う可能性もあります。

エレガンスの反対語・対義語

いっぽう、エレガントの反対語は「粗野」「がさつ」などですが、ファッションでは「ラフ」「カジュアル」などが相当します。ファッションには多様性があるので、一概にエレガントでない=悪いとは限らないわけですね。

なお、英語の形容詞で「arrogant(ǽrəgənt)」は、早口で話すとエレガント(éligənt)とよく似た発音ですが、こちらは「高慢な」「お高くとまった」という意味で、誰かのことを表現する場合、エレガントとは逆で悪い意味になってしまうので気をつけてくださいね。

ファッション分野で「エレガント」はどんな雰囲気を表す?

エレガントは洋服や小物・ジュエリー・髪型・メイクなど、ファッションの分野でよく使われます。

どれも冒頭で紹介したように「上質で余計なものがなく洗練されたようす」のデザインや着こなしを意味し、具体的な素材やディテールでいうと次のようなものが挙げられます。

  • 素材:シルク、レザー、カシミヤ、金、パール
  • デザイン:ジャケットなど身体のラインを美しく見せるアイテム、タックやドレープなど流れるようなシルエット、ボウタイやジュエリーなどフォーマルな場に合ったディテール
  • 色柄:派手すぎず色数を抑えた組み合わせ、上品な光沢、大人っぽい柄

上記のような素材とデザインを選ぶと、自然と高価なアイテムになりがちです。

奇抜なデザインや派手な色柄でごまかせない分、素材そのものの上質さや、高いデザイン力・カッティング・縫製技術が求められるのが理由の1つと思われます。

映画の世界でも、『ティファニーで朝食を』や『プリティ・ウーマン』など、身なりを高級にしたとたん周囲の扱いが変わりチヤホヤされるという描写が見られます。近年では『プラダを着た悪魔』なども、アン・ハサウェイ演じる垢抜けない女性が、ファッション誌の編集部で働き出してみるみるエレガントに変わっていく様子が印象的でしたよね。

しかし今の世の中では、単に高級ブランドを身にまとえば「エレガント」と賞賛されるとは限らないのではないでしょうか?

その人の身のこなしや仕草・言葉の使い方なども含めて気品があり、流れるような優雅で無駄のない洗練された雰囲気をまとっていて初めて「エレガント」と呼ばれる…そんな風に思います。

大人女性が取り入れたいエレガントなアイテムは?

最後に、この秋のトレンドの中から、大人女性におすすめのエレガントなアイテムを紹介します。

ポイントは素材選び。前半で紹介したように、シルクやサテン、ベロア、カシミアなどの上質で控えめな華やかさを持った素材がエレガントな印象を作ります。

シルクのブラウス

シルクは衣服内の温度を適切に保ってくれる機能があり、気温の変わりやすい季節におすすめ。敏感肌に振れやすい大人女性にとっては優しい肌触りも嬉しいですね。

ボウタイ付きブラウスなら、結んだり垂らしたり、TPOに合わせて着回せます。

 

ウエストシェイプジャケット

テーラードジャケットは仕事はもちろん、ワンピースなどに合わせて甘さをやわらげるアイテムとしても使えます。

すとんとしたボックスシルエットのジャケットはメンズライク・またはほっこりした印象になりやすいため、エレガントに仕上げるなら軽くウエストシェイプされた(絞った)デザインがおすすめです。

ベロアのワイドパンツ

カジュアルになりがちなパンツも、上質なベロア素材を選べば、流れるようなシルエットでエレガントに着こなせます。

カシミヤのストール

シャツとパンツやスカート……といった組み合わせ、もちろん素敵ではありますが、「シンプル」「クール」 なイメージになることも。そこにカシミヤなど上質でやわらかい素材のストールを1枚巻くことで、ぐっと「エレガント」に近付きます

そもそも大人女性はみんな、人生経験から来る判断力や落ち着きを兼ね備えており、エレガントな洋服が似合うはず。「普段カジュアルだから…」という方も、ぜひ取り入れてみてくださいね。

  • 「エレガント」は「優美」「気品のある」「洗練された」など複数の意味を持つ
  • ファッションでは「上質で余計なものがなく洗練された」アイテムや着こなしを指す
  • 大人女性は、流れるようなシルエットや上質な華やかさのある素材を選ぶと◎

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