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レザーの種類とは?スエード・ヌバックなど革の名前と特徴を解説

秋が近付くと、レザー(革)の質感や匂いが魅力的に感じられてきますよね。

ジャケットなどの洋服、バッグや靴・ブーツなどの小物類に幅広く使われている素材のレザーですが、革の表裏や加工方法によっていろいろな呼び方がされています。

さらに2024年3月には、日本でも欧米と同じようなレザーのJIS規格が制定され、今後は「〇〇レザー」「〇〇革」と呼べるのは、いわゆる本革(動物由来のもの)だけというルールができました。

参考:「革」「レザー」の用語がJISにて制定|一般社団法人日本皮革産業連合会

お店やオンラインショッピングなどでレザー風アイテムを選ぶときの表示も多少これまでと変わってくる可能性があり、「これって何の素材なの?」と戸惑うこともあるかもしれません。

そこで今回は、レザー(本革)と合成皮革の種類や名前をまとめて解説します。

レザー・革とは?加工による名称の違い

レザーの素材には、牛・豚・羊・ワニ(クロコダイル)、ダチョウ(オーストリッチ)ほかさまざまですが、それ以外に加工方法によっても数多くの名称があります。

なかでも私たちがショッピングでよく見かけるものについて、それぞれの特徴を解説します。

レザー(革)

一般社団法人日本皮革産業連合会によると、レザーの定義は

  • 皮本来の繊維構造をほぼ保ち,腐敗しないようになめした動物の皮

とされています。

表革の一番表面に近い部分を「銀面」と呼びますが、その銀面を残し、ジャケットやブルゾンなど革の風合いをそのまま生かしたアイテムでよく使われます。

 

スエード(スウェード)

スエードは裏革(バックスキン)の一種で、裏革または床革(表面の層をはがした革)をサンドペーパーや機械で短く整えたもの

しっとりと温かみのある独特の風合いが秋冬のファッションによく合い、ブーツなどの小物にもよく使われます。


同じ加工でも毛羽を長いまま仕上げた革は「ベロア」と呼ばれます。パーティードレスなどによく使われる布地も同じくベロアと呼びますが、それとは別物です。

ヌバック

表革にサンドペーパー加工を施したものはヌバックと呼ばれます。通常のレザーよりもソフトな見た目と質感、丈夫さを兼ね備えていて、ベルトやシューズなどにもよく使われます。

その他の革の種類

上記のようによくショップで見かけるもの以外にも、実はレザーにはさまざまな加工と名称がありますのでまとめて紹介します。

スプリットレザー(床革):表面(銀面)層をはがした後になめし加工した皮

銀す(磨)り革:表面をごく薄くサンドペーパー加工した革。ガラス張り革などが代表的

エナメルレザー(革):表面にワニスやポリウレタンなどのエナメルを全体の厚さの3分の1を超えない範囲で付与したもの。ツヤツヤの光沢と鏡面効果がある

ラミネートレザー(革):表面に、高分子フィルムなどを全体の厚さの3分の1を超えない範囲で貼り付けた革

コートレザー:塗装や合成樹脂で表面を仕上げ、その厚さが0.15mm~全体の3分の1を超えていない革(レザー)

合成皮革=エコレザーはNG?あたらしい表記のルール

手軽にレザー風の着こなしを楽しめて価格も手頃な合成皮革のアイテムも広く浸透しています。

これまでは「フェイクレザー」「レザーライク」「ヌバック調」「スエード風」などの名称で売られていましたが、今後は原則レザーや革、スエード・ヌバックなどの文字が使えなくなる方向です。

「ファッション目的のみで動物の命を利用するのをやめよう」という意味合いで合成皮革全般に使われていた「エコレザー」も、製造工程で法令を遵守し消費者や環境に有害な化学物質などに配慮されている革(レザー)のことを指すと新しく定められました。

合成皮革の商品は、そのまま「合成皮革」「人工皮革」として表示されることになりそうです。

なお、本革と合成皮革のハイブリッドのような素材として、細かく粉砕した革を樹脂などと混ぜてシート状に加工したものは、これまで「リサイクルレザー」「再生革」などと呼ばれていましたが、今後は「皮革繊維再生複合材」あるいは「 レザーファイバボード」または「ボンデッドレザーファイバ」という、少々ややこしい名前で呼ばれるそうです。

消費者が間違ってレザーではない商品を買ってしまうことを防ぐためとはいえ、逆に分かりにくい気もしますが(笑)、もしショッピング時に迷ったら、この記事を思い出していただければ幸いです!

POINT

  • 今後はレザー・革は本革(動物由来)にしか使えなくなる
  • レザーは表面の風合いを残した革、スエードは裏革に毛羽加工、ヌバックは表革に毛羽加工したもの
  • 今後はフェイクレザーやレザーライクという表記がなくなり「合成皮革」などになる見通し