ジュエリーの基礎知識

「バロックパール」は本物の真珠?淡水パールとの違いや価値、選び方

二枚貝によって作られる、多様なバリエーションを誇る宝石「パール(真珠)」。

あこやパール、ベビーパールが人気を集めるなかで、密かに注目されているのがバロックパール

淡水パールやコットンパールとはどう違うのでしょう。

今回はバロックパールについて。
価値や良いバロックパールの選び方、そもそも本物のパールなの?といった疑問にお答えします。

バロックパールは本物!「バロック」の意味と淡水パールとの違い

バロック」という言葉をご存知でしょうか。
「風変わりな」「奇異な」「過度に装飾的な」という意味の「バロック」。

たとえばバロック建築。
ベルサイユ宮殿やサン・ピエトロ大聖堂は、古典美に対立する「過度に装飾的な建築」という意味でバロック建築と呼ばれます。

「バロック」のコアイメージが、ほかとは違う「ユニークさ」であり、パールにおいては「色」や「産出地」ではなく、ユニークな「形」のパールを「バロックパール」と定義

つまり、フォーマルシーンに活躍するラウンド、柔らかい印象のボタンやドロップ、オーバル以外の、形が不揃いのパールであれば、海水・淡水問わず「バロックパール」にカテゴライズされるのです。

パールは産出する貝の種類・形状・色・大きさでバリエーションがあり、組み合わせも多様。

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そのため、ピンク系のあこやのバロックパールもあれば、ホワイト系の淡水のバロックパールもあるということ。

また、「バロックパール」という時、コットンパールなどのイミテーションでなく、一般的には真珠層で形成された本物のパールを指します

歪な形状と聞くと本物じゃないのでは?と思われるかもしれません。

しかし、ルネサンス時代から人気がある本物のパールであり、自然が生んだ個性的な形からインスピレーションを得て、現代までに華やかなパールジュエリーがたくさん制作されたのです。

白鳥や人の体に見立てられるなど、私たちが雲をみて様々なものを連想するように、バロックパールは古の職人の想像力を刺激したことでしょう。

バロックパールの種類。価値と選び方は?

パールはラウンド系とバロック系の2種類

バロック系はラウンド系ほど厳密に区別されていませんが、代表的な種類に棒状のスティック、十字架のように見えるクロスがあり、ラウンドに近いものはセミバロックと呼ばれます。

ラウンドセミラウンドセミバロックバロックの順で、左にいくほど真円に近づきます。

また、バロックパールの形状は、産出する貝によっても異なります。

たとえばあこや貝
角が立っているようにみえる、ラウンドが少し崩れたバロックパールを多く産出。

白蝶貝は、綺麗なティアドロップ型のバロックが産出しやすいといわれています。

そして淡水真珠の母貝となる池蝶貝は、非常に個性的な形のバロックパールを生み出します。

バロックパールの価値と選び方

パールの価値を決定する要因はひとつではなく、様々な要素を組み合わせて複合的に判断されます。
貝の種類・形状・色・大きさ・輝き。

たとえば完璧なラウンドでも、テリが良くないパールであれば高い評価を得ることは難しいでしょう。

それを踏まえて、パールの「形」は「ラウンド」に近づくほど価値が高くなる傾向にあります。

ではバロックパールは価値がないのか?というとそうではありません。

バロックの特徴である唯一無二の形に、美しいテリや色が加わることで、高い評価を得ることもけして珍しくはないのです。

ただし、これは芸術品やアンティークのバロックパールのお話。

私たちがバロックパールを選ぶなら、「形が好みであるか」が重要な判断基準となるでしょう。

つぎに、そのユニークさを引き立たせるテリや色の美しさ。

フォーマルシーンで活躍する、ラウンドパールのネックレスの選び方とは少し異なりますよね。

個性的な形だからこそ、あなたのパーソナリティーを映し出すジュエリーとして、バロックパールは役立つことでしょう。

POINT

  • ユニークな形状のパールを指す「バロックパール」
  • パールの形状はラウンド系とバロック系の2種類
  • バロックパールを選ぶならまずは「形」、つぎに「テリ」「色」

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