ジュエリーの基礎知識

2024年開催パリオリンピック。Chaumet(ショーメ)が手がけるメダルはめっき?

2024年7月26日(金)から2024年8月11日(日)の期間、フランスでパリオリンピックが開催されます。

32競技329種目が実施。

セーヌ川で行われる開会式に、一般参加が可能なマラソンとロードレース大会の開催など、新しい取り組みにも注目が集まっています。

人気競技に注目選手、さまざまな要素にスポットライトが当たるなか、やはり気になるのがメダル

日本選手団が設定した金メダルの目標は20個。
実際に獲得できる数値なのか?はスポーツの専門家に予想を任せ、今回はメダルについてのお話を。

今回メダルの製作を手がけたショーメやメダルの素材といった、オリンピックメダルに関する知識を深めましょう

オリンピックとは。歴史とメダルの素材

2024年のパリオリンピックのメダル獲得目標として、日本選手団が目標設定したメダル総数は55個。

うち金メダルを20個、銀メダルと銅メダルを35個を設定しています。

そこで「じゃあ金メダル20個ってかなり価値があるんじゃないの?」と気になった方もいるのではないでしょうか。

製法や素材について説明する前に、まずはオリンピックのメダルの歴史について。

オリンピックのメダル授与はいつから?

オリンピックは古代、近代と分けられており、紀元前8世紀から紀元後4世紀にかけて古代ギリシャのエーリス地方、オリンピアで4年に1回行われた大規模な競技会を古代オリンピックと呼びます。

近代オリンピックは、一度は絶えた古代オリンピックの復興を目的に、1896年から現在に至るまで開催されている平和の祭典です。

メダルの授与ががはじまったのはこの近代オリンピックから

メダルの歴史に関して、オリンピックの公式サイトでこのような記述があります。

トップの成績を収めた選手に金、銀、銅のメダルが授与されるようになったのは、1904年のセントルイス大会からの伝統だ」。

引用先:https://olympics.com/ja/olympic-games/olympic-medals

セントルイスは1904年と第三回の大会。

しかし、メダル自体の授与の開始は第一回のアテネ大会からありました。

金、銀、銅の3つのメダルの授与が開始されたのが第三回セントルイス大会からであり、第一回のアテネ大会と第二回のパリ大会では、それぞれ異なる形式でメダルが製造されていたのです。

第一回のアテネ大会では金メダルの製造はありませんでした。

1位には銀メダル、2位には青銅、銅メダル。
メダルが授与されるのも2位までだったのです。

その後、1900年のパリ大会では3位までメダルが授与されるように。
金、銀、青銅と、一見現代の形式と大きく変わらない3種のメダルですが、その形状はなんと長方形

歴代のメダルは基本的にコイン型であり、角がある形状のメダルは1900年のパリ大会のみ。

メダルはめっき?それぞれのオリンピックメダルの素材は?

競技の上位3名(もしくは3グループ)へ付与されるオリンピックのメダル。

近年のメダルのデザインは組織委員会自身が行われていますが、製造と設計に関しては国際オリンピック委員会(IOC)により規則が設けられています。

まずは金メダル
純度92.5%以上の銀でできていて、6グラム以上の純金でめっきされていること。

つぎに銀メダル
純度92.5%以上の銀でできていること。

そして銅メダル
青銅と、銅と別種の金属による合金でできていることです。

つまり、金メダルは銀を金めっきしているということ。

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他にもメダルの直径や厚さ、重さにも範囲指定がありますが、金メダルのみ大半が別種の金属で構成されていることになります。

これは開催国の経済状況により生じる不平等性をなくし、公平性を保つためとされています。
要は、経済的に貧しい国が開催国となった際、純金のメダルを製造すること自体が大きな負担となるからです。

そのため、金メダルは純金でなく、銀に金めっきをかけたものなのですね。

2024年はChaumet(ショーメ)が製作。こだわりポイントは?

オリンピックメダルのデザインは、開催都市の運営委員会がデザインを決定します。

今大会ではChaumet(ショーメ)が製作。

これまでの大会を振り返ってもハイジュエラーがオリンピックのメダル製作を手がけたことはありません。

ジュエリー業界にとって嬉しいニュースであることは間違いないでしょう。

このフランスを代表する最高峰のジュエラーは、メダルの装飾にその技術力を余すことなく注いでいます。

ショーメならではの技が光るのが中央部分の六角形
素材はなんと鉄で、1889年のエッフェル塔を改修した際に回収したものです。

この六角形をはめ込んだ技術が、ショーメの誇る「グリフ」と呼ばれるもの。

ショーメの職人が、宝石を留める際に使う技術をメダル製作に用いているのです。

そして、パリの象徴ともいえるこのエッフェル塔プレートの周りを取り囲む光の筋。

別名「光の都」と呼ばれるパリの美しさを存分に表現したデザインに仕上がりました。

最も美しいメダルを目指して製造されたこのメダルは、5084個を授与予定。

POINT

  • オリンピックメダルの授与が開始されたのは近代オリンピックから
  • 第一回アテネ大会では1位に銀メダルを授与
  • 金メダルは銀に金めっきと施したもの
  • 2024年パリ大会のメダルを手がけたのはChaumet(ショーメ)

2024年7月26日の金曜日、午後8時24分から開始予定の開会式。

日本時間では翌27日の午前2時30分と夜中から朝方にかけて行われるため、視聴予定の方はしっかりと睡眠をとって備えてくださいね。