カジュアルにも身につけやすいサイズ感ながら、品のある輝きを添えてくれる「ベビーパール」。
ネックレスからブレスレット、ピアスにイヤリングというように、通常の「パール」ジュエリーと同じように様々なアイテムに仕立てられます。
人気が高まりつつある「ベビーパール」は、他の「パール」とどう違うのでしょう。
今回は「ベビーパール」の定義、「淡水パール」や「あこや真珠」との違いをお届けします。
ベビーパールはパールの子どもではない!どうやって作られる?
ヤングコーン(ベビーコーン)という野菜をご存知でしょうか。
コーンの実が大きくなる前に若採りしているため、コーンの子ども時代という意味でヤングコーンと名付けられています。
「ベビーパール」も、大きくなる前のパールを採取したもの?と考えられるかもしれませんが、ヤングコーンと異なり放っておいても、基本的にサイズの大きなパールにはなりません。
パールの形・サイズを決める「核」
通常、パール(真珠)には「核」が存在します。
パールは製造方法によって大きく二つに分けられます。
人の手を加えない「天然」と、人の手を借り生み出される「養殖」。
20世紀に御木本幸吉により生み出された養殖技術の発展により、現在では「養殖」が市場流通の大半を占めています。
「天然」の生成プロセスに、少し人の手を加えている「養殖」。
この人の手を加える部分の中でも重要なのが「核」。
「天然」では偶然貝の中に異物が混入することで、その異物を中心に真珠層が形成。
この異物を「核」と呼び、「天然」では小石や寄生虫、「養殖」では別種の貝殻を真円に加工したものを貝の体内に挿入するのです。
※パールには有核、無核があり、無核の場合は「細胞片」のみを挿入
「核」はパールのサイズや形に大きな影響を与えます。
マベ貝から作られる半円の「マベパール」は、真円ではなく半円の核を用います。
作りたい形の核を挿入することで、その周りを真珠層が取り巻き、ハートやスター、様々な形のパールを生み出せるのですね。
ベビーパールのサイズは5mm以下
つまり、パールの「養殖」ではそれぞれ作りたい形に適したサイズの核を用いるということ。
小さなサイズのパールは、核を挿入しない無核か、とても小さな核を挿入する有核かに分かれます。
この小さなパールが「ベビーパール」。
しかし、小さなパールすべてが「ベビーパール」ではありません。
パールはどの貝を母貝とするかでその外観的特徴を変えるため、それぞれ名称が異なります。
あこや貝から採れるものは「あこや真珠」。
あこや真珠の一般的なサイズは6〜10mm。
5mm以下であれば「ベビーパール」。
つまり、5mm以下のあこや真珠が「ベビーパール」と呼ばれているのです。
あこや真珠以外の5mm以下のパールにも使用されますが、「淡水ベビーパール」という表記がなされます。
単に「ベビーパール」と呼ぶ時は一般的にあこや真珠を指すものの、購入時にはしっかり確認することをおすすめします。
ベビーパールの価値
パールは大きければ大きいほど価値が高い。
現に「パラワン・プリンセス」という2.27kgのパールは、テリがあまり良くないのにも関わらず高い評価を得ています。
パールのネックレスも、一般的には珠が大きくなるごとに比例し価格も上がります。
ならば珠の小さな「ベビーパール」は安い?とお考えかもしれません。
しかし、「ベビーパール」は希少性が高いことで知られています。
希少性の高さを支えるおもな三つの要因はこちら。
- あこや真珠の人気高騰
- 「ベビーパール」の養殖業者の数の少なさ
- 小さな核の挿入、パールの穴あけに高い技術を要する
近年ではあこや真珠そのものの価値が高騰。
それは気候変動により採取量が年々減少していること、海外市場で人気のため価格が高騰していることが大きな要因です。
加えて「ベビーパール」は養殖業者も減少傾向にあるため、希少性がより高くなっているのです。
また、小さな珠に穴を開けたりと、加工にも高い技術を要します。
希少性と高い技術力によって生み出される、可憐な美しさを持つ「ベビーパール」。
大きな珠は似合わないと思っている方に、ぜひ試していただきたいパールです。
POINT
- パールの成長途中ではなく、最初からそのサイズを求めて作られる「ベビーパール」
- 一般的に「ベビーパール」といえば、直径2〜5mmのあこや真珠を指す
- 5mm以下の淡水真珠なら「淡水ベビーパール」と呼ばれ、あこや真珠の「ベビーパール」とは区別される
- 「ベビーパール」の希少性が高いのは、採取量と養殖業者の減少という供給面と加工の難しさから
現時点でパールを取り扱う多くのブランドが値上げを発表したりと、パールジュエリーが欲しいけれど容易に手が出せない状況がありますよね。
しかし、水産省では真珠の輸出拡大の取り組みを強化しており、その目標を達成することでパールの価格が安定化する可能性もあります。
参考URL:水産省ホームページ
https://www.jfa.maff.go.jp/j/saibai/shinju.html
とはいえ、金の価格高騰などもあり、今後ジュエリー自体が値下げするという動きはあまり期待できなさそう。
様々な情報を収集してベストな状態で、欲しい時に見極めて購入できるよう心がけたいですね。
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大学卒業後、ジュエリー専門学校にてメイキングとデザインを学ぶ。ジュエリーセレクトショップ・百貨店にて販売員経験あり。あなたとジュエリー・アクセサリーとの距離を縮める記事をお届けします。