もっとも高価な貴金属として知られているゴールド(金)。
また、その歴史も古く、紀元前より装飾品に欠かせない素材として人々の暮らしに寄り添ってきました。
なかでもジュエリーとして用いられるゴールドはその種類も多様。
イエローゴールド(YG)のほかにホワイトゴールド(WG)、ピンクゴールド(PG)、レッドゴールド(RG)にグリーンゴールド(GG)といった種類があります。
実は色味が異なるだけでなく、その硬さも異なることもご存知でしょうか。
今回はゴールド(金)の性質のひとつ「硬さ」について。
ピンクゴールド(PG)、レッドゴールド(RG)はサイズ直しができないといわれる理由とは?
ゴールド(金)は柔らかい?硬い?割金(わりがね)とは
「延性(えんせい)」を利用して作られる金箔
純金のジュエリーは柔らかく、傷がつきやすいとされていますよね。
一方で、紀元前に作られたであろう装飾品が現在まで残っているほど、耐久性がある。
ゴールドって柔らかいのか硬いのか、いまいちわからないなんて方も多いのではないでしょうか。
これは性質をどう捉えるかという問題であり、「柔らかい」というイメージは「延性(えんせい)」で説明ができます。
たとえば金箔(きんぱく)。
ゴールドを叩き伸ばし、紙のような薄さにしたもので、食品や京都の金閣寺の外観に用いられています。
その厚みは1/10,000〜2/10,000mmほど。
2gのゴールドで畳一畳ぶんの大きさ(182cm×91cm)まで引き伸ばせるのです。
叩いても割れたりしないのは、この「延性」によるもの。
ゴールド(金)をはじめ、プラチナ(白金)やシルバー(銀)、コッパー(銅)といった金属は、物体が破壊されることなく引き延ばすことのできる延性という性質に富んでいるのです。
純金は繊細な細工に優れていますが、ジュエリーはある程度の硬さがないと加工しづらいため、叩いて伸びやすい性質をもつ純金のジュエリーは扱いにくいとされているのです。
一方、ゴールドの「硬い」というイメージ。
ある程度の密度を持つリングやネックレスであれば、簡単に壊れることはありません。
金箔が柔らかいのは、金属の密度が低いためです。
加工しづらく変形しやすいため純金のジュエリーは多くありませんが、鍛造(たんぞう)製法など、火入れと叩いてしめるを繰り返し行い金属の密度を高めたものであれば、純金のジュエリーでも硬さを増すことは可能なのです。
そしてゴールドの硬さを担うもうひとつの要素が「割金(わりがね)」。
色味、硬さを決める「割金(わりがね)」とは
ジュエリーに用いられるゴールドには、シルバーやコッパーなどの「割金」が加えられており、その比率によってK18やK10と表すことができます。
「割金」はイエローゴールドやピンクゴールドといった色味を変えるものと思われがちですが、「割金」にどの金属を用いるかで、同じ割合でも硬さが変わるのです。
金属の高度は、高いものからコッパー、プラチナ、シルバー、ゴールド。
たとえば割金にシルバーとコッパーを使用したK10で考えてみましょう。
シルバーとコッパーを半々にするより、コッパーの比率を高くする方が硬くなるのです。
サイズ直し可能なゴールドは?ピンクゴールド(PG)とレッドゴールド(RG)はなぜ難しい?
色味だけでなく、硬さも変える「割金」。
この硬さによって、サイズ直しのしやすさも異なります。
ここでは5種類のゴールドのサイズ直しの難易度を3つのランクに分けて述べます。
サイズ直しが容易:グリーンゴールド(GG)
シルバーがメインの割金であるグリーンゴールド(GG)。
割金にシルバーのみを用いたK18GGは、割金にシルバーとコッパーを半々使用したK18YGと比較して半分ほどの硬さ。
加工しやすい反面、他のゴールドと比べると使用に伴う変形も起こりやすいのが特徴です。
サイズ直しが比較的容易:イエローゴールド(YG)・ホワイトゴールド(WG)
ゴールドといえばイエローゴールド(YG)とホワイトゴールド(WG)を思い浮かべるほど、メジャーな素材。
割金の比率によって色味と硬さも異なりますが、サイズ直しを断られるリスクが低い素材です。
イエローゴールドの割金はシルバーとコッパー、ホワイトゴールドの割金はニッケルやパラジウム、コッパーが用いられる傾向にあります。
ニッケルとパラジウムをそれぞれ10と15の割合で配合したK18WGなら、5分割のK18YGと程度の硬さです。
サイズ直しが比較的困難:ピンクゴールド(PG)・レッドゴールド(RG)
割金のコッパー比率が高いピンクゴールド(PG)やレッドゴールド(RG)。
コッパー比率が高いと硬さを増す反面、加工時に割れてしまうリスクも高めてしまうため、購入時にサイズ直しが可能かの確認が必要。
サイズを小さくする場合、多くの場合でリングを切って縮めます。
断面を合わせるために曲げる負荷が、割れる可能性を高めてしまうのです。
また、サイズを大きくする場合は上記の負荷に加え、足す金属の色味が異なってしまうことも。
ブランドによって採用する割金比率は異なるため、可能な限り購入した店舗でお直しを依頼しましょう。
同様の理由で、ひとつのアイテムに複数の素材を用いた「コンビ」もサイズアップが難しい場合があるため要確認。
POINT
- 割金を加えることで同じゴールドでも硬さが異なる
- イエローゴールド(YG)・グリーンゴールド(GG)はサイズ直しが比較的容易
- コッパー比率の高いピンクゴールド(PG)やレッドゴールド(RG)は加工時に割れるリスクがある
【あわせて読みたい】あらためて知る、貴金属の違いとは
この記事を読んだ人は、こんな記事も読んでいます
大学卒業後、ジュエリー専門学校にてメイキングとデザインを学ぶ。ジュエリーセレクトショップ・百貨店にて販売員経験あり。あなたとジュエリー・アクセサリーとの距離を縮める記事をお届けします。