ファッション雑誌やWebメディア、店員さんの説明……ファッションに関する用語は数多く、分かっているようであらためて聞かれると「?」とうまく説明できない。そんな風に感じていませんか?
ヒカリモノガタリでは、そんなファッションに関する用語を、大人女性目線で解説する【大人のおしゃれ用語】シリーズ連載をはじめました。
第1弾は、着こなしやデザインの説明でよく聞く「ベーシック」と「スタンダード」について。
アイテムを買うときに
- 「ベーシックなシャツを1枚手に入れておきましょう」
- 「スタンダードなローファーは1足持っていて損はなし」
と見かけても、いざ選び始めると、具体的にどれがベーシックなシャツなのか、スタンダードなローファーなのか、ちょっと自信がなかったり……。
そんなときも、本来の意味が分かっていれば探しやすいですよね。
他にも、似た文脈でよく見かける「定番」「オーソドックス」「プレーン」の意味や、アイテム・着こなしのヒントなどもあわせてお届けします。
「ベーシックなアイテム」といえばどんなもの?
英語のベーシック(basic)は「基本的な/基礎的な/本質的な」といった意味。
同じく英語で「基礎/土台」を意味するベース(bace)から派生した言葉です。
野球のホームベース、楽器のベース、化粧品のベースケアなどは、どれも「基本・基礎になる」「土台として支える」役割を果たしていますね。
スマホの契約などでも「ベーシックプラン」といえば一番シンプルかつ低価格なプランで、そこから色々なオプションを上乗せしていくイメージです。
つまりファッションでいうと「この服やコーディネートをベースに、自分らしさを加えていける」ようなものがベーシックなアイテム・着こなしである、ということになります。
その条件に合うのはたとえば以下のようなアイテム。
- 装飾の少ないシンプルなデザイン
- 白黒グレーなどのモノトーンを中心としたカラー
- 長く着られる定番のデザイン
こういったアイテムを組み合わせたのが「ベーシックな着こなし」です。
たとえばシンプルなシャツ+黒いパンツ。
もちろんそのままでも素敵ですが、こういったベーシックな着こなしに流行のアイテムを加えれば「旬の着こなし」に変わりますし、自分の大好きなアイテムを合わせれば「自分らしい着こなし」になるわけですね。
下は、モノトーンのカットソー+シンプルなジャケット+定番デニムに、シューズだけ目の覚めるようなブルーを合わせた着こなし例です。
ファッションにおける「スタンダード」とは?
一方「スタンダードなアイテム」という言葉もよく耳にします。
英語のスタンダード(Standard)は「基準、規格、標準」といった意味を持ちます。
たとえばジャズの曲目でいえば、最近の流行曲や自分たちのオリジナルではなく昔から誰もが演奏するような曲をさして「スタンダード」と呼びます。
ファッションブランド「JOURNAL STANDARD」や、100円ショップDAISOの姉妹ブランドのスタプロこと「Standard Products」など、長く愛用できるような商品展開を意識して「スタンダード」をブランド名に取り入れている企業も少なくありません。
ファッションアイテムでいうと、次のようなものがスタンダードなアイテム・デザインに当てはまります。
- 一時的な流行に左右されず、長く愛されているもの
- 何種類かあるデザインの中で「基準」となるもの
たとえば、コートは数年ごとに流行が変わっていきますが、下のようなディテール(細部のデザイン)のトレンチコートは、トレンドに左右されない「スタンダード」といえます。
- ダブルの前開き
- 肩に「エポレット」と呼ばれるベルト
- 胸に「ガンフラップ」と呼ばれる当て布
- ウエストと袖口にバックル付きベルト
多くの人が「基準」と認める共通の特徴が備わっているのがポイント。
こういったコート・バッグ・財布など値の張るアイテムでは特に、スタンダードなデザインを選べば安心して長く使えますね。
「定番」アイテムの語源は?
「定番」は、歌舞伎や浄瑠璃の世界で古くから使われてきた言葉で、人気が高く繰り返し上演される演目を指していますが、これが転じてさまざまな業界で使われるようになりました。
たとえば「定番のポテトチップス」といえば塩味・コンソメなどですが、期間限定でさまざまなフレーバーが発売されますよね。
同じくファッションの世界でも、トレンドの変化にかかわらず毎シーズン必ず店頭に並ぶようなデニムなどを「定番アイテム」、デニム+白いTシャツ+スニーカーのようないつ誰が着ても間違いない組み合わせを「定番コーデ」と呼びます。
オーソドックス
オーソドックス(orthodox)は、もともとはギリシャ語の “orthodoxos”(正統派の/真正の)から生まれた言葉で「伝統的な/正統的な」という意味を持ち、古くはキリスト教の正統派を指していましたが、現在では「長年受け継がれているデザインや様式」全般に使われています。
たとえばボタンダウンの「オックスフォードシャツ」などは19世紀からずっと変わらないデザインで「オーソドックスなシャツ」といえますね。
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プレーン
プレーン(plain)は英語で「平らな/簡素な/無地の」といった意味です。
余計なものを加えないという意味の「プレーンヨーグルト」などはおなじみの使われ方ですね。
つまりファッション用語でも、なんにでも合わせやすく飾り気のないデザインを「プレーン」と表現します。
こう見ていくと、見た目は同じようなシンプルなシャツやパンツでも、その背景や使い方によって少しずつ「ベーシック」なのか「スタンダード」なのか、違いが見えてくるのではないでしょうか。
言葉の意味を知って、もっと洋服やコーデ選びを楽しんでみてくださいね!
POINT
- 「ベーシック」は基本的なアイテムや組み合わせを指し、そこから自分流に展開もできる
- スタンダードは、時代の流れの中で「これが主流、基本」と認められたデザイン
- 定番・オーソドックス・プレーンも少しずつ意味が異なる
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フリーライター。新聞社や大手通販サイトにてファッション・ライフスタイル系記事を執筆中。幅広い世代の流行やトレンドから、自分を含めた大人女性が毎日のファッションにリアルに取り入れられるアイテムや着こなしのヒントを厳選してお届けします!