ジュエリーの基礎知識

【宝石の種類】スファレライト:意味と和名、硬度。ダイヤモンドに匹敵する屈折率とは

ダイヤモンド光沢を持つ「スファレライト(sphalerite)」。
屈折率も高く、美しいスファレライトは日本でも産出するありふれた鉱物。

しかし、「宝石」としてのスファレライトを手に取る機会は限られています。

今回はスファレライトの基礎知識についてお届け。
「宝石」として珍しいのはなぜでしょう。

スファレライトの意味、和名、石言葉は?

スファレライトの意味と和名

1847年、ドイツの地質学者エルンスト・フリードリッヒ・グロッカー(Ernst Friedrich Glocker)により発見されたスファレライト。

まぎらわしい/あてにならない」を意味するギリシャ語の「sphaleros」が由来。

一説によると発見当時、光沢が強い方鉛鉱(ほうえんこう)という鉱物と一緒に産出していたため、このような名がつけられたとされています。

スファレライトは産出時の形状が多様なため、方鉛鉱以外にも様々な鉱物と混同されます。

モース硬度は3半から4。
立方晶系の硫化鉱物。

劈開は六方向に完全。

鉱物名は「閃亜鉛鉱(せんあえんこう)」。
名が示す通り、亜鉛の鉱物です。

おもな産出地はロシア、スペイン、メキシコ。
そのなかでも宝石質のスファレライトはスペイン、メキシコにて産出します。

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スファレライトの石言葉

スファレライトの石言葉は「幻想」。

名前の由来である「まぎらわしい/あてにならない」という意味が、石言葉に大きな影響を及ぼしていそうですね。

スファレライトのダイヤモンド光沢と希少性。カラーバリエーションは?

スファレライトはダイヤモンドより輝く?

硬度は低いものの、ダイヤモンドのように強い輝きを持つのであれば人気となりそうなスファレライト

産出地が限られているわけでも、ましてや特別採掘が難しいわけでもないのに、なぜ宝石のスファレライトは珍しいのでしょうか。

その理由はスファレライトの「脆さ」にあります。

硬度が低いというだけではありません。
カメオなどの彫刻素材となる珊瑚も同程度です。

スファレライトの脆さの理由は「硬度の低さ」に加え、「六方向に完全な劈開性」を持つこと

六方向に完全ということは、多方向からの衝撃に弱いということです。

劈開はダイヤモンドにもあるように、備わっているからこそ綺麗にカットができる側面もあります。

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しかし、ダイヤモンドのような硬さがないスファレライトは、劈開が完全というだけでファセットカットを施す難易度が高くなるのです。

さらに、それが六方向からとなると、カット途中で粉々になるリスクも他の宝石と比べて格段に上がるのです。

そのため、ファセットカットが施されたスファレライトは非常に希少。

ダイヤモンドに匹敵する屈折率も、ファセットカットを施すことによりはじめて引き出されます。

アマチュアの宝石クラブ・鉱物クラブが開催する宝石カットのコンテストで、ファセットカットを施されたスファレライトに最高点が与えられることからも、その難易度の高さが伺えますね。

特にエメラルドカットなどの「角のあるカット」が難しいとされています。

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スファレライトのカラーバリエーション

比較対象として取り上げられるダイヤモンドのような無色はあまり発見されないスファレライト。

不純物を含むことが多く、カラーバリーエションは黄や緑、茶、赤、黒色を示します。

通常、スファレライトといえば緑がかった黄色
鉄の含有量が少ないほど黄色に、鉄の含有量が多いほど黒色になります。

稀に透明度の高い赤褐色の美しいものも産出し、「ルビーブレンド」もしくは「ルビー亜鉛」と呼ばれます。

濃く発色した赤褐色のスファレライトにファセットカットを施すと、どんな貴石にも負けない輝きを放ちます。

取り扱い時の注意点は?

硬度が3半から4と低いスファレライト。

劈開は六方向に完全のため、あらゆる方向からの衝撃を避けること

超音波洗浄器の使用はもってのほか、保管時や着用時に他の宝石、金属とぶつけないよう細心の注意を払ってくださいね

汚れはセーム革などの柔らかい布で、丁寧に乾拭きすることを推奨します。

POINT

  • 1847年エルンスト・フリードリッヒ・グロッカー(Ernst Friedrich Glocker)により発見されたスファレライト
  • 産出時の形状が多様なため、「まぎらわしい/あてにならない」を意味するギリシャ語「sphaleros」が名前の由来
  • 硬度が低く、劈開も六方向に完全であるため、カットが難しい宝石のひとつ
  • カラーバリエーションは黄や緑、茶、赤、黒色など

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