フォトエッセイ

特別じゃなくても大切な毎日、”always”なデニムスタイル。【─Shining Moments:24 ─】

春服が欲しいなと思い、デニムスカートを買った。ミナペルホネン定番の「always」。コットンリネン生地のものだ。春服需要にかこつけて購入したけれど 通年使えるので、早速気に入って履いている。モードに着られる大人なデニムで重宝しそうな予感。

……そしてまた、私にとってこのデニムは ただのデニムスカートではない。ちょっと大げさかもしれないけれど、小さな夢を叶えてくれるデニムでもあるのだ。今日はそんな「always」について、思い出話と共に綴ってみたい。

ジュエリー エッセイ 山田ルーナ

あの頃、いつも履いていたもの

私の夫はデニムが好きだ。デニムの何が好きかというとエイジングが好きだそうで、その育っていく過程を楽しむのが堪らないのだという。ヒゲと呼ばれるアタリ…皺に沿った色落ちは持ち主の体型やデニムによって異なり、そのそれぞれに唯一の立体的な表情を与える。だから育て始めは とことん履いて、グッと身体に馴染ませるのが夫のスタイルだ。

ジュエリー エッセイ 山田ルーナ

私と夫が出会ったのは およそ10年前だが、出会った頃の夫の「とことん履く期」にあったのが、このミナペルホネン「always」だった。

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デニムシリーズ「always」は、2008年に発表されたミナペルホネンのスタンダード。モデルによって少しずつ仕様は異なるけれど、ちょうちょが描かれたフロントのボタンや、経年変化を味わえるシンプルなレザーパッチ、アタリのために内側に施されたテキスタイル”mermaid”の刺繍生地など 共通した特徴をもっており、どれもデニムというアイテムを大人の遊び心で解釈した楽しいお洋服だ。

「always」という名前のとおり、デザイナーの皆川明さんはこのデニムを、いつも履けるものというイメージで作ったのだそう。リラックスして履けて、履く人にとって友達のようなアイテム。それはつまり、ファッションという枠にはまらず、ずっと一緒に過ごせるようなものだ。以前このエッセイで同じくミナの「tori bag」について書いたけれど、やっぱりとっても素敵なブランドだと思う。

ずっとずっと一緒に過ごしたい、ミナペルホネンのトリバッグ。【─Shining Moments:20 ─】

自分の話に戻りたい。ちょうど、こんな写真がある。

ジュエリー エッセイ 山田ルーナ

10年前の私たち夫婦。何やら愉快な私の横にいる夫が履いているのが「always」だ。サイドのチェーンステッチが特徴的で、それと分かる。
当時の私はデニムにもブランドにもそんなに詳しくなかったけれど、それでも彼の履くデニムが なんだか素敵で、そのリラックスした雰囲気がとても大人な感じだなぁと憧れたことを よく覚えている。

そしてこちらが現在の「always」。もうずいぶん育って、色も薄い。”mermaid”のアタリやヒゲが とても良い感じ。私はこのデニムのエイジングを近くで見ていて初めて、デニムを育てるって面白いと思ったのだった。

ジュエリー エッセイ 山田ルーナ

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出会ってからの この10年で 私もずいぶんデニムに詳しくなった。リーバイスのビンテージ、フルカウントやウェアハウスのレプリカジーンズ…またオリジナルを展開するリゾルトなど、夫のコレクションをとおしてデニムブランドも沢山知った。そうして、むしろミナペルホネンは変化球なのだと分かったけど、やっぱり私の中で、出会ったあの頃の彼がいつも履いていたデニムとして、「always」は大切なアイテムだったのだ。

ジュエリー エッセイ 山田ルーナ

これから、いつも履きたいもの

そうして この度、いつか一緒に履きたいと憧れていた「always」を、デニムスカートで迎えることになった。私は夫ほど毎日デニムパンツを履かないので、手持ち唯一のデニムスカートとしてこれを選んだのは、良い判断だったと思う。

綿100のデニムにはないシャラっとした質感が心地よく、軽やかなので、超ロング丈ながら重たい印象はない。ボリュームのあるなシルエットはモードな雰囲気で、デニムスカートにありがちな「カジュアル」「ほっこり」なイメージよりも むしろ洗練されたスタイリングを作りやすい気がする。

ジュエリー エッセイ 山田ルーナ

「always」は「いつも」という意味だ。
それは特別じゃないけど、大切な毎日。

あの頃も今も、なんでもないけど大切な日々を刻んでいくアイテムとして、やっぱりデニムって素敵だ。そしてそういうふうにデニムを楽しめるようになったことを、大人の証のように感じて、誇らしいような気持ちになったりする。

ジュエリー エッセイ 山田ルーナ

夫の「always」は擦り切れるほどまで履かれて、もうあまり登場しなくなったけど、たまにお願いして揃って履いてみたい。私のデニムスカートが同じくらい薄い色になる頃には、二人とも もう少し良い大人になっていそうだね。

特別じゃなくても大切な毎日を、これからもデニムに映しつつ、味わっていこうと思う。

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