フォトエッセイ

私のスキンジュエリー。歳をかさねていく肌に、初めてのダイヤを乗せて。【─Shining Moments:22 ─】

少女の私の目に映ったネックレス

それをスキンジュエリーと呼ぶと知ったのは、わりと大人になってからだった。

私は幼い頃から母のネックレスを見るのが好きだった。デコルテにかかる、ゴールドの華奢なネックレス。一緒にお風呂に入る時も眠る時も、いつも母はそれを着けていて、少女だった私はそこに 安心感にも似た温かな憧れを感じたものだ。そのネックレスは私にとって、母の肌の記憶そのものだった。

だからそれをスキンジュエリーと呼ぶと知り、とても納得した。素肌に溶け込むような、素肌をより素敵に見せるようなジュエリーのことを、スキンジュエリーと呼ぶらしい。母のゴールドのネックレスは、まさにそんなジュエリーだった。

ジュエリー エッセイ 山田ルーナ

そういうわけで少女の頃からスキンジュエリーに自然と触れていた私は、その類のジュエリーに憧れをもっていた。華やかで存在感のあるものも好きだけれど、母をとおして知ったスキンジュエリーというものを、いつかきっと自分も身につけたい。

……その夢は、意外と早くに叶った。
あれは大学入学の頃だっただろうか。母がなんと、あのネックレスをくれたのだ。

ジュエリー エッセイ 山田ルーナ

母から譲り受けたスキンジュエリー

母がそのネックレスを譲ってくれることに、私はだいぶ驚いた。それは確かに母の肌の一部だったからだ。母は「年齢と共にゴールドが似合わなくなったから」と言ったけれど、そんなものは名目で、大切なものだったからこそ 娘の私に譲りたかったのかなと思っている。私はありがたく譲り受けて、その後、母には代わりにプラチナのネックレスを贈った。(……年齢と共にゴールドが似合わなくなったと感じた、というのも嘘ではなかったのだろう。母はシルバーカラーの新しいスキンジュエリーをとても喜んでくれて、今はそれを毎日身につけている。)

以来10年ほど、私はそのネックレスを肌身離さず着けている。私の初めてのスキンジュエリーだ。

スキンジュエリーは、一般的には金属アレルギーを起こしにくい素材(K18やプラチナなど)が選ばれ、お守りのように着けっぱなしにする人も多い。ネックレスやピアス、ブレスレットを中心に、華奢でシンプルなデザインが人気。シーンや流行を問わないのも魅力である。

ジュエリー エッセイ 山田ルーナ

このネックレスも18金。着けっぱなしにしているが、着けているのを忘れてしまうくらいに馴染みがいい。あの頃の母のように、お風呂の時も眠る時も一緒。例えばタートルネックのように首元が見えない服を着る時も、もちろん着けている。服を脱いだ時にそこにあることが嬉しく、自分が少しだけ綺麗になったような気もした。

スキンジュエリーを素肌に乗せた私は、思い描いていた大人の姿だった。

 

BETTINA JAVAHERI – 自分で買った初めてのダイヤモンド

さて、そんなわけでゴールドの華奢なチェーンネックレスを肌身離さず着けている私だが、最近とてもダイヤモンドが気になっている。30歳を前に、もう一段大人の階段をのぼる要素として、あの煌めきが欠かせないような気がした。

この手の話をすると母には「若いのにそんなこと言って…」どぼやかれるのだけど、25歳がお肌の曲がり角とはよく言ったもので、最近本当に肌の加齢を感じる。シワやシミが増えて、ハリもなくなった。そんな自分のことも愛しているけれど、もう一つ何かが足りないようにも思う。特に顔まわりに、自分をもう少しだけ好きになれるような要素がほしい。

だからそれはきっと、リングじゃない。ネックレスも母のがあるから、新しいものはいらないし……。ペンダントヘッドも考えたけれど、チェーンだけがデコルテに乗っている雰囲気が好きだったから、結局はあまりピンとこなかった。

そして思いついたのが、ピアスだ。もともとピアスは好きで色々なデザインを持っているのだけど、スキンジュエリーのようにどんな時にも身につけていられるようなものは持っていない。スタイリングの引き算で今まで何も着けなかったようなシーンで、さりげなくダイヤモンドが耳たぶに乗っていたら、結構素敵なんじゃないだろうか?

ジュエリー エッセイ 山田ルーナ

そうして私が選んだのは、「BETTINA JAVAHERI(ベッティーナ ジャヴァエリ)」のダイヤモンド。

「BETTINA JAVAHERI」は、身に着ける全ての女性に幸運と美しさが訪れるようにとの願いが込められた、ビバリーヒルズ発のジュエリーブランドだ。2011年にスタートしたばかりだが、ダイヤモンドを地金に留める最高の技術をもつ工場で1つ1つ丁寧に生産されており、老舗のような風格を備えている。

ジュエリー エッセイ 山田ルーナ

私は先日、一年のご褒美ジュエリーとして、ここのピアスを購入した。14Kのダイヤピアス。自分で買った、初めてのダイヤモンドでもある。
早速着けっぱなしにしているが、肌にすっかり馴染んで、ずっとそこにいたような気さえする。お洋服の邪魔をしないのに印象的で、私という存在をしっかり支えてくれるようなジュエリーだ。

ジュエリー エッセイ 山田ルーナ

たぶん私は、この先さらに歳をとっていく。シワやシミはもっと増える。ハリもなくなっていく。けれどもその時々の自分をちゃんと愛せるようなスキンジュエリーがあれば、その変化はきっと、むしろ美しさだと思えるような気がする。

ゴールドのネックレスとダイヤモンドのピアスを、自分の新しいスタンダードにして。
ちゃんと歳をとっていく自分の素肌に、より向き合い、より愛してみよう。
スキンジュエリーってきっと、そういうものなのだと思う。

一年が終わり、また新しい一年を迎える。
来年自分がどのように変化していくのか、冬の日差しの中で肌に溶けるようなスキンジュエリーを眺めながら、鏡に映る私はワクワクしていた。

ジュエリー エッセイ 山田ルーナ