ジュエリーの基礎知識

【宝石の種類】パイライト:意味と和名、愚者の金やマーカサイトとの違いって?

黄金の輝きを放つ「パイライト(Pyrite)」。
一見金の塊にも見えなくもないこの鉱物は、金ではない別の成分で構成されています。

今回はパイライトの基礎知識についてお届け。
磨かれたような多面体の結晶ができやすいパイライトの魅力とは?

パイライトの意味。和名、石言葉は?

パイライトの意味と和名

パイライトはギリシャ語で火打石を意味する「pyrites lithos」が語源。

鉄で叩くと火花が散る性質があるためです。
ちなみにギリシャ語で火は「pyr」。

黄金の見た目ではなく、その性質にちなんでつけられたのですね。

主な産出地はスペイン、南アメリカ。
日本でも産出し、世界中の鉱山で採れる一般的な鉱物です。

モース硬度は6から6半、立方晶系の珪酸塩鉱物。

劈開はなし

パイライトの和名は「黄鉄鉱(おうてっこう)」。
硫黄と鉄の化合物である酸化鉄です。

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パイライトの石言葉

パイライトの石言葉は「意識」「独立」。
古来より持っているだけで価値のある宝石とされていました。

パイライトはどんな石?偽物の金?マーカサイトって?

多面体の結晶で産出する傾向にあるパイライト。
どんな形で産出することが多いのでしょうか。

原石の形状が美しいパイライト

最も多いのが六面体十二面体
サイコロのような立体の形状は、ひときわ美しく見る人を惹きつけます。

大きさは微細なものから10cm角のものまで。
現在確認されている中で世界最大のパイライトは1辺が21cmの原石です。

圧縮されて円板状に成長した結晶は「パイライト・サン」と呼ばれ、多面体とは異なる魅力を堪能できます。

単体で産出することもあれば、岩石にくっついて産出することも珍しくはありません。

その際、六面体と十二面体など異なる形状の結晶が同じ母岩にできることも。

また、岩石以外にクオーツとの組み合わせも美しく、コレクターにはたまらない標本ではないでしょうか。

シャープな面を持つパイライトの上に生成されるクオーツ。

結晶の形の対比やゴールドとクリアな鉱物のコントラストはまさに自然が生み出した傑作ですね

宝石として用いられる際には、基本ビーズに加工されます。
またはカボションや板状に加工、結晶の形を活かしてセッティングされることも。

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光を透過しないためファセットカットを施されることは少ない宝石といえます。

「愚者の金」と呼ばれたパイライト

多くの鉱物はカットや研磨によって美しい輝きを放つものですが、パイライトは数少ない例外といえるでしょう。

先ほども述べたように、産出した時から磨かれたような強い輝きを放つため、加工技術を持たなかった時代を考えると、パイライトの輝きがいかにまばゆいものであったか想像は難しくありません。

金と見紛うほとの強い光沢ゆえに「愚者の金」という俗名をつけられたのです。

また、金の他に「マーカサイト」として用いられてきた歴史があります。
このマーカサイトはパイライトと同じ化学組成の鉱物。

異なるのは結晶構造
つまり、見た目は似ていますが性質に大きな違いが見られるということ。

マーカサイトは空気に触れると急激に酸化するため、宝石として仕立てられることはほぼありません。

そんなマーカサイトのジュエリーはヴィクトリア朝時代に多く出回っており、人気の宝石のひとつでした。

しかし、現在ではその多くがパイライトを加工して仕立てられたジュエリーと判明しています。

美しい姿を持ちながらも、金やマーカサイトの偽物と呼ばれるパイライト。
この記事がパイライトの魅力を見直すひとつのきっかけとなれば嬉しく思います。

取り扱い時の注意点は?

見た目に反してモース硬度は高くないため、衝撃を与えないように注意を払いましょう。

また、パイライトはカットや研磨も容易ではないため、美しい球体のビーズ状に仕立てられたものは珍しいです。

手に取る機会があればぜひその美しさを堪能してみてくださいね。

POINT

  • 「愚者の金」と呼ばれたパイライト
  • 硫黄と鉄の化合物であり、金ではない
  • 磨かなくとも美しい多面体での産出が多い
  • 宝石としては主にビーズ、カボション、板状に加工される

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