風が冷たい季節を迎えると、いよいよコートの登場ですね。
今回は、定番から新顔まで、コートの種類を形・素材・着こなしの雰囲気やシーンなどに合わせて紹介します。ぜひコート選びの参考にして下さいね。
レディースコートの種類・名前を一覧で
まずは、女性向けのコートの種類を一覧で紹介します。
ブランドやメーカーにより多少呼び方が異なる場合もありますが、大きく分けて、「形」による分類と「素材」による分類をおさえておけばOKです。
形別・コートの種類
- トレンチコート
- ステンカラーコート
- スタンドカラーコート
- ノーカラーコート
- チェスターコート
- リバーコート
- ラップコート
- ガウンコート
- ダッフルコート
- P(ピー)コート
- モッズコート
- ミリタリーコート
- コーディガン
- ケープ/マント
コート素材の種類
- 布帛
- ウール
- メルトン
- レザー(表革)・エコ(人工)レザー
- スエード(裏革)
- ムートン
- ファー(毛皮)・フェイクファー
- キルティング
- ボア
- ダウン
- ニット
コートの特徴・おすすめのシーンと選び方のヒント
ここでは、それぞれのコートの形の特徴やどんなシーンに合うのかを由来などもまじえて紹介します。
- 仕事やフォーマルなシーンに合うかっちりめのコート
トレンチコート
「トレンチコート」はもともとは第一次世界大戦時にイギリス軍が塹壕(=trench/トレンチ)で着用したレインコートが発祥です。
ダブルの打合せ、エポレット(肩章)や雨除けのフラップなどが特徴で、英国ミリタリー由来の「かっちり感」が通勤やスーツ合わせなどフォーマルなシーンによく合います。
ステンカラーコート
「ステンカラーコート」は、長く着られているシンプルなコートで、シャツのようなコンパクトな襟(えり)、ボタンが隠れる「比翼仕立て」、なだらかな肩の線を描くラグランスリーブ(ビジネスコートでは一部「セットインスリーブ」もあり)などがデザインの特徴です。
プレーンなデザインはオフィスカジュアルからオケージョン(行事)まで広く対応してくれます。
スタンドカラーコート
「スタンドカラーコート」は、名の通り、立ち上がった襟が特徴で、すっきり細身のシルエットでキリッとした印象に仕上がるコートです。
マフラーやストールなしでも防寒力があるので、荷物を増やしたくない真冬のお出かけにも重宝します。
実は上記の「ステンカラーコート」は英語の「スタンドカラー」がなまった和製英語で、どちらも同じもの…という説もあります。たしかにそういわれると、standの英語の発音は「ステン」と聞こえますね。
チェスターコート
2015年前後から流行しはじめ、1人1着は持っているのでは?というほどの人気になった「チェスターコート」。シングルのジャケットのようなデザインで、やや長めの膝~ロング丈が主流です。
日本ではその流行を経て今や定番になった感がありますが、意外にも歴史は古く、19世紀に英国のチェスターフィールド伯爵が着用したのが最初だといわれ、正式名称も「チェスターフィールドコート」です。
通勤・オフィスウェアのアウターとしてはもちろんですが、今の気分で着こなすなら、ニット・スウェットとロングスカートやデニムといった少しキレイめなカジュアルウェアと合わせたミックスコーデもおすすめです。
リバーコート
「リバーコート」は、正確には「生地の仕立てかた」で分類されるため、決まった形やデザインはありません。
「リバー」は「リバーシブル」つまり表裏どちらも使えるという意味。
2018年頃から流行し始め、当初は下の写真のように、裏返して異なる色の着こなしができる商品が中心でした。
ただ2021年現在では、色の好みや、価格の兼ね合いのためか、必ずしも裏返して着られるものばかりではないようです。
いずれにしても、内側の縫い目が目立たず美しいので、およばれやレストランでの会食など、脱ぎ着の多いシーンにもおすすめです。
ノーカラーコート
「ノーカラーコート」は、「カラー」つまり襟のないタイプのコートです。
そのままですっきりした見た目を楽しむのもよし、ネックレスやストール・マフラーなどを主役にした着こなしを楽しむときにも襟がジャマになりません。
ガウンコート
「ガウンコート」は、ガウンのようにさっとはおれる前開きのゆったりしたシルエットのコートです。
おもにロング丈で、ニットとパンツのようなシンプルなワンツーコーデの上にはおるだけで足元まで暖かく旬の着こなしが完成するので、忙しい朝にも重宝します。
ラップコート
「ラップ(wrap)」は「巻く」という意味で、ボタンがなく着物のように前を合わせてベルトでウエストを巻くことから「ラップコート」と呼ばれています。
体型や中に着たニットなどのボリュームに合わせてベルトの結び方を調節できたり、ベルトなしで前を開けて着たりとさまざまな着方ができ、コーデの幅が広がりますね。
ケープ・マント
「ケープ」や「マント」は、袖がなく、肩からはおるタイプのアウターです。
ケープはおもに腰まで短め丈なのに対し、マントは膝丈など長めなのが特徴。どちらも流れるようなシルエットで、エレガントな着こなしが完成します。
厚みのあるコート生地で仕立てたケープやマントは冬でもかなりの防寒力を持ち、クリスマスや年末年始のパーティーシーズンなどに、ふんわりしたドレスの上からでも袖をつぶさず着られます。
- カジュアルなシーンに合うコート
続いて、近所へのお出かけや、カジュアルなファッションによく合うコートを紹介します。
ダッフルコート
「ダッフルコート」は、イギリス海軍の制服が発祥とされ、フードがついていることと、「トグル(toggle)」と呼ばれる象牙のような独特の形をした留め具を使うのが特徴です。
学生のイメージが強いダッフルコートですが、ロング丈や、やや細身のシルエットを選べば大人女性にも素敵に着こなせます。
Pコート(ピーコート)
「Pコート(ピーコート)」は、もともとはオランダの漁民が着ていたデザインを元に、英国海軍の制服として採用されて広まったと言われています。
前開きはダブルで、大きめのボタンに碇(イカリ)の絵が彫られ、襟も大きいのが特徴。
色はネイビーがもっとも多く、ダッフルコート同様に学生向けのイメージがありますが、最近は明るいカラーやゆるっとしたAラインのPコートも増えています。
モッズコート /ミリタリーコート
「モッズコート」「ミリタリーコート」は、アメリカの軍用コートが元になったもの。
雨や風に強く、ポケットがたくさんついた機能的なデザインが人気です。
カラーもカーキやグリーン・迷彩柄など、ミリタリーを連想させるものが多くハードな印象がありますが、あえてフレアスカートやワンピースなどフェミニンな服と合わせると遊び心があってバランスの良い着こなしが楽しめます。
コーディガン
「コーディガン」とは、「コート」と「カーディガン」が合わさってできた造語で、カーディガン感覚で軽く着られて、かつコート並のあたたかさもあるアウターをいいます。
肩がこらない着心地なので、車の運転をする時や、テレワークの日の買い物などワンマイルウェアにもぴったりです。
コートの素材一覧と特徴
同じ形のコートでも、素材によって印象が変わりますよね。
レディース用コートによく使われる素材について解説します。
布帛
布帛(ふはく)とは、一般的な布のこと。
トレンチコートやステンカラーコートなどは、厚手のコットン(綿)とポリエステルの混紡がよく使われます。
ウール/カシミヤ/アンゴラ
動物毛は伝統的にコートの素材として使われてきました。
ウールは羊毛、カシミヤは山羊、アンゴラはウサギの毛で、それぞれ100%または混紡の割合によって色々な風合いになります。
天然素材のコートは保管中に虫がつきやすいので、5月や真夏のからっと晴れた日に虫干しするのがおすすめです。
メルトン
ウールやコットンなどをフエルト状に加工したものがメルトン素材です。
ダッフルコートやピーコートなどの厚手のコートによく使われます。
丈夫で暖かいですが、その分重量もあるので、小柄な人は通販ではなく試着して購入するのがおすすめ。
レザー
牛・羊などの天然皮革と、フェイクレザー・エコレザーと呼ばれる人工皮革があります。
近年は、環境やアニマルウェルフェア(動物の幸せと衛生)に配慮した天然皮革をさして「エコレザー」と呼ぶことも。
また、裏革の「スエードコート」にも、最近では軽くて扱いやすい「エコスエード」が増えています。
ファー
「ファー」はいわゆる毛皮のことで、ミンク・フォックス・ラクーンなどのリアルファー、人工のフェイクファーやエコファーがあります。
こちらも、近年では動物愛護の観点から人工のファーが増えてきています。
ムートン
「ムートン」とは、羊の毛皮をなめして平らにした素材で、部分的にモコモコとした毛を残す加工もよく行われます。
ムートンも、近年では人工の技術が発達し、軽い「エコムートン」が普及しています。
ボア
「ボア」は、見た目は羊毛と似ていますが、ポリエステルなどを原料とした毛足の長い織物のこと。
実際に暖かいのはもちろんですが、モコモコとした見た目もかわいく、秋冬のカジュアルコーデのアクセントになってくれます。
「着ぶくれしそう…」と心配なら、下の写真のようなウエストマークされたデザインのボアコートがおすすめです。
キルティング
「キルティング」は、2枚の布の間に綿などを入れてステッチで留めた素材で、薄い空気の層が温かさを保ってくれる素材です。
もともと防寒用の裏地として発案されたのですが、今では凸凹感のあるデザインの面白さから表地にもよく使われています。
ウールや革のコートよりも薄くて軽いため、晩秋・小春日和の日や車移動だけの日にはキルティングコート1枚で十分なことも。
ニット
「ニット」素材のコートは、カーディガンよりもしっかりとした素材や編み目で、コートがわりになりつつ軽く抜け感のあるコーデが叶うのが特徴です。
ダウン
水鳥の羽毛をキルティング加工した生地に詰めて仕立てた「ダウン」のコートは、抜群の保温力で真冬の強い味方です。
ショート~ミドル丈なら軽やかに、厳寒期やスポーツ観戦などにはロング丈が安心ですね。
POINT
- コートの種類は、形と素材によってそれぞれ分類される
- 伝統的なコートは、軍の制服から生まれたデザインも多い
- 近年、動物の福祉や地球環境に配慮したエコ素材のコートも増えている
ひとことでコートと言っても本当にたくさんの種類がありますが、ライフスタイルやお住まいの地域の気候に合わせて最適なコートを選びたいですね。
この冬、コート選びの参考になれば幸いです。
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フリーライター。新聞社や大手通販サイトにてファッション・ライフスタイル系記事を執筆中。幅広い世代の流行やトレンドから、自分を含めた大人女性が毎日のファッションにリアルに取り入れられるアイテムや着こなしのヒントを厳選してお届けします!