2022年SS(春夏)のトレンドやファッショントレンドはどうなるのでしょうか?
2020年から続く新型コロナウィルス禍、ニューノーマルのライフスタイル変革期にある世界。ウィズコロナ/ポスト・コロナ時代に「サステナブル・ファッション」拡大?
ソーシャルトレンドや展示会情報などから、2022年の春夏シーズンに向けたトレンド情報やヒントをお届けします。
2022SSも波乱の時代?ニューノーマルの進展と「K字型」経済
2022SSの全体傾向は?
2022年も課題と変革の中にありそうな私たちの社会。
新型コロナウィルスのパンデミックに対して世界的にさまざまな対策が講じられていますが、変異株の感染再拡大を目の当たりにしている今、まだまだ解決には年単位で時間がかかる様相です。
新型コロナ禍長期化による経済回復への影響、さらに地政学的リスクが高まる可能性も。
波乱含みの不透明な時代には、長期予測も複数のシナリオを検討しつつ、状況次第で調整するといった柔軟な対応力が必要です。
そんな中、2021~2022AW記事でも書いた通り、リモートワークや非接触化といった合理的な「ニューノーマル」ライフスタイルはさらに進展するでしょう。
そして「K字型」の経済と言われるように、経済の二極化が見られます。貧富の差の拡大、世界経済のまだら化、ニーズが高まるものと不要になっていくもの…。
おしゃれへの関心も「K字型」に?
この「K字型」イメージ、経済的な二極化だけでなく、人が何を大切にするか…価値観の極端化、分散化ともつながる気がします。
自分らしいおしゃれを求める人、趣味を極める人、身なりは動きやすさが一番と割り切る人…それぞれが内に秘めた多様なニーズが分散して突出する時代。
「ワクワク」…希望、特別感、サプライズ感、ラグジュアリー感、エンターテインメント性?
「便利」…機能性、コスパ、サイズ感、スピード感?
特におしゃれ関連の作り手側は、それぞれの顧客にエッジの立った提案を意識したいですね。
サステナブル・ファッション拡大。2022SS注目ポイント
長期的には地球環境問題やDX(デジタルトランスフォーメーション)に対応、社会基盤全体が変革期といえる時代。継続的ではありますが、2022SSに意識したいテーマをあげてみました。
「サステナブル・ファッション」の拡大
SDGsやファッション協定の牽引もあり、2020年代を通してのビッグテーマとなってきた「サステナブル」と「サステナブル・ファッション」。
最近は「サステナ」と略されることも⁈
以前も指摘したように「グリーン・ウォッシング」(見せかけの環境配慮)と揶揄されるほど、あらゆる分野で取り組まれています。
素材や商品バリエーションの拡大にともない、いったい何がサステナブルなのか、企業やブランド側はていねいに説明する必要性が高まっています。
「エコレスポンシブル(環境に責任を持つ)」、「エコフレンドリー」といった表現のバリエーションにも注目。
もののライフサイクル全体をデザインし、”愛着”志向…「タイムレス」「ロングライフ」を提案するのも、サステナブルな考え方ですね。
労働問題や人権問題なども改めてクローズアップされ、「エシカル(倫理的)」視点も再認識されそう。
「ジェンダーレス」「フェミニティ」…個性・多様性の重視
既存社会の枠組みにとらわれない、ジェンダーレス発想。
ジェンダーフルイド(性別が流動的に揺れ動く)やノンバイナリー(男性・女性の性別に縛られない)といった感覚にも注目。
いっぽうでフェムテック(女性の健康課題をテクノロジーで解決する製品やサービス)など、「女性であること(フェミニティ、フェミニニティ)」をより明るくポジティブに取り扱う傾向も拡大しています。
ジェンダーやフェミニティ、人の個性や多様性について改めて考えることは、具体的なファッションの表現とも密接に結びつきます。
「カラーへの希求」も、ソーシャルな視点と関連する場合も。
「フューチャー・エッセンシャル」スタイルの追求
新型コロナ禍の長期化で、ライフスタイルや家の役割も変化。
「テレワーク/リモートワーク、ホームオフィス」「リモートラーニング」「おうち時間」「おうちアウトドア」…家で過ごすことを起点にした人の行動が、衣食住全般…服装の選び方、化粧品、インテリアなどに影響しています。
エッセンシャル・ワーカー(必要不可欠な労働者)という言葉が広まりましたが、ニューノーマルのライフスタイルを前提としたエッセンシャルなウェアやスタイルが追求されそう。
具体的にはワンマイルウェア、ツーマイルウェアといった領域にどんな新しさをプラスしていくのか、あるいはまた独自のスタイルを提案していくのかがポイントになりそうです。
2022SSのファッショントレンドは?
明るい息吹、色彩豊かに!2022SSはカラーグラデーションに注目
先行き不透明だからこそ、ファッションの希望をもたらす新しさに期待したい2022年春夏シーズン。
2月にオンラインで開催された2022SSのプルミエールビジョンでも、クリエイティブなファッションへの欲求を提示していました。
カラーは24色が提案され、おおらかで色彩感豊かに。中では「グリーニッシュ」(イエロー~グリーン系)「レディッシュ」(ピンク~オレンジ系)「ブルーイッシュ&ヴァイオレット」(ブルー~紫系)といった、カラーグラデーションを重視したセレクトが印象的。
モーブ(淡紫)×オレンジのようなオプティミスティックな配色、イリディッセント(玉虫色、虹色)な見え方にも注目を。
豊かなカラーハーモニー、マルチカラーへの希求は、次の2022~2023AWも続きそうなので、長期的傾向としてもチェックしておきたいですね。
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素材感としては、エレガントな素材やシアー感、洗練されたリネン、軽やかなコットン感などに注目。
イノベーティブなテック素材やサステナブル素材・リサイクル素材の開発も進展!「エコレスポンシブル(Eco responsible)」という表現も印象的です。
またデジタル時代だからこそテキスタイルならではの3D感が再認識され、畝や凹凸感、メッシュやオリガミ構造などがクローズアップされそう。
東京オリンピックのオフィシャルスポーツウェア「ポディウムジャケット」も、人体を研究したメッシュ構造でイノベーティブ感がありましたね!
サステナブルな素材開発、「ツーマイルウェア」進展
国内素材メーカー(こちらもデジタル開催)の展示会も、やはりサステナブルを意識。PETボトルリサイクル素材×オーガニックコットンのブレンドなど、開発が進んでいます。
素材感としても気になるコットンライク。コットンそのものは新疆綿問題などさまざまな課題も出ている素材ですが、その質感をテクノロジーで補う試みにも期待したいです。
そしてニューノーマルなライフスタイルの流れを受け、ストレッチ素材やスウェットセットアップの「ラウンジウェア」、前シーズンから使われ出した「ツーマイルウェア」…楽な着心地でカジュアルすぎないスタイルをピックアップ。
リラックス感のあるセットアップやワンピースを、速乾やストレッチといった機能性もそなえて提案していました。
2020SSは明るくポジティブなカラー、軽やかでハリのあるエレガントムード×スポーツ・アウトドア系のテイストミックス、ライトな高機能スタイルに注目?
不透明な時代ですが、時代の変革期にあって人間らしい個性やファッションのもたらす希望に注目していきたいです。
POINT
- 変革期にある2022SS。ニューノーマル進展、「K字型」を意識して
- サステナブル・ファッションが拡大。カラーグラデーションで希望を
- ツーマイルウェアの進展、軽やかエレガント&高機能スタイルに注目
【あわせて読みたい】より具体的な2022年春夏ファッショントレンドはこちら!
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マーケティングディレクター、ジュエリーに詳しいライター、女性メディアライター、ジュエリーデザイナーなどによる専門チーム。