コラム

ジェンダーレスファッションとは?学生服や制服も変わり始めています

近年、性別について、従来の「男女」という枠組みにとらわれず1人1人が自分らしく生きようという流れが世界的に広まっています。

それはファッションにも表れており、プライベートはもちろん制服の世界にも性別にとらわれないようなデザインが登場し始めました。

今回は、「ジェンダーレスファッション(genderless fashion)」の意味や、どんな変化が起こっているのか実例を紹介します。

「ジェンダーレスファッション」とは?

「ジェンダー(gender)」とは、生まれつきの身体的な性別で、社会的・文化的な役割が決められてしまうことをいいます。

「男のくせに泣くな」「サラダを取り分ける子って女子力高いよね」といった発言はジェンダーに基づくものといえますね。

「ジェンダーレス」とは、そういった性別の枠組みをなくし、本人の意志を大切に生きようという考え方

ジェンダーレスのほか「ジェンダーフリー」「ジェンダーニュートラル」という言葉もあります。ジェンダーレスが「男女」を意識しない生き方を指すのに対し、本人の意識にかかわらず、進学や昇進などが性別で左右されないようにという社会的な観点で使われます。

ファッションの面からジェンダーを見てみると、たとえば現在、子供服売り場ではピンクの服はほぼ女の子用ですし、男の子用のスカートはまず見かけませんよね。

ジェンダーレスファッションとは、ファッションを男の子向け・女の子向けと設定せず、ピンクでもスカートでも、その子が好きなら自由に着ればよいという考え方。

しかし大人になると、体格の違いなどから(身体上の)男性がピンクの服を着たくてもレディースサイズしかなかったり、そもそもショップが男女別で入りづらいなどの問題が出てきます。

Tシャツなどカジュアルウェアでは「ユニセックス」と表示された性別設定がない商品も見かけますが、まだまだ「ジェンダーレスファッション」はファッション全体ではごく一部といえるでしょう。

学生服・制服とジェンダーレスファッション

身体的な性別で社会的役割が割り当てられる「ジェンダー」。

それがもっとも顕著に表れているのが、学生服や仕事の制服・ユニフォームではないでしょうか。

男子はズボン、女子はスカートという認識が長年続いていた学生服ですが、最近では性別(身体的/自己認識とも)にかかわらず好きな方を履いてよいという学校が増えています。

制服メーカー「トンボ」が2020年度に納品した中高生の制服のうち、女子生徒にスラックスを導入した学校は450校で、2014年度から約76%も増加したそうです。

とはいえ、男子生徒がスカートをはくのはまだまだハードルが高いのが現状で、本当に自分が好きな形の学生服を着られる時代はもう少し先かもしれません。

また企業の制服(ユニフォーム)にも変化の波が起き始めています。

コスメブランドの「シュウ ウエムラ」では、2021年からスタッフの制服に性別を設けず好きな形を選べるデザインを採用しました。

▼デザインを手がけたファッションブランド「ウジョー(UJOH)」インスタグラムより

 

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袴からインスパイアされたワイドパンツは、動きやすく、性別を問わずスタイリッシュに着こなせそうですね。

ジェンダーレスファッションを扱うブランドが増えている

2021年には歌手の宇多田ヒカルさんが自身を「ノンバイナリー(男女二択の性別に当てはまらない)」であるとSNSで発言するなど、性別のとらえかたが見直されつつある現代

とはいえ、まだまだ

「おしゃれは好きだけど、着たい服が(身体上の)異性向けの店にしかなく、サイズも合わない」

「ジェンダーレスファッションが広がってるとはいえ、どこで買えるのか分からない」

という人も多いかもしれません。

しかし少しずつ店舗でもオンラインでも、メンズ・レディースといった枠を設けずに、幅広いサイズ展開で誰でも買えるアパレルが増えています。

FRAPBOIS(フラボア)

”「大人げない大人の服」をコンセプトに、大人が着るリラックスしたデイリーウェアを提案するコレクションブランド。(公式インスタグラムより)”

ユニセックスのアイテムは2サイズ展開がメインですが、ゆったりしたシルエットが多いため、幅広い体格の人に着こなせそうです。

IIQUAL(イーコール)

オンワードグループが”誰かが決めたらしさを脱ぐ服”をコンセプトに立ち上げたブランド。商品カテゴリーには「ユニセックス」しか存在せず、シンプルな中にもひとひねりあるデザインで、その人らしさを引き立ててくれそうです。

POINT

  • ジェンダーレスファッションとは、男性向け・女性向けと決めず自分らしい着こなしを楽しむこと
  • 学生服や制服の世界もジェンダーレスファッションへ動き始めている
  • ジェンダーレスファッションを取り扱うブランドやショップも増えてきた