紫の宝石といえばアメシスト。
ほかにもスピネルや翡翠が紫色の宝石として人気ですね。
どれも魅力的ですが、日本でも産出する紫色の宝石といえば「スギライト(sugilite)」。
濃紫から鶯色までを有する、知れば知るほど惹かれる宝石。
今回はスギライトの基礎知識についてお届けします。
スギライトの意味、英語名、石言葉は?
スギライトの意味と英語名
「スギ」と聞いて日本を感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
その通り、スギライトのスギは「杉」。
クンツァイトと同様、人名から名付けられました。
漢字では「杉石(すぎいし/すぎせき)」。
スギライトの名前は日本だけでなく、国際的にも受け入れられています。
それとは別に、南アフリカ産の品質が良いものをアメリカでは「スージーライト」と呼びます。
モース硬度は5半から6半、六方晶系の珪酸塩鉱物。
劈開はなし。
鉄を多く含むと紫色、アルミニウムが多いとピンクになります。
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スギライトの石言葉
スギライトの石言葉は「心地よい癒し」。
不透明石ならではのこっくりとした色合いは落ち着きを与えてくれますね。
スギライトは日本のどこで産出する?
スギライトは発見者である杉健一氏の名前をとって名付けられました。
いつ、日本のどこで発見されたのでしょう。
杉健一教授とスギライト
1944年、愛媛県の岩城島でスギライトは発見されました。
発見者の一人は、当時九州大学の教授であった杉健一氏。
帝国大学卒業後、九州大学の理学部新設に携わり、日本における地質学の先駆者としても知られています。
この時に見つけたのは紫色のスギライトではなく、鶯色のものでした。
スギライトといえば紫色の印象がありますが、最初に発見されたものは黄色の小さな結晶だったんですね。
そうして見つかったスギライトでしたが、鉱物と認められるまでには数十年がかかりました。
というのも、結晶で見つかることが少なく、塊か粒状で見つかることがほどんどだったからです。
1955年インドでピンクのスギライト、1975年南アフリカで紫色のスギライトが発見。
市場に流通するようになり、宝石としての人気も高まっていったのです。
1976年に国際鉱物連合により、正式な鉱物として認定。
発表者は杉教授ではなく、弟子で鉱物学者であった村上充英氏。
杉健一教授に敬意を表し「スギライト(杉石)」と命名。
愛媛の岩城島で発見されたスギライトのサンプルは、同年スミソニアン博物館に寄贈されました。
スギライトの産地と特徴
日本で産出する鉱物と聞くと、ぐっと身近に感じるスギライト。
ただ、日本で最初に発見された黄色のものは産出量が少ないことで知られています。
宝石品質の大きなスギライトは南アフリカ共和国のケープ州、ウィッセル鉱山で産出。
多くは不透明で、縞が入ったものや黒っぽいものなど印象もさまざま。
透明感のある明るい紫色のスギライトが高品質とされています。
ピンクが混じったものも大変人気です。
取り扱い時の注意点は?
塩が変色の原因となるため、海水はもちろん使用後は必ず石を拭く習慣をつけましょう。
多孔質なため水分にも注意してください。
また、表面に光沢を出すための含浸処理が施されている場合があります。
POINT
- スギライトのスギは発見者の杉健一氏の名前が由来
- 1944年愛媛県の岩城島で発見され、1977年に発表された
- カラーバリエーションは紫、ピンク、黄緑
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大学卒業後、ジュエリー専門学校にてメイキングとデザインを学ぶ。ジュエリーセレクトショップ・百貨店にて販売員経験あり。あなたとジュエリー・アクセサリーとの距離を縮める記事をお届けします。