古典的な美と現代的な美。
そのミクスチャが独特の感性を奏でるブルガリ。
歴史をたどって発掘した物語に、最先端の技術で命を吹き込む。
中心となるブランドが生まれた土地、イタリア・ローマ。
【ジュエリーブランドの名品】第五回目は「BVLGARI(ブルガリ)」。
ビー・ゼロワンやセルペンティといった名品を生み出したブランドを育んだ土地、ローマとの関わりにも注目してみましょう。
ローマとブルガリの歴史
この投稿をInstagramで見る
1884年、ソティリオ・ブルガリによって創業されたブルガリ。
銀細工に携わる一家に生まれたブルガリも銀細工職人となり、生み出した銀装飾はローマで販売されると瞬く間に観光客からの人気を集めました。
ジュエリーの本場、イタリアのパワーを映すジュエリー
ジュエリーといえばどこの国を思い浮かべるでしょうか。
フランス?ベルギー?
それともインドやスリランカでしょうか。
鉱物の産出地や研磨地ではなく、彫金加工という観点から見て宝飾史に大きく貢献し続けてきたのがイタリア。
紀元前から金が産出する土地で繊細で高度な金細工を手がけ、その技術が途切れることなく現在まで受け継がれているのです。
ブランドの名前にもそれが表されています。
創業当初、ブランド名は名前の綴りのまま「S.BULGARI」でしたが、ブランドのルーツである古代ローマへのオマージュとして「V」が採用。
「BVLGARI」の「V」は、Uがなかった原始ラテン文字の表記に基づいたものです。
※原始ラテン文字は古代ローマで使用されていた文字
ブランドを支え発展する礎となったローマへの感謝の気持ちとして、ブルガリはローマの遺跡などの修復に携わっています。
紀元2世紀に作られたカラフルなモザイクタイルが目をひくカラカラ浴場もそのひとつ。
イタリアンスタイルと色彩豊かな色使い
この投稿をInstagramで見る
ブルガリといえば豊かな色彩。
生命力すら感じる色石のバランスとデザインの独創性は、古代ギリシャ、古代ローマの様式をデザインに取り込んだことにより誕生。
ジュエリーは時代の流れを反映するものでもあり、アール・デコの時代(1910〜30年頃)にはブルガリもその影響を受けていました。
しかし、1940年代以降には創業時に立ち戻り、ブルガリのイタリアンスタイルが存在感を増してきました。
そして50年代にはカラーストーンを用いた色彩やカットの表情を活かし、いわゆる「ブルガリらしい」と感じる象徴的なデザインが生み出されたのです。
ブルガリを代表する名品たち
時代を映すだけに留まらず、独自の視点で歴史や人の美しさを見せ続けてくれたブルガリ。
腕時計や香水などさまざまなアイテムでブランドの魅力を私たちに届けてくれていますが、やはり原点はジュエリー。
ビー・ゼロワンにセルペンティなど、ブルガリの名品をご紹介。
ビー・ゼロワン(B.ZERO1)
この投稿をInstagramで見る
切れ目のない円は永遠の証。
凛とした存在感に独自性が加わったビー・ゼロワン。
イタリアのコロッセウムの変わらない威厳と、現代の建築デザインが融合した唯一無二のジュエリー。
1999年の誕生以来ブランドのシグニチャとして、世代を超えて愛されています。
ビー・ゼロワンが描く螺旋は「永遠の都」ローマの圧倒的な歴史、悠久の時間を私たちに教えてくれるかのよう。
ブルガリ・ブルガリ(BVLGARI BVLGARI)
この投稿をInstagramで見る
1975年、100名の顧客だけにクリスマスプレゼントとして贈られたブルガリ・ブルガリ。
その2年後、時計のデザインに取り入れられ瞬く間にブランドを代表するシグニチャとなりました。
刻まれた「BVLGARI」の文字は、古代ローマの硬貨からインスピレーションを受けて。
ローマ生まれのブランドの、ローマを愛するメンタリティを反映したシリーズです。
硬貨が生み出されてから現代まで人の営みを支え続けている硬貨だからこそ、これからも変わらない価値を私たちに伝えてくれます。
積み重ねた時間と物語に思いを馳せ、歴史の奥深さに触れられるジュエリー。
セルペンティ(SERPENTI)
この投稿をInstagramで見る
ローマ神話にギリシャ神話と、さまざまな神話に登場する蛇。
知と生を象徴する蛇からインスピレーションを得たのがセルペンティです。
現在でも医療・医術の象徴として世界中に広く知られ、救急車の車体のマークやWHO(世界保健機関)のロゴに蛇がデザインされています。
つける人の守り神となる蛇のジュエリーは古くから愛されているモチーフのひとつですが、ブルガリにとって蛇はブランドの歴史を語るのに欠かせないモチーフ。
セルペンティは蛇の生命力と官能的な動きを繊細に表現。
ブルガリが持つ最先端の技術と感性で、その時代の空気、ブランドの情熱を込めてきたのです。
蛇の頭にしろ鱗ひとつにしても、その自由な表現は見れば見るほど心を奪われますね。
この投稿をInstagramで見る
ローマという都の魅力を表現し続けているブルガリ。
イタリアにとどまらず世界中を魅了し続けているのは、ジュエリーを通してみる歴史や人の豊かさに惹きつけられるからかもしれませんね。
POINT
- ローマで生まれ、ローマの土地や時代、人の魅力をジュエリーとしてデザインしたブルガリ
- 「BVLGARI」の「V」は古代ローマで使われていた原始ラテン文字から
- 神話からインスピレーションを得たセルペンティはお守りジュエリーとしても
【あわせて読みたい】ジュエリーブランドの名品、バックナンバーはこちら
第一回目:TASAKI
第二回目:TIFFANY&CO.
第三回目:Cartier
第四回目:Van Cleef & Alpers
この記事を読んだ人は、こんな記事も読んでいます
大学卒業後、ジュエリー専門学校にてメイキングとデザインを学ぶ。ジュエリーセレクトショップ・百貨店にて販売員経験あり。あなたとジュエリー・アクセサリーとの距離を縮める記事をお届けします。