装身具の歴史において重要な役割を担ってきたヨーロッパ。
多様な文化が栄えた地中海沿岸では、紀元前からイヤリングやリングが作られていました。
現在でもヨーロッパはジュエリー産業の中心地。
世界五大ジュエラーに数えられるカルティエもフランス生まれのブランドです。
【ジュエリーブランドの名品】第三回目は「CARTIER(カルティエ)」から。
時代の流れをいち早く読み、成長を続けたカルティエを形作るものとは一体何なのでしょう。
時代の先を見通すCARTIER
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1847年、「Louis-Francois Cartier(ルイ=フランソワ・カルティエ)」がパリに宝飾工房を設立。
現在に至るまで、カルティエは憧れのブランドとして世界の関心を集め続けています。
カルティエの170年を超える年月は伝統を踏まえるだけでなく、登場したばかりのプラチナをジュエリーに取り入れ、古典的な様式と新しい技法を取り入れるといった挑戦の歴史でもあります。
CARTIERとジャンヌ・トゥーサン
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カルティエのスタイルは異国文化を愛し、積極的に取り入れてきた姿勢がベースにあります。
ロシアのバレエ団、中東の芸術、19世紀末に流行した東洋趣味と数々の文化に美を見出し、ブランドを構成する美しさを築き上げてきたのです。
ブランドの歴史に名を刻む女性、「Jeanne Toussaint(ジャンヌ・トゥーサン)」の才能を見出したのもカルティエの功績のひとつ。
1933年にアーティスティックディレクターへ就任したトゥーサン。
当時、女性に高い地位を与えることが稀だった社会で、いち早く彼女の才能を見出したのです。
1948年は、パンテールという愛称を持っていたトゥーサンとカルティエにとって転機の年。
1914年の登場以来、初めてといえる立体的なパンテールをブローチで表現したのです。
以降、パンテールはトゥーサンのシグネチャとなり、そしてカルティエのシグネチャとしてその名を世界に響かせます。
トゥーサンテイストと呼ばれるジュエリーは、今日まで世界中の女性を魅了し続けているのです。
歴史を変えたCARTIERとプラチナ
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ジュエリーの選択肢としてポピュラーなプラチナを、はじめてジュエリーの台座として採用したのはカルティエです。
それまでジュエリーの台座として用いられていたのはシルバー。
プラチナの黒みを帯びた色味はダイヤモンドの輝きを際立たせ、粘り強いといった素材の特性は古典的なガーランドスタイル(花手綱様式)を再流行させるのに適した素材だったのです。
レースのように軽やかで繊細な細工を施すことができ、細い爪でも宝石をしっかり留められるプラチナの登場により、カルティエのクリエイションはさらに奥深く。
ジュエリー業界には新しい風が吹き込んだのです。
CARTIERを代表する名品たち
カルティエを「王の宝石商、宝石商の王」と称したイギリスのエドワード7世は、1904年にカルティエをイギリス王室御用達公式サプライヤーとして認定。
1907年にはロシアから皇室御用達の認定を受けるなど、貴族だけでなく王族にも愛されてきたブランドです。
身分も国も超えて愛され続けてきたカルティエの名品をご紹介します。
ラブ(LOVE)
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ピンにパイプ、ボールベアリング。
一見ジュエリーと関係がなさそうなものにも美を見出してきたカルティエ。
ナットをモチーフにした「エクル」も印象に新しい中、その源流であるラブ。
1970年代、ニューヨークで誕生。
リング、ネックレス、イヤリングと展開されており、すべてにビス(小さいネジ)がデザインされています。
ブレスはラブシリーズを最も象徴するアイテム。
楕円型のブレスレットは、着脱に専用のドライバーが必要。
愛をより強固に、束縛とも絆とも呼べる鮮烈さを持って身につけることができるのです。
そのコンセプチュアルさは、時代を超えて人を惹きつける魅力がありますね。
トリニティ(TRINITY)
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1924年に誕生したトリニティ。
ホワイト、ピンク、イエローの三色のゴールドが織りなす美しさにまず目を奪われます。
一本一本はシンプルなフォルムも、カルティエの手にかかればアートピースのようなジュエリーに。
SMサイズ、クラシックサイズ、LMサイズとリング幅ごとに異なり、指や手のバランスに合わせて選べるのも嬉しいですね。
様々なカラーのジュエリーを楽しむ方におすすめのライン。
パンテール
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カルティエといえばパンテール。パンテールとはフランス語で豹(パンサー)のこと。
1914年、オニキスとダイヤモンドで表現したパンテールパターンの腕時計が誕生。
そこから様々な姿で表現されるようになりました。
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絵画から抜け出したかのような躍動感を見せたかと思いきや、構築的なシルエットでモダンな佇まいを見せることも。
時代の先をゆく女性に愛され続ける、気品に満ちたアイコニックなジュエリー。
ジュエリー業界の最先端を走り続けるカルティエ。
時代感覚の鋭さとそれを汲む表現力の高さで、これからも私たちにときめきを与えてくれることでしょう。
POINT
- 世界中の文化からの受けたインスピレーションを基盤にもつカルティエ
- はじめてプラチナをジュエリーに採用、ガーランド様式を再流行させた
- フランスだけでなくイギリス、ロシアなどの王室御用達ジュエラーとして名を馳せた
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大学卒業後、ジュエリー専門学校にてメイキングとデザインを学ぶ。ジュエリーセレクトショップ・百貨店にて販売員経験あり。あなたとジュエリー・アクセサリーとの距離を縮める記事をお届けします。