コラム

30代・40代・50代…ファッション誌に見るおしゃれの世代間ギャップ

世代別のファッション意識の違いとは?

筆者は現在40代後半・アラフィフ世代ですが、30代・40代・50代以上とさまざまな世代の女性と過ごしていると、年代によっておしゃれの意識が意外と違うと感じます。

そして、そこには、ファッションの価値観が形成される10代後半から20代前半の社会背景が大きく影響しているのではないか…と推測しています。

そこで今回は、30代~50代を中心とした大人女性がどんな青春時代を送り、現在はどのような価値観でファッションをとらえているのか、人気女性ファッション誌も参考に振り返ってみました。

50代以上女性は、実はもっともおしゃれ好き?!

現在50代以上の女性は、女性の社会進出が本格的になり、ファッションもより自由な表現が可能になってきた時代に青春を過ごしています。

当時流行したのは、「コム・デ・ギャルソン」の黒ずくめでアシンメトリーなコーディネートや、ハウスマヌカン(ブティック店員)たちのうなじを刈り上げたヘアスタイルなどに代表される、既成概念を打ち破るような個性的なファッション

海外のハイブランドだけではなく、さまざまな日本初のDCブランドが台頭し、社会的にも経済成長が続いていたため、街ではファッションにこだわる女性が数多く見られました。

そんな彼女たちが主婦になると、30代で「Very(ヴェリィ)」、40代では「Story(ストーリィ)」などの既婚女性向けファッション誌に、子どもがいてもおしゃれを楽しむ「読者モデル」として多数登場し、一世を風靡しました。


この世代が50代になるタイミングに合わせて、それまではミセス向けの家庭的な雑誌しか存在しなかった50代女性向けに「éclat(エクラ)」が、翌年には「HERS(ハーズ)」が創刊。

まさに大人女性のおしゃれをパワフルに追求してきた世代といえます。

バブル崩壊でファッションも激変?!40代女性

次はいま40代の女性たち。

筆者もこの40代後半です。

大学入学時はバブル全盛期で、クラスメイトはこぞってぴったりしたミニスカートのスーツやワンピースの「ボディコン」で夜遊びに出かけていました。

しかし、大学在学中に「バブル崩壊」が起こります。

急激な景気の冷え込みから、派手でゴージャスなファッションは鳴りをひそめ、ロンドンのストリートを思わせる「裏原系」ファッションや、「金ボタンのダブル紺ブレザー・白シャツ・デニム」のいわゆる「渋カジ」など、カジュアルな装いが流行しました。

筆者の周囲の女性を多い浮かべてみても、40代女性ももちろんファッションには関心があるもの、アグレッシブさは50代女性にかなわないな…と感じることも多々あります(笑)。

40代向けのファッション誌には「Marisol(マリソル)」「GLOW(グロー)」「otonaMUSE(オトナミューズ)」などがありますが、以前から時々読んでいた筆者の体感では、いまの50代が卒業した後の誌面はずいぶんシンプル・ナチュラルに変わりおとなしくなった印象です。


ただ、ファッションの急激な変遷を目の当たりにしてきただけあって、さまざまな流行の変化を柔軟に受け入れる「着こなし力」は高い世代ではないでしょうか。

30代女性のファッションは、意外とコンサバ?

バブル崩壊後、長い平成不況を過ごしてきた現在の30代は「ミレニアル世代」ともいわれます。

「自家用車を持ちたいと思わない」「洋服はすべてユニクロでOK」など、悪く言えば質素な、良く言えば地に足のついたライフスタイルの男女が多いことで知られています。

現在の30代向けファッション誌「Very」を見ると、シンプルで上質なハイブランドの着こなし提案とともに、ファストファッションの特集も組まれていて、家族を大切にしつつ暮らす、とてもコンサバなライフスタイルや価値観が浮かんできます。

その一方で、「SWEET(スウィート)」では「一生女の子」とうたったガーリーなファッション、「SUPUR(シュプール)」はモードなハイブランド路線…とファッションの指向も幅広く、多様な価値観を大切にするミレニアル世代らしさを感じます。

「#KooToo」運動にも象徴されるように、おしゃれのためなら痛みや寒さもガマンする!という感覚はあまりなく、着心地や機能性を重視するのも、30代以下の若い世代の特徴ではないでしょうか

POINT

  • 今の50代にはパワフルでお洒落の熱量が高い女性が多い
  • 今の40代はバブルから不況の過渡期に生き、柔軟性のある着こなしが得意
  • 今の30代は地に足のついたファッションをマイペースに楽しんでいる

こうして比べてみると、ファッションと社会情勢は密接に関わっていることが分かります。

どちらがいい・悪いではなく、他の世代の良いところを取り入れる気持ちでファッションを楽しめたらいいですね