ダイヤモンドの代用品とされたり、キュービック・ジルコニアと混同されがちなジルコン(zircon)。
実は今までに発見された鉱物のなかで、最も古い鉱物だということはご存知でしょうか。
42億年前の先カンブリア時代の堆積岩から、ジルコンの粒状結晶が発見されているのです。
ジルコンの意味や誕生月、ダイヤモンドとの違いやキュービック・ジルコニアとの見分け方は?
今回はジルコンの基礎知識についてお届けします。
ジルコンの意味、和名は?いつの誕生石?
ジルコンの意味と和名
インドヨーロッパ語で「輝く」を意味する「ghel」が語源となったジルコン。
無色のものはダイヤモンドの代用品として使われることもありました。
モース硬度は7〜7半で、正方晶系の珪酸塩鉱物です。
無色以外では青、赤、紫、緑、黄、褐色があり、カラーバリエーションに富んだ宝石のひとつ。
鉱物名は「天然ジルコン」。
ジルコニウムに珪素と酸素が化合した鉱物です。
ジルコンの和名は「風信子石(ヒヤシンスセキ)」。
花のヒヤシンスに似た色味が多く、古代ギリシャではヒヤシンスと呼ばれることもあったとか。
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石言葉
ジルコンの石言葉は「やすらかな時間」。
最も古くから愛されてきた宝石のひとつであり、エジプトやペルシャ、メキシコにチベットなどの地域で用いられてきた歴史のある宝石です。
12月の誕生石
ジルコンは12月の誕生石。
ターコイズやタンザナイトは青系なので、赤や緑、黄色の宝石が好きな方はジルコンを選んでみてはいかがでしょう。
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ジルコンとダイヤモンドの見分け方。ジルコニアとは?
17世紀以前、宝石として人気があったのはダイヤモンドよりエメラルドやルビー、サファイアなどの色石でした。
しかし、ダイヤモンドのカット技術が向上し、現在では「宝石の王様」と呼ばれる存在へ。
ダイヤモンドの価値が高まり、近い輝きをもつ宝石として注目されたのがジルコン。
そのため「ダイヤモンドの偽物」というイメージを持たれがちですが、裏を返せばダイヤモンドに劣らない美しさがあるということ。
では、ジルコンにはどんな魅力があるのでしょう。
ジルコンとキュービック・ジルコニアの違い
ジルコンの魅力に触れる前に、知っておきたいのがキュービック・ジルコニア(CZ)との違い。
似た響きなので混同されがちですが、ジルコンは天然石、キュービック・ジルコニアは人造石。
ジルコンは自然界に存在する化学組成の鉱物であるのに対し、キュービック・ジルコニアは自然界に存在しない化学組成の鉱物。
つまり、人為的に生み出されたのがキュービック・ジルコニアなのです。
また、ジルコンは複屈折で、キュービック・ジルコニアは単屈折(ダイヤモンドも単屈折)。
複屈折とは結晶に光が入ったとき二つの光線に分かれる性質であり、文字の上に複屈折結晶を置くとその文字が二重に見えます。
「ダイヤモンド光沢」をもつジルコンの輝き
比重・硬度も異なるジルコンとキュービック・ジルコニア。
ふたつの宝石にはダイヤモンドの代用品とされる大きな理由があります。
それは「ダイヤモンド光沢(金剛光沢)」と呼ばれる輝き。
宝石の多くが「ガラス光沢」であり「ダイヤモンド光沢」を持つ宝石は限られ、ジルコンもその数少ないうちのひとつ。
高い屈折率とそれを活かす精密なカットによって「ダイヤモンド光沢」は引き出されるのです。
ダイヤモンドの屈折率は2.419、ジルコンは宝石品質のハイタイプで1.925~1.984。
キュービック・ジルコニアは2.15です。
キュービック・ジルコニアの方が屈折率が高いものの、ジルコンもライトを当てることで強い七色の分散光を放ちます。
豊富なカラーと目を引く輝きといった外観上の特性はもちろん、長い年月を地球とともに歩んできたことを考えると、ジルコンの印象も変わりますよね。
取り扱い時の注意点は?
日常生活で使用するのに十分な硬度をもつジルコン。
熱や圧力にも比較的強い宝石として知られていますが、超音波洗浄器での洗浄は避けましょう。
また、加熱処理を行われているジルコンは紫外線によって退色してしまう恐れがあるため、日光が当たる場所や照明下ではなく、保管する際には必ず暗所で。
POINT
- 今まで発見されたなかで最も古い鉱物「ジルコン」
- 無色以外に赤・緑・黄などカラーバリエーションが豊富
- ジルコンは天然石、キュービック・ジルコニアは人造石
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大学卒業後、ジュエリー専門学校にてメイキングとデザインを学ぶ。ジュエリーセレクトショップ・百貨店にて販売員経験あり。あなたとジュエリー・アクセサリーとの距離を縮める記事をお届けします。