ハードルが高い?と思っている人も多い「オーダーメイド」ジュエリーの連載2回目です。
手持ちのルースをジュエリーにしたい方、ジュエリーをリフォームしたい方…PETHICAデザイナーがリアルな実例をもとに解説していきます。
連載①はこちらからどうぞ!
WAX?CAD?ジュエリーデザインの作り方
さて、今回はデザイン作りのご紹介です。
デザインは主にWAX(ロウ)で作る方法と、CAD(コンピュータ支援設計)で作る方法があります。
WAXだと手作り感が出ます。インドジュエリーや昔のジュエリーはこの方法が多いです。
一方、CADはカチッとしたラインや細かい模様を出せるので、エレガント感が出ます。もちろん、とことんシンプルなデザインにすることも可能です。
お客様とお打合せしてイメージされたものをCADにおこしていきます。
今回は、石枠に模様を入れたいということだったので(PETHICAのモチーフの一つである蓮の花の模様です)、CADを使ってデザインしていくことに…。
デザインをするときに重要なのは、「ルースを知る」ということです。
色々な角度からノギスで測って、そのルースの大きさを知ります。天然石なので、石によって丸みや凹凸バランスも一石づつ違います。研磨の仕方によっても面の数や大きさに微妙に誤差が出ます。この測る作業がとっても重要なのです。
そして、CAD上でそのルースを再現して描きます。
次に、石枠を描きます。(ここはデザイナーによってやり方・順序は違います)
実際のルースの大きさに対して精密に描いていきます。細すぎると、仕上げの時に折れてしまったりするので、0.01mm単位で線を繋いで描いていくのです。
蓮のモチーフを描けたので、今回取り入れたいペリドットの石枠も描いていきます。
線をたくさん描くのですが、線と線が繋がって、体積が出ないとデザインとして完成になりません。少しのズレで体積は出なくなってしまうので集中力が必要です。
CADでは様々な色で使い分けたり、見え方を変えることもできるので、イメージしやすく便利です。
デザイン画をベースにコミュニケーション
デザイン画が仕上がりました。
お客様には、できるだけ実際のルースや地金の色に近い画像にして、この段階でお見せします。
上から、横から、斜めから。色んな角度の画像をお見せします。
お客様からは、ここをこうして欲しい、もっと太く/細く、角度を少し変えて…などとお伝えいただきます。予算なども相談しながら調整していきます。
お客様とこのコミュニケーションがあるからこそ、オーダーメイドの楽しさを感じていただけると思います。
気に入っていただけるかどうか、満足いただけるかどうかのプレッシャーがマックスになる段階ですが、「素敵」「これで進めてください」と言われた瞬間は嬉しく、やりがいを感じる瞬間です。一緒に作り上げていくというのがオーダーメイドの楽しみですね。
こういったやり取りを何度も繰り返して、CADデザイン画が完成します。
お客様はこのデータをもとに、楽しみにお待ちいただくことになります。
3Dプリンタで造形、鋳造へ!
そして、このCADデータをもとに3Dプリンタを使って造形に入ります。職人技が光ります。
こちらを使って鋳造できる型を作ります。まるで実験作業のようですね。
そして、いよいよ、地金の鋳造へ。
今回のお客様はK18イエローゴールドをご希望。次回③は鋳造後からご紹介いたします。
PETHICAの個展開催が決まりました!
オーダーメイドのご相談等も承ります。どうぞお気軽にお越しくださいませ。お待ちしております。
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PETHICA Designer / Creative Director
世界を回って広大な自然を感じ、さまざまな人と出会い、笑ったり涙したり、耳をかたむけたり。
そうして受けたインスピレーションがひとつにつながって、ストーリーから生まれるジュエリー”旅するジュエリー”をデザインから制作までしています。