“旅するジュエリー”をコンセプトに展開するブランド、PETHICA(ペシカ)。
バックパッカーとして世界50カ国を旅したデザイナーの旅の思い出、そこから生まれるジュエリーの物語を綴るコラムを連載しています。
今回はミャンマーでのお話。ルビー買い付けのリアルな現場の模様をお伝えします。
ルビーに会うためミャンマーへ。
ルビーと言えば、ミャンマーなのです!ミャンマー(モゴック産)のルビーはとても美しく、希少価値があると言われています。
そう知って、知ってしまったからには行きたくてたまらなくなり…..
行きました。ひとまずミャンマーへ。
ミャンマーはとても暑く、ジメジメしていました。首都のヤンゴンは人も多く、車や商店に溢れ、そして新興国ならではの活気と秩序のなさで、数日の滞在で疲れてしまいました。
何も計画なしに来てしまったたので、ひとまず、宝石市場へ出かけました。
しかし、ルビーの赤色が美しすぎて、これは染めているの?加熱?などと色んな疑問が溢れかえり、しまいには、偽物だったりして?と考えると購入することができませんでした。
首都のヤンゴンは観光地でもあるので、ここで手に入れるよりも、北へ向かおう。
そう決めて、旅をしながら北へ向かいます。色々な各地を廻りながら、「マンダレー」というミャンマー第二の都市へ到着。
大きな町ではあるものの、ヤンゴンよりも田舎くさくって、いくぶんホッとしたのを覚えています。
ローカルの人の暮らしを見るのが好きなので、早速ローカルの人と同じように自転車を借りて街へ繰り出します。
宝石マーケットはどこかな~とまわっていると、スリランカの時と同様、ありましたありました!
青空市場(笑)=ストリートマーケットでした!!
少し屋根のある場所もあるものの、表現するならば「小屋」でした。
それでも、翡翠や瑪瑙などがゴロゴロとあり、その場で若者が研磨している場所も。
デザイナーは一度スリランカで、青空市場に慣れてしまっていたので、何ら動じません。いろいろなコーナーを廻り、一番信用できそうな人の場所で、じっくりと買い付けます。
ドキドキ?ルースの買い付け交渉!
交渉の際は、まず最初に、お店の方が言ってきたり出して来たりするルースをそのまま眺めます。黙っているとどんどん見せてきます。
心の中ではドキドキ、心臓もバクバクいっているのですが、足元を見られないように余計なことを発せずに黙っています。
ある程度、ルースを出してきたら、自分のジーンズのポケットから、専用のルーペを出すんです。すると店員は、「あれ?こいつ本物だね?マイルーペをポケットに入れてるなんて。」という表情をしてきます。
そうなると、また更に良いルースをどんどん出してきます。石を透かしてみたり、頬っぺたや顎につけてみたり。するとまた更に良いルースを出してきます。
本物の石は、地底に埋まっていたものなので、肌につけると少しひんやりするんです。これはスリランカでプロに教えてもらった知恵と仕草。
それから、いいな、高そうだな、と思ったルースを見つけて交渉開始します。値段交渉に入ったら、もうこれは人柄と愛嬌と粘り強さでしかありません。ここで怒りっぽくなる店員がいたら、なんとなく信用ならないのでやめておきます。
そんなことを暑い中、一日中繰り返して買い付けをするのです。
それが、旅するジュエリーのデザイナーにとっては、冒険であり、楽しみであり、ジュエリーが出来上がるまでのストーリーの一部なのです。
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PETHICA Designer / Creative Director
世界を回って広大な自然を感じ、さまざまな人と出会い、笑ったり涙したり、耳をかたむけたり。
そうして受けたインスピレーションがひとつにつながって、ストーリーから生まれるジュエリー”旅するジュエリー”をデザインから制作までしています。