ジュエリーの基礎知識

【宝石の種類】ガーネット:意味と誕生月、パイロープやツァボライトとは

中世において、その中に炎を宿していると信じられていたガーネット(garnet)

ルビーとはまた異なる表情の赤が魅力的な宝石ですが、じつはカラーバリエーションが豊富。
緑系のデマントイドやツァボライト、カラーチェンジタイプもあります。

今回はよく知っているようで奥が深い、ガーネットの基礎知識をお届けします。

ガーネットの意味、和名は?

ガーネットの意味と和名表記

ラテン語で種子や粒を意味する「granum」。
そこから派生した「granatum」が語源となった「ガーネット(garnet)」。

色ではなく、原石が柘榴の実のようにみえることから名付けられました。

鉱物名は「天然ガーネット」。
じつは単一の鉱物ではなく、似た構造を持つ鉱物のグループをガーネットと呼んでいるのです。

モース硬度は6半から7半、等軸晶系のケイ酸塩鉱物。

ガーネットの和名は「柘榴石(ざくろいし)」。
和名も英名と同じく、結晶が柘榴の実のようにみえることから。

参考記事:宝石の和名が知りたい!名付けに役立つ宝石の名前や漢字のヒント一覧

石言葉

ガーネットの石言葉は「真実」「友愛」。
ノアの方舟では灯火の代わりとなり、暗闇を照らしたとも伝えられています。

1月の誕生石

ガーネットは1月の誕生石
日本以外にもアメリカにイギリス、オーストラリア、フランス、カナダでも1月の誕生石に制定されています。

参考記事:知っておきたい!誕生石の一覧と意味

ガーネットは赤色以外にどんな種類がある?

ガーネットが単一の鉱物ではないことは述べましたが、具体的にはどういうことでしょうか。

16種類もの鉱物から成るガーネット

同じ鉱物でも取り込む成分の違いによって色の違いが生まれます。
コランダムなら、クロムを取り込み赤色となったものがルビーで、それ以外がサファイアというように、多くはその色によって宝石名がつけられます。

つまり、色が違っても結晶構造や化学組成といった性質が同じなのです。

対して、ガーネット。
パイロープもロードライトも結晶構造は共通なのですが、化学組成がわずかに異なります。
そのため、色の違いは不純物だけでなく、化学組成の違いにもあるのです

だから同じガーネットでも硬度や屈折率といった性質に差がみられるのです。

よく目にする赤色のガーネットは4種類に分類できます。

  • パイロープ・ガーネット(ルビーのような赤で黒みを帯びている)
  • ロードライト・ガーネット(紫赤色〜赤褐色)
  • アルマディン・ガーネット(暗赤色〜赤褐色)
  • スペサルティン・ガーネット(橙色〜橙赤色)

スペサルティンとパイロープの中間色と位置付けられているマラヤ・ガーネットも、赤系のガーネットです。

緑系のガーネット。デマントイドとツァボライトとは

赤や橙以外に、紫に緑、青といったバリエーションがあるガーネット。
ウバロバイトやアンドラダイト、グロッシュラーといった種類があります。

なかでも人気が高いのは緑系のガーネット。
デマントイドやツァボライトは形成条件が限られていて、稀にしか産出しません。

デマントイド・ガーネットは、アンドラダイトの緑色の変種。
硬度は6半と低いのですが、強い輝きを放つ宝石として知られています。

ダイヤモンドに次ぐ高い屈折率を持つことに加え、分散度はダイヤモンドを上回ります
分散度とは、光が当たったときに見える虹色の輝きのこと。

ダイヤモンドよりも分散度が高い宝石は限られており、緑色が濃いものより薄いものの方が観測しやすいとされています。

ツァボライト・ガーネットはグロッシュラーの緑色の変種。
1970年ごろに発見された歴史の浅い宝石です。

じつはツァボライトという名前は宝石名ではありません。
ティファニーが名付けたコマーシャルネームなのです。

ケニアおよびタンザニアで発見されたツァボライトは、両国の国境に位置する「ツァボ国立公園」が名前の由来。

エメラルドに似た深いグリーンが特徴で、ツヤを感じる光沢を放つ宝石です。
とても希少なため良質なものは重さを優先し、原石の形状に沿ったデザインにカットされる傾向にあります。

デマントイドは虹色の輝きを引き出すために、多くの場合で細やかなカットを施されます。
同じ緑系のガーネットでも、カットの違いがあるのは面白いですよね。

デマントイドとツァボライト以外にもうひとつ、緑系のガーネットがあります。
翡翠とよく似た半透明の緑色や、明るい透明の緑色を示すグロッシュラー・ガーネットの変種。

通常グロッシュラーは半透明なので、輝きよりも色を重視してカボションやビーズにカットされます。

取り扱い時の注意点は?

ガーネットは硬度もあり、比較的扱いやすい宝石です。
ただし、硬度の低いデマントイド、インクルージョンがよくみられるスペサルティンやヘソナイトといったガーネットの取り扱いには充分注意しましょう。

POINT

  • ガーネットは単一の鉱物ではなく、複数の鉱物から成るグループ
  • デマントイドはダイヤモンドを上回る分散度をもつ緑系のガーネット
  • ツァボライトはティファニーが名付けたコマーシャルネーム

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