2020年最も話題のアイテム、マスク。
新型コロナウイルス問題で注目されたマスクは、ラグジュアリーブランドからハンドメイドまで幅広く作られるようになり、ファッションマスク化の様相も見せています。
そもそもマスクとは?「サージカルマスク」とは?そして最近よく聞く「ネックゲイター」「マスクレット」とは?
今回はマスクの歴史と2020年の現状から、withコロナ時代のフェイス回りアクセサリーまで。マスクの過去・現在・未来を模索していきましょう。
「マスク」とは?マスクの歴史
そもそもマスクとは?
「仮面(マスク)」とは、顔の一部または全体にかぶるもの、覆うものを指します。
仮面(マスク)は古来から、宗教や祭祀・儀式的な意味、素性を隠す意味、衛生的な意味といったさまざまな理由で使われてきました。
感染症とマスクとのかかわりで有名なのはペストマスク。主にヨーロッパでペスト菌による感染症・ペストが何度も大流行した際、ペスト医師が着けていたマスクです。
くちばしの部分には香辛料や藁を詰めています。(なんと占星術師ノストラダムスも若い頃このペスト医師の仕事をしていたそう!)
日本のマスクの歴史
日本語では「仮面」は儀式や演劇、お祭りなどに使うもの、「マスク」は衛生目的で実務的に使うもの、と言葉を使い分けている傾向があります。
仮面としては能で使う能面などの歴史を持つ日本ですが、今回は衛生の視点で見てみましょう。
日本では神事などの際、白い布か紙の覆面(ふくめん)を使ってきました。神聖なものに息(ケガレ)を吹きかけないようにするため…現代の衛生観念に通じる感覚です。
また防寒や埃除け、身分を隠すために使われた頭巾(ずきん)も頭部や顔回りを覆うもの。御高祖頭巾(おこそずきん)は帽子とマスクを兼用したようなアイテムです。
現在のようなマスクの原型が作られ始めたのは明治~大正期。真鍮の金網を芯に布地を取り付けたもので、工場などの粉塵除け用途。「工場マスク」と呼ばれていたそうです。
マスクは1918年のインフルエンザ(スペイン風邪)流行をきっかけに一般にも予防品として注目度が高まります。当時は革製のマスクもあったとか。
その後ガーゼマスク、1970年代に不織布製のマスクが登場。1980年代以降は花粉症の流行からマスクはさらに一般化、2000年代には使い捨てが主流となり立体型のマスクも誕生しました。
2020年、改めて「マスク」に注目が集まる!
実はもう製薬業界がファッションショーをする時代だった
2020年、新型コロナウィルスの感染予防から世界的に着用が広まっているマスク。
日本ではインフルエンザや花粉症対策として既にポピュラーだったマスクですが、欧米ではマスクをつける習慣がなかったのだとか。
実は2020年2月、「PITTA MASK」でカラフルなポリウレタン素材のマスクの提案を行ってきたアラクスが、ニューヨークでファッションショーを行っていたそうです。
昨夜のWBSにて、製薬会社のアラクス社がNYコレクションでアクセサリーとしてのマスクを売り出したとのこと。米国は予防としてのマスク文化がなく、かつてのメガネのようにアクセサリー感覚で身につけてもらおうという試みらしい。おもしろい。(お値段が気になります) pic.twitter.com/U7LPO2QFLo
— cofmof (@cofmofmof) February 11, 2020
奇しくも新型コロナウィルスの感染が世界的に広がるタイミングにあたっていたのですね。
2020年、マスクは百花繚乱!
2020年は急激なマスクへのニーズから争奪戦や転売問題、政府のマスク配布緊急対策(アベノアスク)といった出来事が次々と発生しているのは皆様もご存知の通り。
そして必要は発明の母、さまざまな企業がマスクを開発。
SHARPなどの企業、ルイ・ヴィトンやディオールといったラグジュアリーブランドからミズノなどのスポーツブランド…各社がこぞってマスクを製造、家庭でもハンドメイドのマスクが作られるようになりました。
- デザイン…主に平面・プリーツ・立体の3種類。「ポケット付き」や「縫わない方法」もあります。
- 素材…不織布、ポリウレタン、ガーゼ、コットンシャツ地、デニム、古着リメイク、シルク、リネン、レース、着物生地、スポーツウェア素材、水着素材、ウェットスーツ素材 /抗菌防臭加工、接触冷感加工、UVカット加工…etc.
さまざまな新素材・開発素材も続々登場!こちらは洗える抗菌和紙で作られたマスク。
suadeo 【MADE IN JAPAN 佐藤繊維】洗える抗菌和紙ニットマスク
そして今、「夏マスク」として夏向けのテキスタイル(リネンなど)や機能(接触冷感、通気性、UVカットなど)を使ったマスクが増えています。
ついにはユニクロも通気性・速乾性に優れた「エアリズム」使用の夏マスクを生産することに!
「顧客の声で一番マスクが求められていた」と柳井正氏。ユニクロが2020年夏にマスク事業に参入、機能性肌着「エアリズム」の素材で夏場でも蒸れにくい布製マスクを手掛けます。#新型コロナ #COVID19 #緊急事態宣言https://t.co/kVAA2KNYpG
— 日本経済新聞 電子版 (@nikkei) May 23, 2020
色柄を楽しむ、コーディネートを楽しむ…これまでの概念を超え、着用を楽しむこともできるマスクは「ファッションマスク」と言う視点でも注目されています。
この投稿をInstagramで見る
マスクは医療機器?
ところで、ファッションマスクや手作りマスクって基準はどうなの?医療機器の法律にひっかかったらどうしよう?と思われている方のために。
日本では医療用・家庭用マスクについての明確な性能規格基準はないようです。(産業用マスクには規格が定められています。)
一般的に販売されているマスクは薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)に該当しない「雑品」となります。
その中で「サージカルマスク」とは主に医療の現場で使われるマスクのこと。
サージカル(surgical)とは「外科の、手術の」という意味。BFE(細菌ろ過効率)やPFE(微粒子ろ過効率)といった米国の基準を参照して製造・評価されています。
家庭用マスクには基準はないため、特に布で作られるマスクは、飛沫の予防や咳エチケット、手指で顔を触らないためのエチケットアイテムと考えましょう。
フィルターやサージカルマスクの上に使う前提で「マスクカバー」「オーバーマスク」と名乗っているケースもあります。
なお、販売するマスクを制作する場合はこちらの自主基準をご参照ください。
withコロナ時代、フェイスアクセサリーの未来を考える
フェイスシールドなど、フェイス回りアイテムの可能性が拡大⁈
今後も感染症対策を意識した「新たな生活様式」とそれに合わせたアイテムが生まれそうです。
医療や検査現場中心に使用されているフェイスシールドも重要なアイテム。
フェイスシールドのデザインもさまざまな発展形が生まれてくるかもしれませんね。
この投稿をInstagramで見る
ネックゲイターとは?
顔を覆うアイテムとして、ジョギングなどの時に使われていた「ネックゲイター」も注目されています。
ネックゲイターとは防寒や熱射病対策で首元を保護するアイテムで、主に筒状のデザイン。
英語ではneck gaiter、gaiterとは「ゲートル」(すねを保護するすね当て、脚絆)のこと。
ネックゲイター再注目 一番人気は「バフ」【無料会員限定記事】https://t.co/2PldgH6fk4#ネックゲイター #バフ #繊研新聞 pic.twitter.com/7c8w02PG4g
— SENKEN+plus (@SENKENplus) May 18, 2020
マスクレットとは?
新たなアクセサリーとして登場しているのが「マスクレット」。
マスクレットとは、マスクのゴムで耳が痛くならないように頭部の後ろで使うマスク留めのこと。マスクバンドとも。
フェイス回りのアクセサリーの未来に注目!
考えてみれば、眼鏡(メガネ)も視力の調整や目の保護のための器具でありながら、おしゃれアイテムとしても認知されていますよね。
帽子、髪飾り、イヤリング、ヘッドフォン…これまでも頭部や顔回りに着けるアイテムはありましたが、2020年は新たなフェイス回りのアクセサリーやコーディネートが生まれるきっかけの年となるのかも。
もちろん本来の目的は感染予防。人類の歴史は感染症との闘いの歴史ということを私たちは改めて突き付けられました。
機能と柔軟な発想力とのコラボで生まれてくるアイディアとは?
「withコロナ」の時代、感染予防と共に生きていく上で、新たな概念でつくられる装身具の未来にも注目していきたいと思います。
POINT
- 仮面(マスク)にはさまざまな意味があり、時代と共に発展してきた
- 2020年、マスクのニーズが一気に高まり、商品バリエーションも拡大
- withコロナ時代、フェイス回りのアクセサリーの未来にも注目!
【あわせて読みたい】眼鏡の基礎知識を知りたい方はこちら!
【あわせて読みたい】身分を隠す仮面(マスク)・「ベネチアンマスク」についてはこちら!
この記事を読んだ人は、こんな記事も読んでいます
マーケティングディレクター、ジュエリーに詳しいライター、女性メディアライター、ジュエリーデザイナーなどによる専門チーム。