青と紫を溶かしたような、幻想的な色合いに心奪われるタンザナイト(tanzanite)。
じつは宝石としての歴史は浅く、まだ発見されてから50年とすこし。
また、ティファニーと縁が深い宝石としても知られています。
今回はミステリアスな青紫の宝石、タンザナイトの基礎知識をお届けします。
タンザナイトの意味、和名は?名前の由来とは
タンザナイトの意味と和名表記
タンザニアの石を表す「タンザナイト(tanzanite)」は、「Tanzania」と、英語で石を表す「ite(またはlite)」が組み合わさって生まれました。
1967年に発見された比較的新しい宝石のひとつで、ミッドナイトブルーと称されるほかにはない唯一の色を持っています。
鉱物名は「天然ゾイサイト」。
バナジウムを含むことでタンザナイト特有の青から紫を発色します。
モース硬度は6から7、斜方晶系のケイ酸塩鉱物。
ジュエリーに使用される宝石のなかでは硬度が低く、扱いには注意が必要です。
タンザナイトの和名は「灰簾石(かいれんせき)」、または「ゆう簾石(ゆうれんせき)」。
柱状に結晶した縦の条線が簾(すだれ)のようにも見えるので、「簾」の漢字があてられたのかもしれません。
参考記事:宝石の和名が知りたい!名付けに役立つ宝石の名前や漢字のヒント一覧
石言葉
タンザナイトの石言葉は「誇りの高い人」。
ほかにも「神秘」や「高貴」といった宝石言葉があります。
12月の誕生石
タンザナイトは12月の誕生石。
2002年、アメリカで正式に誕生石のひとつとして加えられました。
参考記事:知っておきたい!誕生石の一覧と意味
タンザナイトは何色?ティファニーが見いだした特別な魅力とは
タンザナイトの多色性
タンザナイトの色をひとことで説明するのは、すこし難しいかもしれません。
青から青紫の色相を有し、個体やカットによってどの色が強く出るのかが異なります。
なぜ、タンザナイトはこのような複雑な色を持っているのでしょう。
タンザナイトの特徴のひとつに、多色性があります。
多色性とは、角度を変えると色が違って見える性質で、アイオライトやアンダリュサイトが多色性のある宝石です。
たとえば、正面から見ると青で、横から見ると紫。
また別の角度からは無色透明にも見えるなど、光源に関係なく角度によって違った色に見える性質を多色性と呼ぶのです。
人気が高いのは色が濃く、すみれのような青や紫のタンザナイト。
バイカラーも人気があります。
タンザナイトとティファニーの関係
発見された産地や人名が、名前の由来となることもある宝石。
たとえばクオーツの一種である「ハーキマー・ダイヤモンド」や、アクアマリンの「サンタマリア・アフリカーナ」は産地名が反映されています。
タンザナイトもそのひとつ。
東アフリカのタンザニアで発見されました。
ゾイサイト自体はオーストリアやアメリカでも産出しますが、タンザナイトは商業的には世界で唯一、タンザニアのメレラニ鉱山で採鉱されています。
産地にちなんでつけられた、このタンザナイトという名前。
じつはプロモーション用の名前として名付けたのがティファニー。
宝石名として正しいのは「ブルー・ゾイサイト」。
いまやブルー・ゾイサイトよりタンザナイトの方が有名なので、いかにティファニーのプロモーションが成功したかがわかりますね。
その知名度にあやかってか、ピンクのゾイサイトを「ピンク・タンザナイト」といって表記するお店やブランドも。
取り扱い時の注意点は?
劈開をもつタンザナイトには超音波洗浄器は厳禁。
硬度も高くないため、ネックレスやピアス、イヤリングなど、ぶつける恐れが少ないジュエリー・アクセサリーがおすすめです。
POINT
- タンザナイトの幻想的な色味は多色性が由来
- 「タンザナイト」と名付けたのはティファニー
- 硬度が高くなく劈開をもつため、取り扱いには充分注意が必要
【あわせて読みたい】多色性を持つ宝石のひとつ、青い宝石サファイアの魅力にも触れてみてくださいね
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大学卒業後、ジュエリー専門学校にてメイキングとデザインを学ぶ。ジュエリーセレクトショップ・百貨店にて販売員経験あり。あなたとジュエリー・アクセサリーとの距離を縮める記事をお届けします。