ジュエリーの基礎知識

ジュエリーの基本デザイン:金属加工・仕上げ編

ジュエリーの制作において、いまや欠かせない機械。
刻印や磨きなど、あらゆる工程で専用の機械を使用しますが、木目金手彫りといった手作業でしか生み出せないデザインもあります。

また、ジュエリーをオーダーメイドするとき、最後に決める仕上げ
同じ幅のリングも、仕上げが異なると違った表情を見せてくれるため、ジュエリーのデザインを選ぶ際にはこだわりたいものですね。

今回はジュエリーの基本デザインの後編、おもに手作業による「金属加工」と「仕上げ」についてお届けします。

中編はこちら:ジュエリーの基本デザイン:石留め編

ジュエリーの金属への加工とは?木目金や手彫りって?

ゴールドやプラチナ、シルバーといった金属を使用するジュエリー。
金属の色や質感を楽しむだけでなく、金属だからこそできる加工にも注目してみましょう。

木目金(もくめがね)


異なる色の金属の板を溶着し、打ち延ばしたりタガネを使用して彫りを施すことで木目模様を浮かび上がらせる木目金

江戸時代に生み出された日本独自の金属加工技法であり、刀の柄や鍔に施されました。

職人の手によって生み出される模様はひとつとして同じものはないことから「世界にひとつだけ」をかなえてくれます。

打ち出し

金槌やタガネで金属の板を叩き、凹凸加工を施してモチーフなどを表現する打ち出し

ボリュームのあるデザインを軽く仕上げることができ、表側から叩く「チェイシング」と、裏側から叩く「レプッセ」を組み合わせて立体感を表現します。

手彫り


タガネを使用して、金属に彫りを施す手彫り。

和彫と洋彫があり、和彫は金槌でタガネを叩いて彫る技法なのに対し、洋彫は押して彫る技法です。
ハワイアンジュエリーに施される彫りは、代表的な洋彫といえます。

フィリグリー


金属加工の一種で、金線を編んだりひねったり、渦巻きなどを表現するフィリグリー

浮き細工、またはカンティーユとも呼ばれ、バラやブドウといったモチーフを表すこともあります。

透かし細工


透かし細工は英語でオープンワークとも呼ばれ、金属を切り抜き模様を作ります。

金属を切り抜くため見た目よりも軽く、模様を印象的に見せることができます。

グラニュレーション

ミルグレインと見た目は似ていますが、地金から粒を起こすのではなく、粒金を地金に溶着させるグラニュレーション

古代エトルリアで開発され、現在では行えない高度な技法。
日本語では粒金(りゅうきん)細工と呼ばれます。

象嵌(ぞうがん)

金属の表面に模様を彫り、その溝に異なる素材を埋め込む象嵌

金属以外にも陶磁器や木片などが用いられますが、薄く削った貝殻をはめ込む技法は螺鈿(らでん)と呼ばれます。

中空


金属内部が空洞になっている中空は、見た目のボリュームに反して軽いのが特徴。

着けやすい反面、損傷によっては修理が難しい場合もあるデザイン。

ジュエリーの仕上げの種類

作りの最終段階に行うジュエリーの仕上げ
表面を滑らかにするだけでなく、凹凸を作ることでさまざまな魅力を引き出します。

鏡面(きょうめん)仕上げ


表面の凹凸を消して面を滑らかにする鏡面

鏡のように光が綺麗に反射し、金属特有のツヤのある輝きを楽しめます。

マット仕上げ

つや消しとも呼ばれるマット仕上げ

磨かないわけではなく、鏡面仕上げを施した後マットに仕上げる加工を施します。

ダイヤモンドポイントや紙やすりを用いるなどさまざまな方法がありますが、ここでは代表的なマット仕上げをいくつかご紹介します。

【梨地】

きめ細やかなマットな輝きが特徴の梨地
肌合いが果物の梨に似ていることから名付けられました。

金剛砂などで金属の表面に細やかな傷をつけ、マット仕上げのなかでも柔らかい印象の仕上がり。
粒の大きさで梨地の荒さも調節できます。

【ヘアライン】

髪の毛のような細い筋が特徴のヘアライン
ヤスリをかけることで細やかな輝きを引き出します。

縦・横・斜めとヘアラインを入れる方向や筋の細かさによっても雰囲気が変わります。

【槌目(つちめ)】


ジュエリーの表面に凹凸をつけるひとつの技法である槌目
大きさや面の種類の違う金槌で金属の表面を叩きます。

叩く方向や回数によって、微細な表情の違いを生み出します。

いぶし

おもにシルバージュエリーに用いられるいぶしは、アンティーク感を出したり造形の細やかさを引き立てるために施されます。

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ジュエリーのデザインは、ジュエリーとどう付き合っていくかで選び方も違ってきます。
とくに金属の特性を活かしたデザインや仕上げは、ブランドや手がける職人によっても個性がさまざま。

見た目に惹かれて手に取るのも素敵な出会いですが、違った角度からもジュエリーのデザインを捉えてみてはいかがでしょう。

きっと今までとは違う、新鮮な出会いが待っているはずです。

POINT

  • 木目金や手彫りなど、手作業でこそ活きるデザインがある
  • グラニュレーションは現在では復元できない高度な技法
  • マット仕上げの多くは一度鏡面に仕上げる工程が必要

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